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#8:英雄の再臨には、常に致命的なボタンの掛け違いが伴う

~ブックマーク・評価・リアクション・感想等いただければ、執筆の励みになります~


【前話のあらすじ:ブッキングしていた聖域から、虚しくも、フィオナ、ルーナ、ノアの三獣子(さんじゅうし)に引っ張り出されたアルト。そこでアルトは、自身の最重要NPCが危機にあることを知る……】

暗雲が立ち込め、月明かりがところどころ遮られたエルガルド領の夜。

「『パターン502:正体を隠し、身内の姿で戦場を駆ける英雄』だな……」

「えっと、セリフは、そうそう、悪いな、こんな姿で。今はまだ隠すしかないのさ。君が本当の姿を見たいというなら、どうぞいつでも言ってくれ。相手になろう?だったかな?……ん、なんか、違う……最近睡眠時間が足りていない……だが、あと少し。そう、あと1年くらいで、俺は眠らずとも、夢のパターンを行使できるようになるんだ……」

アルトは、空を走りながら自身の魔力を練り上げ、体内構造を強制的に再定義していた。

骨格が揺らぎ、視界の高さが数センチ上昇する。

首筋に触れる感触が変わる。

短かったはずの銀髪が背中まで伸び、柔らかな曲線を描く金髪の束へと変化した。


変装。

それも、ただの幻術ではない。

アルトのそれは、対象の細胞情報を一部トレースし、物理的な質量まで再現する「高次再構成」の域に達していた。


「……デュフ。これがアリシア姉様(中身は弟)の視界か」

アルトは走りながら、自分の胸元に視線を落とした。

そこには、普段の自分には存在しない、物理法則に従ってわずかに揺れる柔らかな膨らみがある。

アルトは思わず右手を伸ばし、その感触を確かめようとした。


(待て。俺よ。お楽しみは後だ。今は安眠環境の救出(デバック)が先だろうが。このポンコツめ!しっ、しかし、「お楽しみ」をしてしまえば、この世界に新たなジャンルを届けてしまう。これは、俺にも未知の領域(パターン)だ!前代未聞の自己完結型完全犯罪(ソロモンスターのソロコウイ)!なんて、独白(ソロプレイ)を俺は……はっ!?)

彼は寸前で自らの右手を左手で叩き落とした。

「くっ……これが未知(ユメ)のパターンの力なのか!男としての遊び心が、つい理性(デバックモード)を上回ってしまった。だが、この姿ならどれだけ晒されても『アルト=引きこもりの無能』という前提のパターンは崩れないのだ!しょうがない!!うん!」

アルトは一気に加速した。

アリシアの細い体躯は、風魔法を纏うことで弾丸のような速度を生み出す。

目的地は、すでに血の臭いと魔力の残滓が漂い始めているエルガルド別邸であった。


エルガルド別邸につくと、アルトはそのまま、暗がりを求めて、天井裏に入る。

「んなっ!?」

視界の下では、見るに堪えない光景が広がっていた。

アイリスとノエルというアルト付きのメイドが、賊の刃を突きつけられ、冷たい床に膝をつかされていたのである。

「おい、この女たちは生かしておけと言われている。利用価値があるらしい」

「へへっ、いいじゃねえか。少しくらい傷つけてもよ……」


その言葉を聞いた瞬間、アルトの脳内で何かがプツンと切れた。

アルトは天井板を音もなくはずすと、室内へ降り立った。


「なっ、アリシア様!? なぜここに!」 アイリスが驚く。

「てめぇ、どこから……」

「おい、お前ら!誰の許可を得て触っているのだ!……じゃなくて、いるのかしら!!」

「これは重大な著作権違反であり、役得である、わ!よって死ねぃ、になさい!」


指先を軽く振る。

ただそれだけの動作で、アイリスとノエルの首元に刃を突きつけていた男たちが窓の外へと吹っ飛んでいく。

絶叫が響く前に、アルトは次の動作に移っていた。

移動の合間に「ちょっと自分の腰回りのライン」を確認する余裕を見せながら、室内の賊を次々と無力化していく。

「ア、アリシア様……?こんなに御強かったのですか……」 アイリスが呆然と呟く。

「うち(安眠のパターン)に必要な女たちは、誰にも渡さない。たとえ神がそれを望んでも、問題ない!うちが神にもっかい望むから!」

(よし!これで、パターン103、神に戦いを挑む仲間の先陣を切った勇敢な戦士のシチュとセリフの再現度は100%だ!!くぅぅ!この感覚!たまらないぜ!って、は!?このパターン103もまさか……SP(ソロプレイ)verなのか!ちっ……)

アルトは、そう言い放つと、そのまま屋敷の廊下へと飛び出した。


彼の目的は、別邸全体の「クリーンアップ」だ。

廊下を駆けるアルトの視界に、エドガーやオスカー、レイヴンたちが必死に抗戦している姿が入った。

(おっと、あいつら頑張ってるな。……まあ、いいか。エルガルド公爵家の騎士団長、ヴァルガンならそのうち化け物みたいな速さで駆けつけてくるはずだ。ここは、ひとつ『窮地を脱する』という成長イベントを尊重してやろう。決して、助けるのが面倒とかそういうわけじゃないから、きっと)

アルトは彼らを見捨てて最短ルートで最上階を目指す。

屋敷の最上階。月光が差し込むバルコニー。

そこに立っていたシルヴィは、目の前に現れた「アリシア」を見て、迷いなく剣を抜いた。


「……やはり、来ましたか。お嬢様」

シルヴィの剣筋は鋭かった。そして、それは本物の殺意を込めた一撃だった。

アルトはアリシアの姿のまま、それを最小限の動きで回避する。

(おっと、危ない。シルヴィ、本気すぎるだろ。……ん? 待てよ。シルヴィは俺がアリシアに変身して、ちょっとお尻の感触とかを確認しちゃったことを見抜いたのか。くっ顔に出てしまうとは、俺としたことが……)

