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#3:再演(アンコール)の失敗は、二年の猶予(ロスタイム)を生成するようだ

~ブックマーク・評価・リアクション・感想等いただければ、執筆の励みになります~


【前話のあらすじ】:「アルトはついに、周囲のNPCの整理し終えた。そして、夢想(惰眠)の日々を過ごしていたある日、「追放」という半強制イベントが始まろうとしていた……」

「—―、悠久をかける、わいの運命(デスティニー)よ、From now on、タイムバック!タイムバック!!、T-Back(タイムバック)!!!—―時空魔法、輪廻逆行(も・ど・っ・て)


……どうやら、戻せなかったようなので、過去の記憶の残滓をどうぞっ!

「アルト様、失礼いたします」シルヴィはそう言うと、俺を小脇に抱えて、部屋を出る。

要件説明ではなく、どうやら御触り許可だったらしい。


部屋を出ると、オスカーとレイヴンがついてくる。

どうやら強制イベントのようだ。


シルヴィは淡々と俺に告げた。

「当主様がお呼びですので、執務室に向かいます」

「きっと、将来を鑑みての事だと思われますので、慎重にご対応を」


父ガイウスが俺を呼ぶ理由など、たかが知れている。  

「魔力測定を受けろ」とか「剣術の師範を紹介する」とか、そんな話だろう。

勿論、三歳になってからというもの、100回連続で拒絶している俺に対して、ダメ元なのは父も承知の上だろう。

うん、適当にうなずいて、一分で切り上げて戻ってこよう。


重厚な執務室の扉の前で、独り立ちさせられる。

「外で待機しております」 シルヴィたちが一歩下がる。


重厚な扉が開く。

どうやら、予想通りボス戦のようで、俺のパーティーメンバーが総立ちしていた。

こう見ると、女性陣は、ヒロイン候補など主要キャラになるくらいの美貌はもっている。

まあ、兄さんたちは、主人公になれる容姿ではあるが、知能と品性がゴブリン並みなので、きっと序盤で死ぬモブが最適だと判断して、既に、討伐済みだ。


その中央、レベマの覇気がデフォルトで出ちゃってるタイプの御仁が、俺の父、ガイウスである。

おっと、これは……。  空気が重い。  

(もしや、ついに、パターン4771なのか。処刑台に送られる直前の、すべてを悟った賢者……)  

俺はあえて、だらりと脱力し、虚空を見つめた。  

この「何も考えていないようで、実は世界の真理を掴んでいる」感。俺、才能あるわ。


「アルトよ。お前が生まれてから五年。私は耐え難い屈辱の中にいた」

眠気を我慢する俺の前で、ガイウスが重厚なデスクを指で叩く。

「公爵家の者でありながら、魔法の鍛錬もせず、一度も剣を握らず、ただ泥のように眠る。学問書を読むこともせず、礼節や教養をそっちのけにして「惰眠」を(むさぼ)っている。貴様、自分が何者か理解しているのか?」

……何者?  

そんなの、この世界のNPCには理解できない「高次な存在」に決まってるだろ。  

俺は今、脳内の12個のタブで別々の夢を同時進行させてるんだぞ。  

忙しすぎて、「現実(リアル)」なんて肩書きは、とうに捨ててるんだ。

なんなら、現実こそが夢であり、夢こそが現実。つまり、「Dreamer」ってのが、俺の肩書かな……


ガイウスの目が、鋭く俺を射抜く。

「何か言ったらどうだ。エルガルドの誇りが、欠片でもあるのならな」

さて、どうしようか。My ボスは本気のようだ。俺の勘違いも修正された。  


「もはや言葉も出んか。教育の施しようがない……。アルト、最期だ。何か言い残すことはあるか?」

最後?言い残すこと?  俺は頭を回転させた。  

(「最後」ということは、ダメ元のお誘いがもう来ないということだ。つまり、ここで何か難しいことを言えば、期待されて教育プログラムに組み込まれるリスクがある。逆に、何も言わないと説教が長引く。……早くこの場を終わらせて、自分の部屋のベッドに戻りたい)


「つまり、父上はパターン69を所望ということですね?……短いながらも、最高級の挨拶で、対象をキュンとさせるあどけない幼子を……」

「ふぅ……お・や・す・み・な・さ・いっ・……ん?」

俺は、ふらりと、まるでおぼつかない足取りで親父に歩み寄った。


場が静まり返る。  

「……ふ。……ははは。ははははははははは!」

親父の爆笑。  

執務室の窓ガラスが震えるほどの、狂った笑い声だ。  

(お、成功だな! パターン15『王の狂笑』。これが出れば、あとは『勝手にしろ』で終了するフラグだ!)


俺は内心でガッツポーズをした。  

さすが俺。異世界でも、俺の「安眠防衛戦」は不敗だ。  

これで明日からは、公式に「公認の引きこもり」として、より質の高い眠りを追求できる。


「素晴らしい! ここまで救いようのないやつが、我が家系から生まれるとはな!」  

親父は笑いながら、デスクの上にある「公的な書類」を無造作に手に取った。  

「アルト。貴様を本日、公爵家から『追放』する。すぐに、出ていけ!」


……ん?  いま、なんて?

「除名だ。お前の望み通り、すべて解放してやる。世界の片隅で好きなだけ眠り、好きなだけ野垂れ死ぬがいい」

……えっ、ちょっと待て。  除名? 追放?  それって、つまり……。


執務室の入り口に立つ護衛が俺を担ぎ上げる。

ちょ、待てよ!  パターンが違う! パターンが違うぞ!  

