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第九話

 騎士団の部隊長として、あくまで冷静に、そして聖騎士としての品格を保ちながら、私は団長室の扉を、全力で蹴り飛ばした。


「うわぁああああ!? 何だ!? 何事だ!? ラフラぁあ!?」


「〝凍える炎を我が剣に〟」


「凍炎剣!? ちょっ!? 古代竜級を相手取る本気の魔法剣を何故に!?」


 あぁ、いつ見ても私の剣は美しいわ。それに私の感情を感じ取っているかのように、剣が纏う白亜の炎が猛々しく燃え盛ってるのが、さらに私の感情を昂らせるわ。


「あ! おい! 怖がって見てないで、ラフラを止めろ、お前らコイツの部下だろうが!」

「団長こそ、ラフラ隊長がキレたら止めるの無理なの知っているでしょう!」


「〝纏うは慈愛〟」


「あ! 常時回復魔法を鎧に付与しやがった!? とにかく逃げ……られない!?」

「団長! ラフラ隊長の瞳の魔眼は、狙った獲物を逃さない〝退路断ち〟ですから、逃げるのは不可能です!」

「冷静に解説してるんじゃねぇよ!」


 ごちゃごちゃ煩いわね。あぁ、部屋の外に部下達がそう言えば集まっていたわね。何か聞いてきた気がするけど、一切聞く耳持たなかったから、何か慌てることなどあったからしらね。


 今の私がするべきことは、部下達の疑問を回収することではないわ。


「おぃいいい!? 凍炎の構えだとぉおお!? この部屋どころか騎士団本部が吹き飛ぶ規模じゃねぇか!? クソッタレが! おい! 緊急転移魔導具で俺とラフラを旧訓練場へと飛ばせ! 早くしろぉおおおお!」


「わかりました! 緊急転移魔導具の準備を早く! ラフラ様のあの剣技は、十秒ほどのタメが必要なはず!」


「急げ急げ急げぇえええ!!!」


 今、私が成すべきことは……


「〝閃光穿心撃〟」

「転移魔導起動! ぎゃぁああああ!?」


 悲鳴とともに、私の必殺の剣技は光の中に消えていった。




「と言うわけで、私も勇者一行に同行することになったわ」


「おい……昨日の夕方、何故か俺の方に方々から苦情が来たんだが?」


 あら、生意気にも私を睨むなんて、可愛いじゃない。


「何か、問題でも?」


「……むしろ、問題がないとでも思っているのか?」


 ほら、目が泳いだわ。ちょっと私が、ひと睨みしたら貴方の瞳は揺れるのを私は知っている。表情では強がっていても、本心はそうではないのよね。


 あぁああああぁああ!!! 表情まで歪ませたいぃいい! 打ちひしがれて情けない顔で、涙でも溜めていようものなら、より歪ませながら可愛がりたいのよぉおおお!!!!


「これまでの私の実績、部隊長としての実力。そしてこの事務局での貴方の仕事ぶりを加味すれば、この程度のことなんて大した問題になんてなりはしないわ」


「騎士団長に殴り込みどころか、本気で仕留めにかかっておいて、この程度か」


 はぁはぁはぁはぁ……微笑みなさい私。作りたくもない表情を作ることで、この昂りを抑えるのよ。貴方を屈服させることで興奮するなんて知られたら、復縁なんて夢のまた夢よ。


「手段は何でも良いのよ。私が望んだ結果になったことが、何より大事なのだから」


「騎士団は、お前の身内だから良いものの。団長とやりやったその足で、将軍の元へと行って、直接拳で語り合った上に力を認めさせ、将軍に気に入られた結果、お互いの面子を超えて同行を許可されるって……と言うか、それなら俺が同行しなくてもよかないか」


 貴方なら、その提案をしてくると思ったわ。


「各国との調整を、私のやり方で任せてくれるなら、貴方が来なくても良いかもね」


「ふざけるなよ。行く先々で拳で語られたらたまったもんじゃない。魔王を討伐してからも、各国との関係は続くんだからな」


「と言うことは?」


「勇者に加えて、お前のお守りもしなくちゃならんと言うことだ」


「へぇ、私を止められると? 団長や将軍でさえ、本気の私をやすやすとは止められないと言うのに?」


「何故に、俺も武力で対抗する前提なんだ。そんなことしなくても、ちゃんとお願いしたら、お前は無茶しないだろうが。今回みたいに、面子に拘るオッサン達でなければ、お前は〝微笑みの騎士〟様なんだから」


「えぇ、ちゃんと貴方がお願い(・・・)してくれれば、大人しくしているわ」


 お願いってアレよね!? 上目遣いで、瞳には涙を溜めながら、懇願することよね!? あぁあああああ!!!!


「それなら、良いがな。話は変わるが、勇者達が装備するであろう武具だが、鍛治ギルドに依頼する様に、素材の調達は任せて良いか? うちの資材部だと、そもそも一点物の武具を製作することがなくてな。棚卸しをさせているが、そこまで希少な素材はなさそうだ」


「騎士団が保有する素材は、そちらよりも希少な素材があるけれど、勇者の武具を製作することを考えると、物足りないわね。冒険者ギルドに国から素材調達を依頼しても良いとは思うけれど、正直期待は出来ないわね。それだけ希少な素材、例えば古代種系統は討伐出来る様な冒険者であれば、自身の武具の強化に使うわ」


「まぁ、そうなるだろうな……それに、古代種などの素材は、素材自体に生前の個体の魔力が宿る。そして、自らを討伐した者にしか十全に扱えないような代物が多いからな」


 そうなのよ。だから、私も貴方を十全に扱うために、日々鍛錬を欠かさないの。完全に叩きのめし、屈服させ、何をされてもソレが幸せなんだと、心の底から感じ、興奮させるために。


「十全に扱えないだけで、武具としては強力なのは変わらないから、騎士団でも特殊素材の調達は進めるわ」


「あぁ、頼んだ。間に合わなければ、事務局として責任を持って、俺とお前で調達に行くことにするしかないからな」


 任せて。絶対に騎士団では、調達を失敗させるから。全力で阻止することが、今この瞬間に決定されたわ。


「そうなったら、仕方がないわね」


 二人よね!? 二人っきりで、討伐任務よね!? 二人ふたりフタリきりぃいいいいいいいいい!!!!!!!!!


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