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#2:「無能」という名の免罪符は、安眠のための最強装備である

~ブックマーク・評価・リアクション・感想等いただければ、執筆の励みになります~


【前話のあらすじ】:「夢を現実と同期させて17年。どうやら、異世界へのチュートリアルは終えたようだ。転生先には"魔力"があった。これはデュフデュフ展開ですぅ……」

リスポーンして、はや五年。  

俺の「夢負い人」としてのランクは、ついにカンスト一歩手前まで来ていた。


正直、この異世界、神すぎる。

前世はサ終で、サーバーメンテナンスに入ったわけだが、ん~、異世界最高ぅぅぅ!ふぅぅぅぅ!!デュフデュフゥ!!!  


何が素晴らしいって、俺が生まれた「エルガルド公爵家」という場所さ。  

広大な屋敷。防音性の高い厚い壁。そして、俺を「無能」と決めつけて放置してくれる最高に話のわかる家族。  

前世みたいに、掃除機をガンガンぶつけて起こしてくるような親愛なる方々は、ここにはいない。


俺は五年間、ひたすら「寝る」ことに特化した生活を送ってきた。  

移動? メイドの腕の中だ。  

食事? 半覚醒状態で口を開けてれば運ばれてくる。  

会話? 「……ふぅ」とか「……ん」とか適当な吐息を混ぜれば、周囲が勝手に「アルト様は深淵を覗いている」とか「知能が足りない」とか、都合よく解釈してくれる。


この五年で俺が磨き上げた新パターンは、既に「8000」を超えている。  

魔力があるおかげで、夢の解像度がエグい。  

脳内では既に、美少女騎士とドラゴンの背中でピクニックする確定演出(パターン7721)まで攻略済みだ。  

現実なんて、もはや「夢をより良く見るための、ただの待機所(ロビー)」でしかない。


「……ふわぁ。今日の陽光、光量80%。絶好の微睡(まどろ)み日和だな、my room……」


俺は豪華な天蓋付きベッド(俺専用のコックピット)で、ゆっくりと目を細める。  

ここなら、誰にも邪魔されず、無限のイマジネーションに浸れる。  ……はずだった。


と、その前に、周囲のNPCたちを紹介しておこう。

まずは、我が親愛なるラスボスこと父のガイウス(48)。

威厳があり、目力MAX。武術に秀でているようで、有能な者のみ好む、典型的なラスボス。

我が母、第五夫人ロザリア(23)が、俺を産んで亡くなると、ラスボスは、Dreamerへの興味を失ったようで、俺を「未実装データ」として処理した。

助かる。干渉してこないのは、珍しいラスボスだ。良NPC大歓迎!


御次に御覧にいれるのは、ラスボスの正室クラウディア(45)の息子と娘である、長男レオンハルト(27)と長女アリシア(21)。

彼ら二人は、1日に3回もログインボーナスを要求する、いわば、「パターン22。無神経に他人のテリトリーを踏み荒らす脳筋キャラ」×2と言ったところだろう。

彼らは、色々な言葉を吐いてくるが、すべて、俺の夢の肥やしになっている。

「おい、死にぞこない! いつまでそうやって、布団の肥やしになっているつもりだ!」

「見てるだけで吐き気がするわ。五歳にもなって、ほぼ寝てるなんて、あんた、間違いなく、無能よ!」

色々な言葉を吐くものの、端的にまとめれば、上記のようなセリフである。


うーん……パターン34。「言いたいことを魅力的にまとめるイタイ奴……」

~五歳の俺に、Go Sign、ムシって、bedにbetして、モブのムーブをスルーするぅ~

別に、ホントの俺がイタイ奴なわけではないし、運営が覚める(冷める)可能性を考慮して、パターン34を引っ張り出したわけでもないから……ち……ちがうから……ね?


