2話 全権大使
ある日、空から異星人がやって来た。
冗談ではなく、マジである。
国会議事堂に異星人の使者がやって来て、なにか話し合いが行われたらしい。
次の日の記者会見で、その異星人も同席した。
真っ黒なピッチリスーツに身を包んだ、女性のような異星人。
まだ生き物かどうかも不明だし、胸の膨らみがなにか別の器官の可能性もある。
副総理によると、彼らは「あまてらす国」と名乗ったらしい。
あまてらすってニ国語じゃないのか?
国名だけではない。
彼らは、我々の漫画とアニメを欲しているという。
それを聞いてのネットの反応は――。
『あまてらすってニ国語じゃないのか?』
『文化交流でアニメと漫画?!』
『ニ国語を喋って、アニメと漫画がほしいとなったら、そりゃウチに来るしかないよなぁ』
『アニメや漫画も、ハ国のほうが上だろう。なんでニ国なんかに行くんだ?!』
『お前はなにを言っているんだ?』
『ネゴトワ・ネティエ(ルーマニア 1935~1954)』
各国の言い分はあるかもしれないが、世界を席巻している漫画とアニメは、ニ国製だろう。
それは間違いない。
多分、あまてらすという異星人たちは、宇宙でアニメと漫画を傍受して興味を持ったに違いない。
副総理からの言葉を聞いて、記者会見場は騒然となった。
「アニメと漫画!?」
「なぜ!?」
「WHY!?」
場内には、外国人の記者もいる。
「副総理」
場内に、凛とした涼やかな声が響き渡った。
ざわめいていた人々の声さえ一瞬で押し退けるような、よく通る澄んだ声。
その声には不思議な力強さがあり、誰もが思わず口を閉ざし、声の主へと視線を向けた。
黒いピチスーの彼女が小さく手を挙げている。
「し、使者の方、ど、どうぞ」
副総理が、しどろもどろになっている。
そんなにビビることはないと思うんだがなぁ。
それとも、密室での話し合いで脅されたりしたのだろうか?
拒否したら、すぐに侵攻するとか?
あれだけの科学力を持っているんだ、向こうがその気ならもうとっくにそうなっているだろう。
あえて、「漫画とアニメ」と指定して言ってきたんだ。
マジで目的はそれだけということなんだろう。
黒いピチスーの女性が立ち上がった。
ヘルメットらしきものに映った大きな目が瞬きをしている。
「我々は、我が主――あまてらすさまの勅命により、この国の文化を収集する目的でやって来ました」
「あ、あの……あまてらすさまというのは、国王のお名前ですか?!」
「いいえ、国王ではありません」
「「「ざわざわざわ……」」」
ざわめきが、場内を埋め尽くす。
「し、しかし、勅命と……」
「あまてらすさまのお言葉は、すべて勅命です」
「それでは、皇帝や、帝ということですか?」
「いいえ、違います」
「「「ざわざわざわ……」」」
なんというか、言葉は通じているのに、会話が通じていないような感じだな。
彼らの言葉を強引にニ国語に変換しているのだから、なにか齟齬があるのだろう。
「あまてらすさまのお言葉を伝えます『この国の、漫画とアニメというのは、大変素晴らしいと』」
「あ、あの、漫画とアニメは、お隣の国にもあるのですが……」
「比較になりませんでした」
「し、しかし……」
質問した記者がなにか言おうとしたのだが、女性が黙って制した。
「そのお召し物は、宇宙服みたいなものなのでしょうか?」
女性記者の一人が手を挙げた。
「この星の大気が、我々にどのような影響を及ぼすかまだ不明なので、このような環境スーツを着ております。ご了承ください」
「その目は……?」
「これはフェイスディスプレイです」
ピッチリスーツの女性が、ヘルメットに軽く触れると、青白く光る美しい顔が現れた。
整った顔で、一見作り物のようにも見える。
透けて中が見えているのか、それともこれも顔を表示しているだけなのか?
