邪教聖女~何かファンタジー小説によく出てくる自分の事を邪神とか言う神の話
我は闇の邪神ヴェルナーグである。
「ちょっと、ちょっと、神のくせに自分で邪神と言っちゃう?しかも闇の?頭痛が痛い的な?ネガティブ過ぎない?」
貴様らは我を崇める契約をないがしろにして永年放置した・・・・
「ちょっと、いつ?どこで?誰が?何故?如何に?契約を結んだの?人族の寿命は短いから契約の当事者は生きていないのだからねっ!契約は相続しないのだからねっ!」
あまつさえ、我を封印したが、力をためて出てきたのだ!
「じゃあ、プレゼンしてよ。この王国は女神教が国教なのだからねっ!女神教よりも素敵な宗教じゃなきゃ、ここにいる陛下は・・・」
ここは王宮の広間、大勢の貴族が集まっている時に、天井にオーガの顔をした闇が現れた。
「許可しないのだからねっ!」
ズンと玉座を背に少女は邪神に相対した。
邪神は問う。
【ピンク頭、お前は誰だ!】
少女はゆっくり頭をあげて名乗りをあげた。
「転生者にして邪教聖女サリーなのだからねっ!」
手にはリュートを持っている。
転生者であるが、こんな時にしか役に立たない。
このときのために王宮に侍っているのだ。
「何だと、お前も自分で邪教と言っているではないか?」
「フン!邪と枕詞をつけるのは人族だからねっ!神は自分を邪神とか言わないのだからねっ!」
「小賢しい我の力を見せてやる!」
邪神ヴェルナーグの闇は王宮一杯に広がったが。
「甘いのだからね!奥義!異世界の邪教!!東京大戦果報告会!言論戦争!」
ベベン♩ペペン♩
リュートを奏でながら唱題をした。
「南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経!」
ピカッ!
辺りは光に包まれた。
☆☆☆1990年代日本某所
・・・何だ。ここは異世界か?我の思念の中に異世界の光景が映っておる。
「佐里!ほら、包丁の工作出来た?」
「段ボールで工作出来たけど、やだよ。やめようよ」
「キィー!1000年に一度の法難よ!ここで戦わずしてどうするのよ!ほら、段ボールの包丁に朱墨を塗りなさい!」
「これじゃ、人殺しの仮装だよ」
「言論戦争よ!」
サリーの前世、佐里は段ボールで作った包丁を持ち母と運動場に向かう。
そこには仮装した大人達がいた。
僧侶の仮装、それも金ピカの法衣を来た僧侶。
卒塔婆を沢山持った僧。
彼らの教団は仏教団体より破門を受けた。
その報復で仮装運動会をしているのだ。
「卒塔婆いらんかねー!金だ金だ!」
「ぶっ殺すぞ!俺は僧だ。銭持って来い!」
「さあ、佐里も行きなさい」
「やだよ。お母さん。だから大戦果報告会は呪いの運動会をしていると言われるんだよ」
「キィー!悪じゃないわ。私達は清らかすぎる正義の団体よ!大悪を見逃すのも悪よ!」
「分かったよ。お母さん・・・」
・・・何だ。まだ、終わらない。どっかの集会場に集まったぞ。
「皆さん。悪を滅する祈りをしましょう!我らは仏の集団!」
「そうだ。そうだ。今まで坊主どもにお布施をしていたのだ!」
「「「「南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経!」」」」
☆数週間後
「大戦果!台風で飛行機が運行中止、坊主ども集会にいけなかったぞ!」
「「「大戦果!大戦果!大戦果!」」」
「よし、次は訴訟だ。遺骨を取り戻せ!」
・・・何だ。何て愚かな集団だ。皆、オーガのような顔ではないか?笑顔だが中身が抜けている。
これが本物の邪教・・・我は・・・
ピカッ!
光と共に元の王宮に戻った。
「はあ、はあ、はあ、はあ、サリーとやら何て言う物を見せたのか?人族は怖い!」
「これが本物の邪教だからねっ!邪教は自分を邪教と言わないのだからねっ!」
思い出した。我は神だった。いつしか地上の者の負の感情を引き受けていたから・・・自らを邪神と思うようになったのか?
「サリーよ。我は天に帰る。女神様の眷属だった」
「それが良いのだからねっ!」
ベベン♩ベベン♩ベベン♩
まるでリュートの音色とともに邪神の闇は光になり。
最後、ピカッと光って消えて行った。
廷臣達は安堵し。陛下はサリーをねぎらう。
「よくぞ退治した。褒美を取らす」
「・・・・違うのだからねっ。折伏・・だからねっ」
陛下に否定の言葉を発した。場は緊張に包まれるが。
陛下はただ一言。
「そうか・・・」
とだけ答えた。
「『そうか、そうか』だからねっ、褒美は・・・もらうのだからねっ!」
邪教聖女、悪の力を持って悪を制する。孤独な戦いなのかも知れない。
最後までお読み頂き有難うございました。
実在の団体、事件とは全く関係ありません。




