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語彙力を上げるために老人は漢検を受けてみる


 漢検。

 それは芸能人の戯れ。東大王の難読漢字の超難問をみながら、わたしは漢字という語彙を増やそうと思い立つ。

 東大王、放送終了するらしいですね。最近見てなかったし、仕方ないか。途中から広告感満載だったし。


 語彙力というものを鍛えようとすると、私たちは別に難読漢字を増やそうとは思わない。

 語彙力というものは、誰も知らない漢字をインテリ的に発することではないのは明らかである。

 主語と述語の一致、カタカナ語や比喩表現、伝わるわかりやすさ、と難しい言葉ではない要素が筆頭に出てくる。

 

 だから語彙力を鍛えると検索しても、漢検を受けようとはならない。それが一般常識である。常用漢字のみで語彙力は十二分すぎる。あとは新聞かネットニュースでも視ておけ。


 しかし、知らない言葉を覚えるということが、言語の数を増やす道だとするならば、知らない漢字を覚えるのも悪くはないような気もする。もちろんラーメンを拉麺と書けるのが語彙力じゃないし、鴇色や鴉の濡羽色が語彙力でもないのだろう。魚の名称なんてカタカナでいいし、いちごを覆盆子と当て字するのは馬鹿な鼻持ちならないやつだろう。

 躱すと漢字で書いたり、襤褸と書いたり、変換ならば余裕ですね。珈琲や黙禱や竈とかもね。




 小学生の頃、中学生の頃、高校生の頃。

 僕たちは語彙を増やした。それは、知らない漢字、熟語、流行りの言葉、を覚えていくことだった。

 なぜか常用漢字を習得したあと、大学生、社会人となっても、ずっと同じ漢字レベルで落ち着いている。

 漢字を学べば、簡単に語彙の飛躍ができるはずなのに。知恵や知識に酔ったり、外国語に向かったり、哲学的になりすぎて、母語に歴史的に堆積している漢字を無視してしまう。

 漢和辞典片手に古い書籍を読んでいたのも今は昔。旧字体なんてほとんど見なくなった現代語訳たち。硬派な漢字が生み出すゴシックな良さ、現代語訳のあまりの漢字の少なさの軽さ。フランケンシュタインはもっとゴシックだったのに。晦渋だから、いいんだ。画数の重さが雰囲気の重さをもたらす。


 昔の大正や昭和の岩波の短編を読んでいると、昔の人はこれぐらい漢字で、原稿用紙にスラスラと書いていたのかと感動する。タイピングしているだけの自分とは頭脳の水準が違う。書けないよ、そんな難しい言葉は言語の滑らかさを殺し、荒い砂利道の良さを生み出してしまう。

 スマホやネットがないとしたら、辞書もないとしたら、僕は小説的なものが書けたのだろうか。雑文だとしても。

 

 ストーリーとプロットとキャラクターにプラスして、漢字力が試されたとしたら――。

 スラスラと書くことによる、口語的な良さが生じる機会はなかっただろう。


 そうして、わたしは原稿用紙に帰ろうとしている。

 あまりにもデバイスによって軽くなった文章を、自分自身に取り戻すために。憂鬱と書く際の、憂鬱を味わうために。

 文というものは取り返しのつかない重さだと、感じるために。いや、消せるから取り消せるのだけど、そこには消しゴム労働と反エコな紙の消費があった。

 

 という作家的なものはおいておいて。

 どうせ完全に、原稿には帰れない。大事なシーンで手書きに戻りたいという、ただの願望。



 漢検は準一級か1級どちらかを受ける予定です。

 個人的には準一級は解けそうだと問題を見て思ったけど、いきなり1級は端折りすぎな気もする。常用漢字でも個人として使用しない語彙はいっぱいあるのだから。語彙力とは読めるというより使用が可能だという能動性なのだから。特に、小説家になろうなんだから。

 

