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第五話

「戦闘訓練は、騎士団の担当で良いのよね?」


「それなんだがなぁ……軍も関わりたいっていう圧力が、将軍からうちの大臣に分かりやすくかけられててな」


「軍が何を訓練したいのよ。単騎または五人程度の魔王特攻パーティーによる撃破が、これまでの記録では行われてるはずよ。戦争が生業の彼らが、勇者達に関わることなんてないに等しいでしょう。それに、下手にうちの訓練時間を減らしたりしたら、今度はうちの団長が、分かりやすくココに来るわよ?」


「それな。本当に、縄張り争いやめてくれよなぁ。だが、将軍の面子もあるだろうから、ダンジョンからの大氾濫(スタンピード)を想定した大規模戦闘訓練に、勇者を参加させることで折り合いをつけさせてもらうさ」


 正直、本当にそんな事が起きたら騎士団も当然出撃する訳で、わざわざ軍と訓練する必要なないどころか、死んでは困る勇者を護るのは騎士団の役目だから、軍とは関わらない可能性が高いけどな。


 そんな事、ラフラもすぐに気付くわけで……そんなにわかり易く額に青筋立てないでくれるかなあ。これからの事を期待して、ドキドキしちゃうだろ!


「それで、うちの団長を私が説得しろということ?」


「そういう根回しが、事務局の仕事だろうが。ちなみに、将軍にもお前が説明に行ってもらうからな」


「はぁ? あのオーガモドキに言葉が通じるとでも?」


 キタキタぁあああ! 俺にキレてるわけではないけれども、腹が立つから取り敢えず俺にキレとこう的な、遠慮のない睨み頂きましたぁあああ!


 おぉおおお落ち着け俺。息遣いが心なしか荒くなってる気がするぞ、俺のな!


「だが、事務方の俺が行っても、あの人は会う事すらしないからな。少なくともラフラなら、会って話くらいは聞いてもらえるだろう」


「近衛兵と試合しないと会えないとか、面倒にも程があるのよ。それに、貴方だってそれぐらい出来るでしょうに。怠けて、私にばかりそんな役回りを押し付けないでもらえるかしら」


「いやだって、あいつら事務方が相手だと、必要以上に本気になってかかってくるだろうが。時間と労力の無駄すぎる上に、俺はそこまで暇じゃない」



「私は、暇だと言いたいの? ん?」


 あぁ、その俺を煽ってくる目が堪らん。椅子に座っているのにも関わらず、仰け反ってでも見下すところとかは、これはこれで可愛いなぁおい!


「騎士団の者の方が、色々縄張り意識があったとしても、事務方の俺が行くよりは話が進むということだ。適材適所で動いていかないと、勇者を呼ぶ日までに準備を終わらないだろうが」


 実際、勇者を呼ぶまで余裕なんてある日数ではないのだから。まぁ、それがラフラとて分かっているから、ちゃんと動いてくれるのだけれど。そして、そのことを俺が分かっていっていると言うことも理解している。


 だからこそ、余計腹が立つのだろうな。目線が俺の心に突き刺さる。そう、突き刺さってきちゃうんだよぉおおお!!! うひゃぁあああ!!!


「貴方が事務方であるから行けないということであれば、今からでも騎士団に加入すれば良いのでは?」


「この歳から今から騎士団に加入とか、どれだけ新入りいびりをうけると思ってるんだ。ただでさえ、俺は大臣付き秘書官として、騎士団にも色々面倒な依頼とかも日頃からしてるってのに」


 ラフラ以外に、ぼこぼこにされるのなんて嫌すぎるわ! 俺はあくまで、この目の前のハーフエルフの元嫁に虐められて、その興奮を隠すことで、さらなる背徳感すらも手に出来る今の環境に、文句の一つもないのだから!


「確かに腕は別として、新人いびりには合うでしょうが……いきなり私の部隊に所属させれば……部隊長名目で、私専用としてしまって……」


「何を言ってるんだ、全く」


 ラフラ専用として、ラフラが虐めてくれるなら、むしろ大歓迎だが! だが! それじゃぁ、全く俺の仕事が進まんから、それは夢として心にしまうべきだろうな。


「そんなに急ぎでもないが、今月中には二人に根回ししておいてくれよ。こっちはこっちで、宮廷魔導士団とかとも打ち合わせしなくちゃならないんだから」


「……フスクール魔導士団長と?」


「そんなあからさまに、眉間に皺を寄せなくても良いじゃないか。お前が彼女を嫌いなの知っているから、こっちは俺が行くんだから」


 昔馴染みであるフスクール魔導士団長とラフラは、これまた昔から相性が悪い。あっちはエルフで、ラフラがハーフエルフという事が原因だと、周りはもっぱらの噂であるが、俺も本当のところは知らない。


 魔物の討伐などの時は、しっかり二人ともに見事な連携を見せるから、仕事であれば問題ないはずだが、俺で対応できるならそれに越した事はないのだ。


 ただ、俺も彼女のねっとりとした粘着質な目線は苦手と言えばそうなるのだが。


「私が彼女を嫌い? 嫌ってなんかいないわよ?」


「は? いつも三人揃ったら、喧嘩ばかりしてたじゃないか」


 あれだけ俺を挟んで喧嘩しておいて、何を今更取り繕うとしているのか。


「あれは……まぁ、いいわ。アレは、三人が良いと言ってたし、貴方一人なら取って食ったりしないでしょう」


「当たり前だ。魔導士団にとって喰われるとかみたいな状況になってたまるか」


 そんな値踏みするような目で俺を見たら、俺の顔がほころんでしまうだろ。やめないでくれ、こっちで勝手に我慢するから!


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