それは不明だ。
女性の顔が見えて、またネットが大騒ぎ。
『めちゃ美人!』
『マジで女だ!』
『まてまて、作り物じゃないのか? 中が本当にアレとは限らないだろう』
『騙してどうする?』
まぁ、いきなりエイリアンのような生物がやってくるよりは、女性型の方が親近感が湧くのは解る。
ファーストコンタクトを順調にこなせるように、このような手順を踏んでいる可能性も十分にある。
「あの! あまてらすという言葉は、我がニ国にも神様を表す言葉であるのですが……どのようにお考えですか?」
「それは僥倖ですね」
「最初に大きな宇宙船が降りてきましたが、アレが母船なのでしょうか?」
記者の質問は続く。
「そうです」
「あれは砲艦外交ではないのか?!」
質問を遮って、一人の男性が大声を挙げた。
カメラが向くと、俺はその顔に見覚えがあった。
記者会見で、いつも失礼な質問やめちゃくちゃな質問をして、場を荒らしているフリーの記者だ。
その記者を見て、ネットも騒然となる。
『おい、止めろ!』
『そいつをなんで出禁にしないんだ!』
『ニ国が終了するぞ!』
こいつはファーストコンタクトを台無しにするつもりだろう。
どこか他の国から金をもらっているのか?
超科学力を持った異星人が、二国と同盟を結ぶなど面白くない国が沢山ある。
普段同盟国面をしている国だって、いい顔をしないだろう。
ア国のように、世界のリーダーを気取っている国だって、ひっくり返される可能性がある。
「最初に母船の姿を見せたのは、皆様に気がついていただくためです。我々がいきなりこの格好でやって来ても相手にされないでしょう?」
そりゃそうだ。
下手したら、頭のおかしいやつと思われて警備に追い出されて終了してしまう。
最初に圧倒的な科学力を見せる――ということに関しては、まぁ砲艦外交といえなくもない。
「支配者が一人しかいないってことは独裁国家だろうが!」
「違います」
「嘘をつくなぁ! この侵略者どもがぁぁ!」
もはや、常軌を逸している。
「そいつをつまみ出せぇ!!」
ここにきて、副総理が立ち上がると、茹でダコみたいな真っ赤な顔をして怒鳴り散らした。
めずらしい。
今まで、こういうのは全部放置だったじゃん。
ドアを開けて、重装備の機動隊がドカドカと入ってきて、男を連れ出す。
このような非常時なので、警備のために機動隊が配備されていたのだろう。
「我々市民は、政府のこのような横暴に対して、断固反対する! ぎゃあ!」
男が乱暴に抑え込まれる。
市民ってどこの市民よ。
「大人しくしろ!」
「なにをするぅ! 暴力反対! 平和憲法を守れぇ!!」
一番暴力的なことをやっているやつが、なにを言っているのだろうか。
騒然となる記者会見場から、男がつまみ出された。
『珍しく対応しているじゃん』
『これが当たり前なんだよ』
『いままでずっと野放しだからな』
『当然、政治家は国民がどうなろうが知ったこっちゃないが、自分らの進退がかかると本気だすからな』
『まぁ、ここでやらかしたら、悪い意味で歴史に名を残すし……』
『下手したら――西暦20◯◯年、ニ国は異星人に占領――みたいな歴史になるかもしれんぞ』
『いっそ、そのほうがよくね?w』
『アホか! 異星人は猫を被っているだけかもしれんぞ?』
『いや、漫画とアニメ好きに、悪いやつはおらん』
『そもそも、独裁国家がアカンのなら、あの国とかあの国とかにもツッコめよw』
SNSのコメントどおり、政治家たちは自分たちの進退がかかってるから、本気なのだろう。
武力占領などされたら、そこで終了だし。
もしかして、自治権ぐらいは持てるかもしれないが……。
少々のトラブルはあったが、そのあとはつつがなく記者会見も終了した。