 知っている漢字でも使えない漢字はある。語学はスポーツである、という外国語学習の基本が失われている。母語をわたしは使用できると高をくくっている。

 実戦証明、コンバットプルーフのない知識が、文章力として現れるわけがないのに。いい歳してハリのない洗練さのないテイタラクな文で低空飛行している。


 すぐに思い浮かんだ言葉をチラす悪い癖が染み付いている。文章力で戦おうというより、ストーリーやキャラで戦おうと。

 そんなことは気にせずに、文を書いていた時、わたしは文章を彩るために思考していたはずなのに。考えるとは、プロットやキャラではなく、文そのものに対してであったのに。

 文そのものを磨く。ストーリーやプロットやキャラクターではなくて。雑然と述べると、表現力や描写力というステータス項目だろう。


 10月ぐらいに漢検があるようだ。

 テキスト2周ぐらい準一級はやってみた。それから呪の思想を読んでみたり。

 なんとはなしに、言語は失われていく。誰も言葉を、壊してしまおうとは思っていないのかもしれないが、手のひらから次々と言葉は落ちていって生命力を失っていく。

 漢籍を読んでいた明治人たちには隔世遺伝でもないと戻れない。

 漢字に帰る。それは、何を目指して帰るのだろう。

 いや、そもそも漢字は遠くて手を伸ばして手に入れていたのかもしれない。

 

 漢検という資格ビジネスというものに乗って、漢字の文字数を測ろうか。わたしという脳は、どれくらいの漢字の方舟なのだろう。

 


 8/28

 とりあえず準一級から受けてみますね。

 体力的に無理な勉強は辛いので、まったりと時間をかけて1級は、2月の受験にでもしましょう。

 歳を取ると、若い時のような勉強法は無理なんだなぁ。徹夜の勉強とか最後にしたのはいつの頃やら。

 スキマ時間を縫うようにチマチマと勉強。時間はあるけど、勉強というハードな時間に使うタイムは作りづらい。

 9/6とりあえず、とりあえず、とりあえず、受験料を支払い。5500円になりけりなりー。


10/20

 まぁ、受かったんじゃないか。

 字の汚さでピンをくらいまくらなければ。

 共通する一漢字は分からなかった。ムズいクイズだ。あと、「きぎ」、どっちも知らない。



11/13

 準一級は合格しました。WEBの合否確認。得点は不明。

 ということで、次は1級ですね。

 まぁ、準一級は本読んでいれば、見たことは無きにしもあらずな言葉だし。




2/16

 漢検1級の日です。

 普通に落ちています。

 なんだろう、この難易度のバク上がり感。

 まぁ、6月にもう一度だけ。

 それにしても、受けてる人数の少なさよ。しかも、来ない人もいるから、なんて受験者数の少ない級なのだろう。田舎だからかな。

 対義語・類義語が分からなさすぎました。

 あと、当て字、ほぼノーべンだったので、分からず。範囲と勉強時間が間に合ってませんね。

 まぁ、ムズいムズい。

 でも、受けている人、若い子いないですね。もう漢字なんて老人の趣味の世界よ。

 いつ使うんですか、と疑問だらけ。カタカナは使わない決意でもしてないと。

 ルビって素晴らしいですね。ルビあってこその日本語だと思いました。

 読めない書けない意味不明。外国語ですか。


 ああ、6000円が儚くなりました。

 瀛や羸、なんて高度な文字構造、時代の流れで消えていかなかったのかな。襖と衾と麩とか、無駄に覚えた。特に麩なんてあったっけ。

 花綵列島は分からん。書けないよ。火災じゃないのか。ネジも頭に出てこなかった。搨の木偏のも読めないよ。ねじ式、ねじ巻き島、ねじの回転、うん、漢字が思い浮かばない。

 漢検1級、難読名字や地名でも覚えるほうが実用性ありそう。



6/23

 一応、申し訳程度にでも、漢検1級受験の結果を速報しておきましょう。

 結論、まあ、100点超えていればいいんじゃない。

 受かりません。こんな難易度無理あります。

 まあ、ゆっくりじっくりねっとりしっかり、時間をかけましょうかね。老人は時間がないけど、だらだらとした時間はまだあるから。莢えんどうの莢がね、爽みたいな、狭の横の部分みたいにしてしまいました。熟字訓もむずいね。やらないと。賓頭盧の賓を擯にしてしまったし。ああ、無情。

 またまた、受験生は、同年代ばかり。ああ、年寄りの娯楽です。病院の待合室のよう。

 20代、30代らしき人もいない。漢字より英語ですね。漢字なんて、ちょっとしたマウントにしかつかえない。年収も増えないでしょうし。

漢検は12月結果発表らしい。(10月の試験は)

12月にでも後書きで報告しましょう。

落ちているかもしれないが。


最近、本当に長編、書いてなくて申し訳ない。


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