とまあ、とにかく、レオンハルトとアリシアは、俺にとっては、良NPCだ。

なにせ、夢に浸る俺にBGMと即興性、なにより創造性を与えてくれるから。


そして、第二夫人イリス(40)の息子、次男セリウス(22)。

このNPCについては、短めに説明しよう。

これ以上、主役(俺)へのスポットライトを貸しだすわけにはいかない。決して、主役のポジを奪われそうになっているからではない。

こいつは、知性を自称して、挙動は序盤の噛ませのそれ。

ありがたく、「序盤の雑魚いNPC討伐」として、討伐させてもらっている。

経験値ありの美味しいNPCである。 


扉がけたたましい音と共に開く。

「アルトよ。感謝しろ。兄セリウスが来たのだからな!ふむ、完璧なシンメトリー。素晴らしい!」

……やれやれ。 セリウスは俺付きのメイドの一人、アイリスに夢中なのだ。シンメトリーというのは、アイリスのことだ。

こいつは、確かに、BGMをくれるが、俺の協力者であるアイリスを困らせるのは勘弁してもらいたい。


「セリウス様。アルト様が眠っていらっしゃいます。セリウス様のお相手をするなら、アルト様に許可を頂かなければ……」

「わかっておる!今日という今日は任せておけ!!」

セリウスは勝手に任されると、いつも通り、負かされにくる。


「あ~る~とぉぉぉぉ!!お~き~て~くぅれぇぇぇぇ!!」

俺は焦らない。  ここでキョドるのは初心者のすることだ。  

今の俺には、無数のパターンがある。

(パターン441:冷徹な支配者の風格で、雑音を無視する隠れ強キャラ……)

俺は目を閉じたまま、口角を1ミリだけ上げ、深い呼吸を繰り返す。  

どうだ? この「余裕」?ヤバイだろ?


「くそが……! どんなエッチな夢を見てるんだ!!この、知能なしが!」  

……エッチい夢だと!?見てないとは言えない。けど、証拠はないはずだ、そうだろぉ?


とまあ、いつも通り、雑魚キャラを討伐していく毎日。


くそっ!「端的」に説明するつもりが、良NPCへの愛が溢れてしまった……


さて、この世界も良NPCだけというわけにはいかないようだ。

第三夫人エリシア(35)の娘と息子、次女ミレイナ(17)と四男ノア(3)。

ノアの方は問題ない。まだbotのフェーズのため、関わることはほとんどない。

勿論、俺のハイレベな夢にbotを登場させることはできないから、まだノアは未実装だ。

問題なのは、ミレイナの方だ。奴は、紛れもなく、「害悪NPC」である。


「アルトくーん! お姉ちゃんが来たわよぉ!」

扉が勢いよく開き、花の香りと共に、害悪NPCが突撃してくる。

敵は、凛とした美貌を持ちながら、その中身は重度のブラコンという、害悪さを装備している。


「あら、今日も可愛いわね。どうしてこんなに柔らかいのかしら」 「……ふぐっ」

寝ている俺の頬を、彼女は遠慮なくこねくり回す。  

ミレイナは俺を「無能」だの「バカ」だのと言う連中から守るような素振りを見せるが、俺からすれば奴こそが最大の「安眠妨害工作員(システムバグ)」だ。

奴の過剰なスキンシップのせいで、俺のレム睡眠はいつもズタズタに引き裂かれる。


そして最近、さらに厄介な勢力が台頭してきた。  

第四夫人セレナ(28)の娘、フィオナ(5)とルーナ(5)だ。俺と同い年だというのに、ちっともスマートじゃない。

「にいに! おきて! あそぼ!」 「いっしょに、おにっこ、しよ!」

にいには、今、おにっこよりもおしっこしたいんだが……


幼子の無邪気な暴力とは恐ろしいもので、彼女たちは俺の布団に飛び乗り、ダイブをかましてくる。  

言葉をほとんど発しない俺に対しても、彼女たちは一切ひるまない。

俺にとって、奴らは、PKと呼ぶに相応しい存在だった。


勿論、PKがいるなら、Anti-PKもいる。

ここからは、俺の「聖域」を守ってくれる賢明な者たちをご紹介。  

俺付きのメイド、アイリス(21)とノエル(18)だ。

あと一人、シルヴィ(16)なる者がいるが、こいつは、俺が「夢」との共生を始めた頃のNPCのように、俺のために動いてはくれない。


「フィオナ様、ルーナ様。アルト様は今、深い瞑想の最中です。さあ、こちらに新しいお菓子がありますよ。お勉強の時間まで、体を動かしたければ、あちらの広場で遊んでください」

アイリスが、手慣れた様子で奴らを誘導する。  

ノエルは、さりげなく俺の布団を整え直してくれる。


「ノエル、アルト様はまだ眠ってらっしゃる?」

「はい、眠っておられます」

「手がかからないってこういうことかしらね?とっても楽だわ」

「それに、泣き言も言いませんし。私、永遠にアルト様についていきます!」 

これぞ、完璧な絆である。

もし、俺が起きて「馬を引け」だの「訓練に付き合え」だの言い出せば、彼女たちの休憩時間は消える。だからこそ、彼女たちは俺の安眠を死守する。

素晴らしい!