あまてらすが希望しているのは、ニ国文化の収集――特に漫画とアニメというのは、本当のことらしい。
そのためだけにやって来たという。
あまてらすの使者は終始穏やかで、トラブルも意に介していないように見える。
ネットでふざけてはいたが、固唾を呑んで見守っていた連中も胸をなでおろしているようだ。
記者会見が終わったあと、使者は一旦帰るようである。
カメラが外に切り替わると、黒いピッチリスーツの二人が警備に見送られて、国会議事堂前に留まっている白い円盤に乗り込む。
議事堂前には、沢山の野次馬がいるようだが、警備に囲まれた上にバリケードまで作られている。
外からは見えないだろう。
円盤は、そのままゆっくりと浮き上がると、音もなく上昇してすぐに見えなくなった。
エンジン音もしないなんて、どういう推進機関なのかも解らない。
「「「おおおお~っ」」」
人びとの歓声だけが聞こえてくる。
お祭り騒ぎである。
当然ながら、記者会見が終わったあと、どこのニュースも異星人のことで一杯だった。
ネットでは、繰り返し会見の様子が流れている。
あのつまみ出されたフリーの記者の場面もだ。
リベラル派の政党は、早々と異星人の受け入れを認めない声明を発表した。
曰く「あまてらす国は、超強力な軍事力を持つ独裁国家であり、我々はそれを受け入れることは容認できない」
――らしい。
『軍事国家で独裁が駄目なら、近くにそういう国があるんだが?w』
『またダブスタか?』
深夜を回っても、ネットでの論争は続いた。
――異星人の記者会見があった次の日。
ニ経株価は、製造業、ハイテク株を中心に急騰した。
文字通りの爆上げ。
逆に各国の主要な株式相場は暴落した。
おそらくは、異星人からなにかの先端技術が提供されるんじゃないかという期待からだろう。
外国の株が売られて、その金が全部ニ国の相場に群がった感じだ。
まだ、なんにも決まってないのに――と思うが、相場とはそういったものだ。
期待や想像で上げて、事実で落ちる。
まぁ、ニ国政府としても、それはもちろん期待しているだろう。
通常なら、その対価になにを求められるのか解ったもんじゃないのだが、彼らの目的が「漫画とアニメ」だと判明している。
そんなもので未知のテクノロジーが手に入るなら、安いものだと、今ごろ取らぬ狸の皮算用をしているのに違いない。
各国の首脳の反応は――「二国だけ美味しい思いをするなんて、認められるか! ボケェ!」
おおよそ、こんな感じ。
気持ちは解らんでもないが、あまてらすさんが、「漫画とアニメ」しか興味がないんだから仕方ない。
外から地球の情報収集をして、他の国の漫画とアニメも把握しているはずだし。
満を持してニ国にやって来たんだから、他の国はお呼びじゃないだろう。
それにしても、使者は一旦帰ってしまったのだが、連絡はできるようになっているのだろうか?
連絡ができないと、色々な打ち合わせができない。
おそらくは、直通のホットラインのような通信装置をもらったのではなかろうか。
――そんな心配をしつつ、2日ほど経過。
ネットは、まだまだ盛り上がっている。
異星人は地球を侵略しにやって来た、侵略者である! みたいな過激な意見も散在している。
本当にそう思っているのか、それとも言わされているのか不明だが、そういう連中の過去発言を見ると、なぜか移民賛成派だったりする。
リベラル派の政党もそうだったが、移民賛成で異星人はアカンのか?
当然、ネットからツッコミが殺到している。
まぁ、そうだよな。
自宅で仕事をしつつ、冷やかしでネットを眺めていると、昼からなにか中継があるらしい。
あまてらすとの外交になにか進展があるのか?
