初々しいカップル
「海星許可取れたよ!」
「何か聞かれなかった?」
「いや? 紫苑が選んだ人ならいいって即答だったよ?」
「本当に!? じゃあ、明日から紫苑の家に行ってもいいかな?」
「もちろん! こういうのは早いほうがいいからね!」
翌日の昼休み。
紫苑と昼食を食べているときにそう言われた。
正直かなり嬉しい。
大好きな彼女と同棲出来て喜ばない人間はいないと思う。
「うん! 明日荷物を持っていくね」
「楽しみに待ってる! これで毎日おいしい海星のご飯が食べられる!」
「なんだか、そこまで喜ばれるとむず痒いな」
「でも、本当のことだから。今日も一緒に帰ろうね!」
「もちろん。また昇降口で待ってるよ」
「うん!」
また、一緒に帰れることになった。
嬉しい。
昨日から僕と紫苑が付き合っているという噂が流れているがどうやら紫苑はそのことを隠さない方針で行くらしい。
まあ、そのほうが変な男が寄ってこないだろうから都合がいいってのもあるんだろうな。
「今日のお弁当も本当においしかった! ご馳走様!」
「お粗末様。そんなに無理して褒めなくてもいいんだよ?」
「無理なんてしてないから! 私が本当においしいって思ってるだけだよ!」
「そっか。ありがとう」
多分、紫苑は大丈夫だ。
きっと茜みたいなことはしないだろう。
今の紫苑を見て僕はそう思い安心した。
◇
「お待たせしました」
「いいや? 前も言ったけど全然待ってないから。じゃあ、帰ろうか」
「はい!」
靴を履き替えて昇降口をでる。
隣で歩いているせいかかなり視線を集めているが紫苑はそれを気にしている様子はない。
やはり、こういう視線には慣れているのだろうか。
「海星、手をつないでもいいですか?」
「別にいいけどいきなり何で? 結構な数の人に見られてると思うんだけど……」
「だからですよ。私とあなたが付き合っているとアピールするのです」
「なるほど。そういう事ならやろうか」
「はい」
そういって僕たちは互いの手を握りあう。
その瞬間に黄色い悲鳴やら絶叫やらが聞こえてきたけどそんなものは気にならなかった。
周りの雑音よりも今は紫苑とつないでいる手に意識が集中してしまっている。
僕の手よりも柔らかくて小さくてすべすべしていた。
手汗が出ていないか不安になってしまう。
「海星の手大きいですね」
「紫苑の手は小さいね。それにすごくすべすべしてる」
「そうですか。……なんだか少し恥ずかしいですね」
「言わないでくれ。そう言われると余計に意識しちゃうから」
「そうですね。ごめんなさい」
「いや、謝ることじゃないって」
僕たちは顔を真っ赤にしながらも手をつないで帰路に就いた。
この後は紫苑を家まで送り届けて今日はそのまま家に帰った。
紫苑の家に持っていく衣服や生活必需品をキャリーケースに詰め込む。
その作業をしてから僕は眠りについた。
後はこの荷物を明日紫苑の家に持っていけば同棲の準備は完了だ。
僕は明日に胸をはせて眠りについた。