もう一人のメイド、シルヴィは少し違う。  

彼女は感情の起伏が乏しく、淡々と俺の世話をするが、時折その瞳に「何か」を期待しているような光が宿るのが、少しだけ不気味だった。

どこかのスイッチを押せば、シークレットクエストが発生するのではないかと思ってはいるが、夢の中でも、未だ、そのヒドゥンピースは発見できていない。

結構、強キャラなのかもしれない……


さて、あとはさくっと紹介しよう。

俺付きの執事のエドガー(27)。俺は男子(おのこ)である。

ゆえに、入浴をフルで、アイリスたちが見てしまうのは良くないらしい。

そこで、エドガーが入浴を世話するのだ。

エドガーは、ひげを蓄えていて、厳しそうな表情をいつも浮かべている。

そんなNPCとは、当然、何も始まらない。

アイリスやノエル、なんならシルヴィが世話してくれれば、「パターン666、メイドに溺愛される装備なしの少年……」というシチュが再現できるのだが……

夢の中では~起きていて~……どうして、シチュは……

とまあ、哀しい現実はここまでにして、俺専用の、騎士(ナイト)を紹介しよう。

「バブゥ ヘブ バブゥ、ホヘェ~(オスカー(26)とレイヴン(20)、出でよ!)

「お呼びでしょうか、坊ちゃま」オスカーの低音イケボが炸裂。

「御用命をなんなりとっ!!」レイヴンの気合のこもった声が続く。

うーん、「パターン38、国家危急の機に、護衛を呼びつける強キャラ……」

再現度は80%かな……あと20%は、この俺様が完成させるぜぇぇぇ!ここまでがいつものセットだもんなぁぁ!!

歯を食いしばれ!泣くんじゃない!!ここが正念場だ!!!原初の奥義!!!!

「ホ……ホ……ホギャァァァ……!(も……も……漏れるぅぅぅ!)」

男子(おのこ)の俺は、オスカーとレイヴンに迅速に運ばれる。

ふぅ……用済みだ。どっちの意味でも。


俺にとって、今世の異世界ライフは、最高だった!! のだが……

「アルト。貴様を本日、公爵家から『追放』する。すぐに、出ていけ!」

……へ?……なんでこうなった??

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アルト-no-AIM(ああ・いっそ・もらしてしまおうか)


・パターン441の真実: 実を言うと「冷徹な支配者の風格」を出すために一番苦労したのは、鼻毛が出ていないかのチェックだった。鼻毛1本で支配者の威厳は「パターン12:鼻毛を指摘できない部下の苦悩」のシチュへと強制上書きされるからだ。


・パターン34(韻踏み)の代償: 「bedにbetして~」と脳内で韻を踏んでいる最中、アルトの顔は無意識に少しだけ「ヘドバン」のように揺れていた。そこらへんを鑑みると、セリウスが「知能なし」と断じたのは、あながち間違いではなかったのかもしれない。

【お読みいただきありがとうございます!】

次話は、追〇回避?です~

~高評価やブックマーク、感想・リアクション等いただけるとありがたいです!~ 

E.N-de-core(エンドのキモ):「今回、妹たちの『おにっこ(鬼ごっこ)』と『おしっこ』を掛けるという、人類史上最も低レベルかつ切実なギャグを思いついた瞬間、自分の筆力が少しだけ心配になりました……引き続き、応援のほど、よろしくお願いいたします。」

――――――――【他作品も全力執筆中!】

更新をお待ちいただく間に、こちらの作品もご一読いただけると幸いです!

・『【武の極致】と【フェンリル】の力を以て、三つの世界で覇者となった俺』

「動かないだけの者に何がわかる。動けば変わる。今はそう信じろ。」

【戦×無双×成長】 →天下を争う軍記モノです!※後々、魔法や異世界系に変わっていきます!


・『生涯、病室だった俺、異世界で自由な体を手に入れたので、天下を獲ることにした』

「窓の外を眺めるだけの日々は終わった。今度は俺が、世界に眺められる番だ。」

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