またまた、ネットが盛り上がる。
国民がネットやTVの前に釘付けになり、その時間を刻一刻と待ちわびる。
TV各局のネット中継も始まった。
PCの画面に整えられた芝生が映ると、テロップが流れる。
「あまてらす国の特命全権大使就任のため信任状捧呈式が執り行われます」
これを見て、ネットも大盛り上がり。
『全権大使キター!』
『どんな人が来るんやろ?』
『前の二人も女性っぽかったので、また女性じゃないか?』
『あまてらすって女性上位なのかね?』
『地球は女性に甘いという判断をして、交渉を優位に進めるために女性型にしたとか?』
『可能性はあるな』
『そりゃ、むさいオッサンやジジイが来るぐらいなら、美人のほうがええやろ』
まぁ、相手が女性だからと、俺たちの警戒が薄くなっているのも確か。
これが、モロエイリアンみたいな外見だったら、俺たちの警戒もマックスになるだろうし。
『それがやつらの狙いかもしれんのやで?』
その意見も一理ある。
なにしろ相手は異星人だ。
『地球人を奴隷にするつもりかも……』
『あれだけの科学力を持っているなら、労働力もロボットやろがい。なんでわざわざ人間を奴隷にするねんw』
まぁ、人間のほうが手間がかかる。
休憩も必要だし食事の用意もしないと駄目だし。
効率が悪すぎる。
『労働力はロボットで事足りてるが、ロボットにゃ創造ができんやろ?』
『それを地球人というか、ニ国人に求めてるってことか』
ロボットには漫画やアニメを創れないからか。
なるほど、辻褄が合う。
そんなネットでのバトルを繰り返していると、時間になった。
鮮やかな緑の芝生が広がり、その上に白い礼服をまとった隊員たちが、寸分の乱れもなく整然と並んでいる姿が映し出された。
場所は――どうやら皇居らしい。
全員が肩にライフルを担ぎ、背筋を真っすぐに伸ばしたまま、前方を鋭い眼差しで見据えている。
白い制服と黒く光る銃身が陽光を受けて鮮やかなコントラストを描き、その光景には軍特有の緊張感と厳粛さが漂っていた。
その前には真っ赤な絨毯が敷かれている。
「儀仗隊ってやつか……」
ふいに、画面の上から白いものが降りてきた。
白いひょうたん?
白い瓢箪――空からゆっくりと降りてきたその物体は、まさに巨大な瓢箪そのものにしか見えなかった。
くびれた中央部から上下に膨らんだ、奇妙に滑らかな白い表面が陽光を受け、地面すれすれまで降下すると、まるで見えない糸で吊られたように静止する。
土煙ひとつ立てず、音もなく宙に浮かぶその異様な姿に、中継を見ている人々は息を呑んでいることだろう。
ただ、その前に並んでいる儀仗隊の面々は微動だにしていない。
さすがだ。
普通は、車や馬車での移動でやってくるのだが、さすがは異星人――宇宙船でやってきた。
感心していると、そこから誰かが出てくる。
おそらく女性――だと思われるが、ちょっとデカいような……。
顔立ちは息を呑むほど整っており、切り揃えられたショートヘアが、その端正な輪郭をいっそう際立たせていた。
身体の線がはっきりと浮かび上がる黒いピッチリとしたスーツに身を包み、その胸元だけが大きく開かれ、滑らかな白い肌が露出している。
まるで、ア国コミックのスーパーヒロインだ。
金色の装飾が幾重にも施され、光を受けるたびにきらりと輝く。
肩からは純白のマントを優雅に羽織り、風を受けてゆっくりと裾を揺らしている。
独特な出で立ちなのだが、これが彼らにとっての正式な礼服なのだろうと、俺には自然と思えた。
女性大使の出現に、ネットも湧いている。
『おおお~っ!』
『今度はサイクロプスじゃなくて、生身の女だぞ?!』
『しかも、めちゃ美人じゃね?』
『でも、デカくね?!』
『マジで身長2mぐらいあるやろ』
『ビキニアーマーを着せたら、女戦士やな』
そのとおりだと思う。
整列する儀仗隊の前を、異星の大使はしっかりとした足取りで歩いていく。
身体の重心もブレず、頭の上下も少なく、まるで達人のような足取り。
本当に、歴戦の戦士のようだ。
しばらくすると、画面は天井の高い、木造の広い部屋に移った。
格式と威厳に満ちた広間――広々とした板の間には、静かな緊張感が漂っている。