アルトの脳内で、急速な勘違いシミュレーションが始まった。

このまま戦えば、シルヴィを傷つけてしまう。

そう、シルヴィは、俺がアリシアに成りすましてお尻の感触を確かめたことを見抜いたのだ。

シルヴィは、確かにそういう繊細(デリケート)な話を気にする性質(たち)がある。


「待て、シルヴィ! 誤解だ!」 アルトは叫び、空中で変身を解除した。

粒子となって散るアリシアの幻影。アルト本人が現れる。

「坊ちゃま……!?」 シルヴィの剣が止まる。


アルトは着地と同時に、床が抜けるほどの勢いでスライディング土下座を敢行した。

「パターン560、後ろめたいことをしたことを包み隠さず言って許してほしいと懇願するまだあどけない少年!!」

「 シルヴィ! 俺の全力の言い訳を聞いてくれ!いや、そう悪かった! 全部俺が悪いんだ! でも、どうしても我慢できなかったんだ! 俺としては、しょうがないことなんだ!」

「……坊ちゃま、何を仰って……」

「君を失うわけにはいかないんだ! シルキーでもシルジーでもダメなんだ! あとは、シルヴァでもシルヴォでもダメなんだ! えっと、あと、ま、とにかく、シルヴィじゃなきゃダメなんだ! 」

アルトは必死だった。

シルヴィの誤解を解かなければ、二度と、パターン59の再現(メイドに胸を(うず)める無能君主)の色違いverを体験できなくなってしまうからだった。


「私は……坊ちゃまを……」

「(俺を)軽蔑しないで!(アイリスに成りすまして自分のお尻を触ったりしたのは)悪かった! でもシルヴィ、(男としては)しょうがないんだ! それは無情ってもんだよ! 俺には(男としての遊び心が)必要なんだ! ダメかな?」

アルトの必死の懇願。 だが、シルヴィはそれをこう解釈した。

「(自分自身を)軽蔑しないで!(自分自身は)悪かった!でも、シルヴィ、(その運命は)しょうがないんだ!それは(世の)無情ってもんだよ!俺には(自分自身が)必要なんだ!ダメかな?」

「坊ちゃま……っ!」

彼女は剣を捨て、床に伏せるアルトを抱きしめた。

その豊かな胸に、アルトの顔が埋まる。

「なっ!?これは早速、パターン59、メイドに胸を(うず)める無能君主の色違いverの確定演出!!」

「シ、シルヴィ……」

「どうされました、坊ちゃま?……苦しいのですか??」

(セリフが少し違うのも、色違いverだからなのか……うん、ありだな!デュフフ!)

「ああ、苦しゅうない……よいぞ、大儀でありゅ……」

「……どちらかわかりませんが……今はどっちでもいいです……」


「いやぁ、よかったぁ~」

アルトは、シルヴィが、男の遊び心を許してくれたと思い、満足げに彼女の胸に顔を擦り寄せた。

シルヴィは、慈しむようにその頭を撫でる。


「さて、シルヴィ。正体がバレると面倒だからぁ、その……あと一回だけ、許してねっ」

アルトはそう告げると、再びアリシアの姿へと変身した。

呆然とするシルヴィをその場に残し、彼はバルコニーから飛び降りた。

「あ、坊ちゃま! 待って……!」

「ダイジョブ!心配しないで!今度はちゃんと(男としての理性を)守るから!」

「……ふっ。坊ちゃまに「護る」と言われるなんて……」

シルヴィは可笑しそうに笑った。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アルト-no-AIM(ああ・いっそ・もらしてしまおうか)

・パターン103(神に挑む戦士)の代償: このパターンを発動すると、視界が「広角レンズ」のような演出に切り替わり、周囲のモブ(賊)が自動的にスローモーションで飛んでいくように見える。ただし、かっこいいセリフを噛むと、魔力が逆流して猛烈な便意に襲われる。


・パターン560(土下座する少年)の真実: 膝を突く際の衝撃波で周囲の埃を吹き飛ばし、月の光を背負って最も自分が「儚く見える角度」を計算して着地している。アルトにとって、土下座は降伏ではなく「母性本能をハッキングする物理攻撃」である。

【お読みいただきありがとうございます!】

 「次話は、事件です!」


~高評価やブックマーク、感想・リアクション等いただけるとありがたいです!~ 


E.N-de-core(エンドのキモ):「アルトくん、ついに「女装して自分の心臓付近を触る」という一線を越えかけました。書いている途中で「これ、どこの層に需要あるんだ?」と自問自答しましたが、アルトが「これが未知のパターンだ!」と叫ぶので止まれませんでした。そろそろほどほどにしなければ……引き続き、応援のほど、よろしくお願いいたします。」


――――――――【他作品も全力執筆中!】

更新をお待ちいただく間に、こちらの作品もご一読いただけると幸いです!


・『【武の極致】と【フェンリル】の力を以て、三つの世界で覇者となった俺』

「動かないだけの者に何がわかる。動けば変わる。今はそう信じろ。」

【戦×無双×成長】 →天下を争う軍記モノです!※後々、魔法や異世界系に変わっていきます!


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「夢を追う。non。夢を負うんだ。夢が現実だったらいいのに。non。現実を夢にするんだ。TOPを狙う。non.non.non。そんなの後からついてくる。狙うべきはTOP(テクニカル・オキザリ・プレイ)だろ??」

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圧倒的な「勘違い(相互)」×「成り上がり」×「無双&夢想」×「最強」!!

⇧※本作です。これからもお付き合いのほど、よろしくお願いいたします!


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