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第十五話

 あぁああああぁあああ!!!! クラウトがいつものクラウトにもどったぁわああ!!!!


 もうアレよ! アレなのよ! 机に突っ伏して号泣して、すぐにでも貴方を顔を引っ叩いて、〝え? いきなり何なの!?〟の様に、震える瞳を見たい衝動がぁあああ抑えるのに必死すぎるわ私ぃいいいいい!!!!!


「ラフラ? そんな右腕を押さえて、どうかしたのか?」


「あと三日しかないって言うのに、寝ぼけていたとか抜かす同僚を、どつこうとする右腕を全力で押さえているのよ」


「右腕が蛮族過ぎるだろ……」


 嘘は何一ついってませんんん!!! 貴方が感情が死んでいるかのように作業している間、私もそれが気になって、その間の記憶なんてありゃしないんだから!


 貴方のせいなのよ! あ・な・た・のせいなんだからぁああああ!!!


「はぁ? 誰のせいだと思っているのよ」


「……まぁ、仕事はしっかりしてるから良いじゃないか」


 もぉおおお!!! そんな目を泳がせないでよぉおおお!!! はぁはぁはぁはぁ……鎮まれ我が右手よ……駄目よ、こんなところで。いくら机の下は見えないからって……はぁはぁはぁ


「業務に支障が出ていないところでドヤ顔されても、当たり前でしょとかしか言えないわよ?」


 私は、貴方の態度がそっけなさ過ぎる期間なんて、騎士団の業務なんて一つも手につかなかったんだから! 責任とってよね! とってくれるわよね! 責任んんんん!!!


「確かに、それはそうだな」


 あぁ!? そんな潤んだ瞳をしないで! いや、もっとして! わかっているのよ? そんな犬耳ついていたら、間違いなく垂れてしまうような空気をださないでよ! いや、もっとだして! 表情は全く崩さないのに、瞳と空間だけで気落ちしてそうな雰囲気出されたら……出されたら!


 嗜虐心が刺激されすぎるぅうううううう!!!!



「大神官殿と聖女殿と、召喚同日の打ち合わせに行ってくる」


「わかったわ」


 あぁ……ここで、いってらっしゃいと言えたら、何て幸せなことなんでしょう。それを言えるほどの素直さが私にあれば、離婚なんてしてないのだけれども……


「はぁ……やっぱり彼の様子がおかしくなったのは、殴った時からよね。でも、これまでも訓練と称して虐めていた時だって、散々可愛がってあげたのに、今回のようにならなかったわよね?」


 あんな殴ってくださいと言われて、殴ったことは初めてだったけど……もしかして、無防備なことに興奮して、割と思い切りよく欲望のままに殴りつけたのが、駄目だったのかしら。


「何にせよ、訓練以外で彼を殴りつけるのは危険ね。また、あんなふうにそっけない態度を取られたら、死んじゃうもん……」


 涙を流しては駄目よ、フラウ! 涙は流すものではなくて、彼に流させるものなのだから! いっぱいに涙を瞳に溜めさせてからの、それでも一線越えるか超えないを見極めつつ……はぁはぁはぁはぁ


「でも、勇者召喚って本当に出来るのかしらね。彼が仕切っているのだから、儀式自体は滞りなく進むのでしょうけど」


 三日後に儀式が迫っているけども、対面に座って仕事をする彼に夢中で、どうでも良くて勇者自体に興味がまるで湧かないけれども。ただ、もし私の彼にちょっかいをかけてくるような輩だった……


「敵認定ね……」


 あ、なんかイラついて来たわ。何故か、召喚される勇者が女な気がしてきたわね。きっとそうね、女の勘は当たるって言うもの。


「とりあえず、最初の戦闘訓練でしっかり心を折って、私のモノに手を出すなんてことを、考えないようにしなくちゃ」


 彼は事務局長だけれども、あくまで裏方なのだから、勇者召喚の後はしっかりこの部屋に監禁……どっしり構えてもらって、同じ事務方である私が勇者達と接触すれば問題ないわね。


 状態異常は、私も彼も耐性があるから効かないから、魅了の類をもし勇者がして来たとしても問題ないし、顔や身体で彼を誘惑しようとしても、美しく蠱惑的な身体をしている私を見慣れている彼が、そんな罠に嵌まるとも思えないし。


「念の為に、前日に身体を隅々まで仕上げて行くべきね……ドゥフ、ドゥフフフ」


 あ、涎が団長に提出する書類の上に落ちてしまったわ。だから何って、感じだけれども。どうせなら、彼の顔に落とせれば良いのに。


 駄目駄目、まだ明るいうちからそんな事を考えては、身が持たないわ。どうせするなら、彼が対面で真面目に仕事をしているのも見ながら、妄想するべきよ、フフフ。


 彼を目の前にしての妄想は、背徳感が堪らないものね。


「何であんなに神官という生物は、頭が固いんだ、全く」


 あら、色々あなたで妄想してたら、本物が帰って来たわね。


「昔からそんなこと、わかっていた事じゃない。何を今更という感じね。聖女の方は、準備は出来ていたのかしら」


「聖女殿()な、敬称を普段から付けろと言っているだろうが、全く。聖女殿に関しては、召喚術を行使する為の試練も無事に終えたそうだ」


「なら、問題ないじゃない」


「まぁ、そうなんだがな」


 いいわね。その何かしらの懸念に対して対抗策を考えているの表情、仕草、素敵よ。その端正な顔立ちを崩したいのだけれど、良いかしら?


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