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結局同棲するんか?

「はぁ。」


「どうしたの? ため息なんかついちゃって。幸せが逃げるよ?」


「昨日茜が家を訪ねてきたんです」


「え!?」


「母さんに言って彼女の家にいることにして難を逃れたんですけど、これが続くのかと思うと……」


「災難だね~ならいっそのこと本当に私の家に住んじゃう?」


 紫苑は普段の生徒会長モードではなく僕と居るときにしか見せない態度でそういってきた。

 確かにとても魅力的な提案だ。

 毎日のようにあの頭のおかしい幼馴染に尋ねられるくらいならそのほうがいいのかもしれない。


「紫苑のご両親の許可が取れればそうしてもいい?」


「……え? 本当に家に住むの?」


「まあ、紫苑がいいっていうなら。あと許可が取れれば」


「わかった。聞いてみる!」


 どうやら、本当に聞いてくれるらしい。

 僕も半分くらい冗談で言ったんだけどな。


「あと、これ今日のお弁当」


「やった! 海星の手作り?」


「もちろん。じゃ食べよっか」


「うん!」


「「いただきます」」


 今は昼休み。

 誰も来ないという生徒会室で二人で並んで座る。

 普通は他の役員がいるはずなんだけど紫苑が優秀過ぎて今は他の役員の席がすべて空いているらしい。

 弁当箱を開けると今日の朝作ったばかりの弁当があった。

 昨日考えた通りに唐揚げを入れて後は野菜などを入れて彩を整えたものだ。

 栄養もある程度は考えているし、唐揚げに関しては冷めてもおいしい調理の仕方をしているため味も悪くはないはず。


「おいしい! やっぱり海星の作るご飯はおいしいね!」


「そう言ってもらえると作った甲斐があるよ」


「本当においしい! 私と結婚してくれない?」


「気が早いよ」


 料理ができるだけで結婚まで申し込んでくるとは。

 どこまで本気かはわからないけど嬉しい。


「あ、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」


「なに? お弁当のお礼に何でも答えてあげよう!」


「紫苑の素って今の感じなの?」


 ずっと疑問に思っていたことを聞いてみることにする。

 正直最初は触れないほうがいいかとも思ったけどもしかしたら、これから一緒に住むのかもしれないのだ。

 彼女のことを把握しておくのは大事だろう。


「う~ん。難しいな。でも多分こっちが素なんだと思う。いつもは気を張ってるから。今はリラックスしてるから口調も柔らかくなるのかも?」


「なんでいつも気を張ってるの?」


「信用できないから。弱みを見せるとすぐにそこに付け込もうとする人が昔いたの。それで誰にも隙を見せないように外では今の感じになっちゃったの」


 どうやら彼女も苦労しているらしい。

 人気者には人気者の苦労があるのだろう。


「僕の前では気を張らなくてもいいの?」


「うん。海星は私が弱みを見せても変なことをしようとは思わないでしょ?」


「それはまあ。紫苑の嫌がることはしたくないかな」


「そういうとこが好き!」


 なんか、こんな風に素直に愛情を伝えられることが無かったから少し照れてしまう。

 まあ、僕もそういう紫苑が好きなんだけど。


「「ごちそうさまでした」」


 会話をしながらも僕たちはしっかり弁当を食べ進めていたので昼休みが終わるまでに食べ終わることができた。

 弁当はかなり好評だった。

 あそこまで褒められると作った甲斐があったというものだ。


「じゃあ、今日は一緒に帰ろ? 海星の幼馴染がついてくるかもしれないし?」


「わかった。送っていくよ」


 放課後の楽しみができた。

 紫苑と一緒に帰れるだけでこの後の授業も乗り切れそうだ。

 こう考えると僕は自分が思っているよりも紫苑に惚れているのかもしれない。

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