高い天井から明るい照明が降り注ぎ、訪れた者は思わず背筋を伸ばしてしまうような、厳粛な空気に包まれていた。
ネット識者によれば、皇居松の間という所らしい。
そういえば、他の中継でも見たことがあるような。
シンプルに見える木造の部屋だが、一般人が金を積んでも手にいれることができないような超高級木造建築である。
そこに、あまてらすの全権大使が入ってきて、着任の儀式が厳かに行われた。
やはり、彼女の動作には一部の隙もない。
――儀式は滞りなく行われ、しばらく休憩したのちに、記者会見が行われるらしい。
場所は先日異星人の使者の会見が行われた、グランドホテル。
通常は記者クラブなどで行われることが多いみたいだが、なにせ記者の数がべらぼうに多くて、とてもじゃないが入り切らない。
一番広い記者会見場ということで、グランドホテルが選ばれているのだろう。
会場が映し出されると、広々とした空間には大勢の人々が集まり、ざわめきと話し声が幾重にも重なって、華やかな宴のような熱気に包まれている。
移動に時間がかかったのか、30分ほどで副総理と一緒に大使が現れた。
扉の上枠にちょっとぶつかりそうになって、少し頭を下げて入場してくる。
「「「おおお……」」」
彼女の姿を見た記者たちから驚きの声が上がる。
まぁ確かに、美人だし、なにしろデカい。
それに近くで見るとスタイルもいい。
胸元も開いていて、谷間も見える。
まぁ、異星人だから人間ではないのだろうけど、俺たちとは月とすっぽんだ。
地球人の僻みはさておき、副総理と並んで座ると、記者会見が始まった。
それを見たネットの反応は――。
『前に暴れたやつは、当然出禁だよなぁ』
『さすがに、ニ国の未来がかかっているから、政治屋の連中も本気だと思うぞw』
『自分らに利益があるときだけ、本気出しやがって……』
『まぁ、やつらもそのために政治家やっているようなもんやし……』
『それにしても、前に来た使者も女だったし、女しかおらんのか?』
『男がいても、かなりの女性上位の世界とか……』
『蜂とか蟻みたいな国かもしれんぞ』
女が働いて、男は繁殖だけ行われているのか。
まぁ、異星人だから、どんな社会構造もありえるし。
記者会見が始まる。
大使がマイクを取った。
「本日、この国の特別全権大使として赴任した、ヒトミ・ゼロイチである。この地を離れるまでよろしく頼む」
ちょっとハスキーだが、美しい声だ。
ニ国語の発音もなんの問題もない。
これでニ国人と言われても、気がつかないレベル。
かなりざっくばらんな喋り方だが、これは翻訳ミスとかそういう感じではないだろう。
元々、こういう話しかたなのだと思われる。
「「「ざわざわ」」」
記者たちは、砕けた大使の態度に、ちょっと驚いたのだろうか。
そんなのは気にもせずに、大使は話を続けた。
「正直、俺より適任がいると思うんだが、あまてらすさまになにかお考えがあるのだろう。まぁ、この宙域で俺たちの仕事はないだろうしな、わはは!」
彼女が豪快に笑った。
「あの~、普段のお仕事はなにをしていらっしゃるのでしょう?」
女性記者が手を挙げた。
「空間突撃大隊、大隊長だ」
彼女が少し笑みを浮かべた。
「それはどういうお仕事でしょうか? ――軍隊でしょうか?」
「まぁ、白兵の専門家、どつきあいのプロってやつだな」
彼女の話では、軍隊ではないただの組織らしい。
「以前に訪れた使者の方も女性でしたし、あまてらす国は女性の進出が進んでいるのでしょうか?」
「そもそも、あまてらすの職員に男はほとんどいない。比率として9対1ぐらいだな」
「それだけ女性上位の社会ということでしょうか?」
「能力的に男女差はないし、どちらが上位ということもない」
偏っているのは、あまてらすの職員という職種だけらしい。
随分と偏っているな。
ネットの反応も様々だ。
『名前がヒトミ・ゼロイチってのは、変わってるな』
『ヒトミってニ国語っぽいが……』
『同じ名前のやつがいると困るので、番号が振られているんじゃないのか』
『見た目どおりの白兵戦のプロか』
『めちゃ強そう』
『めちゃア◯◯が弱そう』
『おい、ヤメロw』
相変わらず、しょーもないネットであった。
会見の終盤、あまてらす側から、文化の収集について重大な発表があった。