俺の想定では「期待して損した、勝手に寝てろ」で終わるはずだったのに!  

追放されたら、誰が俺にバランスの取れた食事を運ぶんだ?  

誰が俺の布団を、黄金の黄金比で整えてくれるんだ?


「……ホヘェ?(マ、マジで言ってるのか、親父!?)」

俺は必死に声を絞り出そうとしたが、長年の「沈黙」が災いして、喉から出たのはマヌケな鳴き声だけだった。  

確かに、五歳児で、バブゥで生活していたのは、大いなる敗因ではあるが……

夕暮れの風が、俺の薄いパジャマ(一級品の絹)を通り抜けていく。  

(パターン452……『追放された英雄が、辺境でスローライフ』……。いや、無理だろ! 俺、五歳だぞ!? 筋力も魔力制御も、寝るため以外に使ったことないんだぞ!?)

「……笑えない……。NPCの冷遇、イベント発生率、難易度設定……。この世界、クソゲーすぎないか……?」


「御父様!!アルトに道を遺してください!あのままでは……」

「ミレイナ、奴に道は既に与えた。奴は未知だ。案外、死なぬかもしれぬ」

「そんな……」

「なぜ、心を痛める?あ奴がいては、二年後の貴族パーティーで我が家門は恥を欠くことになる」

……貴族パーティー。そ、それだ!俺の蓄積されたシチュを生かす場であり、俺が生き残る道は!

(パターン5。必死さを見せつつ、論理的に説得するキレ者……)

「父上!アルトは頑張ります!根性を入れ替えます!アルトは貴族パーティーで恥を欠くことはありません!勉学も鍛錬も礼節もなんでも身につけます!先は長いのです!俺をここで見捨てれば、俺の前途を閉ざすことになります!将来、有望な若者ですよ!!」

しばらくの沈黙の後、父は唐突に言った。

「アルト、お前に家庭教師をつける。二年で教養と礼節を身につけろ。それができなければ、追放する」

(パターン2。無邪気に謝意を述べる、礼儀正しい少年……)

「御父様!ありがとうございます!アルトは、嬉しくて嬉しくて、涙が並々出てしまいます!お父様は、常に、アルトのことを……」

ガイウスが右手を振った。

「御父様!私の気持ちに応えていただけたのですね!!なんとい……」

俺を抱えていた護衛が脱兎のごとく、俺を執務室から外に出す。

「パターン2は少し長いか……にしても、そろそろ、俺も本気を出さなければいけないようだ……家庭教師ねぇ……問題はない。準備OKだ」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アルト-no-AIM(ああ・いっそ・もらしてしまおうか)


・パターン15(王の狂笑)の真実:

アルトの解釈では「対象が笑い出せば許諾のサイン」となっているが、実際には「あまりの異常事態に精神の防衛本能が働いた結果の笑い」であることも多い。今回はまさに後者。


・パターン69(至高の挨拶)の真実:

この「おやすみなさい」は、前世で一度だけ経験した「深夜に酔っ払った美女に絡まれた時の対応」を幼児向けにデバッグしたもの。親父をキュンとさせるはずが、親父の「ツボ」という名の地雷を爆破してしまった。

【お読みいただきありがとうございます!】

次話は、家庭教師参上です。

~高評価やブックマーク、感想・リアクション等いただけるとありがたいです!~ 


E.N-de-core(エンドのキモ):「『おやすみなさい』の一言で追放されかける主人公。執筆中、自分でも『こいつマジで救いようがないな』と感心してしまいました。皆さんは親御さんに挨拶する時は、パターン選びに気をつけてください……引き続き、応援のほど、よろしくお願いいたします。」


――――――――【他作品も全力執筆中!】

更新をお待ちいただく間に、こちらの作品もご一読いただけると幸いです!


・『【武の極致】と【フェンリル】の力を以て、三つの世界で覇者となった俺』

「動かないだけの者に何がわかる。動けば変わる。今はそう信じろ。」

【戦×無双×成長】 →天下を争う軍記モノです!※後々、魔法や異世界系に変わっていきます!


・『生涯、病室だった俺、異世界で自由な体を手に入れたので、天下を獲ることにした』

「窓の外を眺めるだけの日々は終わった。今度は俺が、世界に眺められる番だ。」

不自由を極めた過去を、最強の自由で塗り潰す!

【戦×無双×成り上がり×領地経営】 ――病室を抜け出した俺の、天下取りが今始まる。


・ロード・オブ・ザ・キャット ~「人生」取り戻したいだけの猫(元人間)が、無自覚に神獣へ進化した結果、人類最強が首輪を持って泣きついてくる件。これって営業妨害ですか? 

「可愛いからって舐めないで。僕の敏捷、150はあるから。」

圧倒的な「猫の可愛さ」×「人類の勘違い」×「チート無双」! 僕を人間に戻せる(評価をくれる)のは、読者の貴方だけです。


・『生涯二十時間睡眠だった俺、夢で組んだ必勝パターンで異世界を攻略する ~無能と蔑まれた公爵家三男の、理想再演・無双譚~』

「夢を追う。non。夢を負うんだ。夢が現実だったらいいのに。non。現実を夢にするんだ。TOPを狙う。non.non.non。そんなの後からついてくる。狙うべきはTOP(テクニカル・オキザリ・プレイ)だろ??」

夢と共に最強に!

圧倒的な「勘違い(相互)」×「成り上がり」×「無双&夢想」×「最強」!!

⇧※本作です。これからもお付き合いのほど、よろしくお願いいたします!

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