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不死鳥!-ふぇにっくす!-  作者: 起始部川 剛
第6章 ゾンビ×ハツカ
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第1腐 不死男と転校生

ゾンビ×ハツカ編。

羽津花のシーンは少ないですが、イツカ、トウカ、ハツカと並べたかったために、この名前にしました。

 口裂け女の事件が終わって一週間。僕のクラスに転校生がやってくることになった。


 先生に連れられて、転校生がこの教室にやってきたとき、クラスの人間の男子全員が歓声を上げた。

 トップアイドルを狙えるほどの美人。スタイルバツグンでセクシー。欠点が無い完璧女子に見えた。女子ですら、彼女に見とれてしまう程である。


 サラサラのショートヘアーを振り回して笑顔を作り、黒板に名前を書いた。

六右馬(むうま) 春美(はるみ)


 一方、クラスで唯一人間では無い僕の反応はと言うと――微妙だった。なんというか……あまりいいイメージがわかない。

 何となく似てるんだよな。メイに――いや。それよりも、吸血鬼か。何故だろう。この二つを比べてもそこまで似ているとは思えないが、どことなく、吸血鬼に近い雰囲気を感じる。


 だが――教室に入ってくる日差しを平然と浴びているところを見ると、吸血鬼という可能性は無いな。吸血鬼の中にも、日を浴びても平気な者、十字架の効かないもの、ニンニクを食べる事が出来る者、いろいろいるが、弱点が増えるほど、戦闘力は爆発的に増加するらしい。

 つまり、もしも本当に彼女が吸血鬼だった場合、少なくとも日に当たることで塵となったこの前の吸血鬼よりも弱いという事になる。まあ、だから大丈夫と言うわけではないが――少なくとも、僕が負けるという事は無いのだろう。しかし、仮に吸血鬼だとしたら、僕はともかく、普通の人間は無事では済まない。以津花の時の様に、誰かが吸血鬼化しても困る。アレは戦い辛い。




 休み時間になるとクラスの男子の殆どが彼女の周りに集まった。当然と言えば当然だろう。彼女の発するオーラはまるで男を誘惑するためだけに作られたような独特というか、魅かれるものがある。


 さて、僕はというと、いつも通り机に突っ伏して日差しを浴びているだけである。僕にとっては転校生なんて面白い事でもないし、何となくではあるが気に入らない。



 しばらくポカポカと温まっていると、後ろから声が聞こえた。

「もしもし?」


 ゆっくりと顔を上げると、そこには六右馬春美の顔が目の前にあった。

「うわっ!?」


 思わず顔を放す。いきなりこんな近距離に来たら驚くに決まっている。僕の反応を見て楽しんでいるかのように、笑うと、「貴方の名前をまだ聞いてないの。教えて」と、言った。


 気に入らないとはいえ、やはりこの至近距離だとどうも緊張する。

「――鬼冴三、燈火」

 僕が言うと、彼女はいい名前ね。とだけ言って、男子の群れの中に戻っていった。


――何なんだアイツ?確かに美人だけど、なんだかなぁ……

 軽くため息をついて、机に頭をつけて、光が入らないように顔の周りを囲むように腕を配置した。そこで――暗闇でも辺りをはっきりと見る事が出来て、机に反射する紅い光で、僕の眼が真紅に輝いていることに気付いた。


 能力発動の合図。しかし、僕は能力を使った覚えなんてないんだけど。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 何事も無く、学校から帰ってきてテレビをつける。帰ってきたと言っても、須藤と遊んでいたので、割と遅い時間だ。何も考えずにチャンネルを変えると、心霊特集なるものがやっていたので、リモコンを置いてテレビに集中した。


 ベタベタな除霊や、心霊体験の特集、心霊写真や幽霊や妖怪についての解説を行っていたが、自分がそっち側になってから、こういう番組はなんだか新鮮な感覚で見る事が出来る。幽霊や妖怪についての解説等は本格的に役立つ可能性があるので、かなり真剣に見入ってしまった。反面、なんというか自分がそっち側であるが故の直観か何かで、この話が本当かどうか、心霊写真が本物かどうかが何となくわかってしまうのがつまらない。


 ウィンドはやはり本物であるが故に、テレビに映っている人間の中途半端な専門家よりも幽霊に詳しかった。過去にウィンドから聞いた話と照らし合わせてみると、正しい情報が流されているのは3分の1ってところかな。微妙なところではあるが、まあ、100%嘘よりはマシだろう。


 これは、「妖怪が存在していたから噂が立った」のではなく「噂が立ったから妖怪が出現した」からだ。故に、特徴や弱点は基本的に人間の想像に依存する。ウィンド曰く、僕の立てた噂が有名になれば、その妖怪は誕生するらしいので、とりあえずいやらしい妖怪の噂を2、3種類ほどネットに投稿したのだが、あまり評価はよろしくないようだった。


 さて、悪魔祓いと言う僕としては好きではない特集に入ったところで、悪魔の階級のようなものが出現した。適当にある程度名前を憶えて、完全に覚えきる前に画面が変わり、そして悪魔祓い。



 テレビを見終わったが、誰も帰ってこない。


 まあ、別に困ることも無いけれど。そう思って、目を閉じると、直に僕は眠りについた。


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