笑うカドにはフクきたる
口は災いの元と言いまして、不用意な発言で自らに災難が降りかかることがあります。
同じ言葉でも言い方によってカドが立つことがありますね。
森の中でナンテンの木が赤い実をつけている。
小さなタヌキくんと、頭に王冠のようなものを乗せた白いおサルさんがいる。
二人の間の盆の上には湯気のあがる椀があり、おしるこが入っていた。
「んとね。白猿さん。お正月になると『書初め』ってやるよね。あれって元日に書くものなの?」
「いいや。子狸くん。多くの場合は1月2日にやるものだな。1月2日はいろいろな仕事を始める『事始め』の日なんだ」
「なるほど、でも『一年の計は元旦にあり』とも言うの」
「そっちのことわざは、物事の計画は早めにやるという意味だ。一年の計画を立てるのがいいという意味で、実行までやる必要はないぜ」
「そっか。1月2日にやるんだね。学生さんの中では冬休みが始まって年末までに書いちゃう人もいるみたいなの」
「せっかちな人もいるもんだ。本来は一年で最初に書くことで、その年の抱負を固めたり、その年の字がうまくなるように願いをかけるものだぜ」
「んとね。字を書いたものを年神様に見せるってきいたことがあるの。だから年明け前に書くのは早すぎると思うの」
「どうだろうな。年神様がいる1月7日まで書初めを飾ることはあるけど、逆に言うと7日までに書けばよくて、開始時期は謎なんだな」
「んとね。年神様は元日におうちに来るんだよね」
「うん。年神様は元日にやってきて一年間の福をさずけてくれる。おせち料理もおぞうにも年神様へのお供えものだぜ。年神様が家に来るときに迷わないように、玄関の外に門松を飾るんだな」
「お正月の遊びで福笑いってあるよね。輪郭だけの顔に目隠しした人がパーツを並べる遊び。あれも年神様に関係あるの?」
「直接の関係はなさそうだ。新年から福を呼び込むことを祈願しているという説もあるぜ」