87,二千年幼女~エンドロールのそのあとで~
――勇者立・ユリーシア学園。
あと数か月ほどで創立から一〇〇〇周年を迎える、圧倒的歴史と規模を誇る超学園である。一〇〇〇年前と言えば、【魔人】がまだ【魔族】と呼ばれて差別され、世界中で戦いの火種が燻っていた頃だ。今となっては想像もできない。
そんなユリーシア学園の中庭の隅っこ、日当たりの良いベンチにだらりと腰かけ「歴史の話は気が遠くなるなぁ……」なんてぼんやりとつぶやく少女が一人。
彼女の名はアティミーシャ。ユリーシア学園指定のブレザータイプの制服に身を包んでいる。ブレザータイプは高等部の制服、即ち女子高生である。
チョコレートのような褐色の肌、とぐろを巻いた小ぶりな角、そして先端がハート型になっている尻尾などの特徴からしてバリッバリの魔人娘。そのお目目は半ば夢の世界を見ているような半開き。明るめの茶髪は寝癖だらけのぴょんぴょん楽土。ネクタイは解けて垂れさがり、ブラウスのボタンもお腹の辺りで一段ずれてしまっていて……まぁ、ご覧の通りバリッバリのずぼら系の魔人女子高生でもある。
開花を待つ桜の枝葉から差す木漏れ日に眠気をくすぐられ、アティは「いかんいかん」とゆったり首を振った。眠気を払おうとしているのだろうが、首振り速度からやる気をまったく感じられない。のんびり屋さんである。
「うぅー……私ってば色々と考える事があるのに~……春を予感させる陽気が邪魔をするぅ……」
私は悪くないのだぁ……などとつぶやきつつ、アティは胸ポケットから電子端末を取り出した。
スマートフルホン、略してスマホと呼ばれる科学の産物。掌サイズの装置でありながら、これひとつで世界の情勢を瞬時に知る事ができる。ここ数年で開発・爆発的に普及した近代化を象徴するアイテムでもある。
アティがだらだらとした動きでスマホの画面を撫で、表示したのは授業の記録。学習用に調整されたスマホは、教師の発言を自動で文字起こしして記録してくれている。
アティは画面に指を当て、のたのたとスクロールしていく。
先ほどの授業はアティのクラスの担任が担当している体育の授業で、特別講師としてイケメン・ニルヴァーナからリン・シェンヴ先生を招いた『ぶち生かすクンフゥ的タイキョク拳』講座だった。ご覧の通りだらだら原理主義者のずぼらJKであるアティに取って、運動系の授業は地獄のような時間だったが……その地獄にはなんと延長戦まであった。
授業の締めに担任の口から放たれた連絡事項――三か月後に行われるユリーシア学園一〇〇〇周年を記念した特別文化祭についての再告知。
「一〇〇〇周年祭の展示課題、かぁ……去年で聞いてたけど、完全に忘れてたぁ」
ダルみっしゅ~と猫みたいな口でつぶやきながら、アティはぽへぇと言う擬音と共にベンチの寝転がった。
課題は『平和について』と言う題材でレポートを書け、との事。
世界平和の象徴である勇者、その勇者様が立てた学園の記念祭と言う事で、全校生徒の平和に関するレポートを集めて展示しようと言う話だそうで。どこに需要のある企画だろうか、とアティは思う。
そして何を隠そうアティちゃん。
運動系は嫌いだが、だからと言って文化系が好きと言う訳ではない。
平和学習だの歴史学習だのは特に、うだるほど嫌いである。暗い話ばかりで楽しい要素がひとつも無いと言うのが本当にキツい。
でもさすがに、こんなメモリアルな課題をサボると内申が即死してしまう。
なので、あらゆる苦難から逃げるためなら手段を選ばないアティも観念。
この課題ばかりは、眠気に抗ってでも真面目に取り組まざるを得ない。
うぅ~……と端末と睨めっこしていると、画面端の時計表示が目に止まる。
次の授業までそう時間は無い。課題の期限はまだまだ先だが、この課題だけをやれば良いと言うものでもないのが本当に面倒くさいったらありゃしない。と言うか、どうして時間は進むのか。恨めしいにもほどがある。
「あ~……そう言えば次の授業なんだっけー……確か、家庭科? 近いうちに先生がマルクトハンサム陛下を招いて『保育される側の視点から語る保育の在り方講座』をしてもらうとかどうとか先生が言ってたような……あー……イケメン特別授業って目の保養にはなるけど……イケメンたちはみんなその道のガチだからハードなんだよねー……」
ユリーシア学園の特色のひとつが、イケメン特別授業だ。
創設者である勇者ユリーシア女史が買い取った遊戯結界魔導書、イケメン・ニルヴァーナの住人であるイケメンたちに講師を務めてもらい、授業を行う。イケメン・ニルヴァーナはあらゆる文化圏のイケメンを網羅しているので、国際的に活躍できる人材を育成する環境としては最高だと言える。
昔は生徒がイケバナにログインして授業を受けに行っていたが、昨今は科学の台頭・劇的な発展によりイケメンたちの方からサイバー受肉して出てくるようになった。つまりイケメン授業からは逃げられない。
アティは以前、グリンフィース先生の乗馬の授業から逃げようとしたらペガサスで執拗に追い回された挙句、その後にペナルティ課題として『のじゃロリの良さみについて』と言う題材でレポートを書かされた。ダンダリィ先生のサーフィン授業やジャンジャック先生の害獣・害虫駆除ライセンス取得講座から逃げようとした時も「そこまでする!?」ってくらい全力で捕まえにきやがった。そしてダンダリィ先生からは『幼女のハグがもたらすセラピー効果について』、ジャンジャック先生からは『神の加護を受けた幼女に勝つ方法について』と言うレポートを書かされた。イケメン先生はロリコンが多いのかも知れない。
「はぁ……イケメン先生はなんでみんな、あんな必死に教えたがるのかなぁ……」
「決まっておる。生徒たちに良き未来がある事を、祈っておるからじゃ」
流れる雲へ投げたアティの問い。その返答は、横合いからきた。
「将来のために、知識や技術は多くて困らぬからのう」
アティの独り言に応えたのは、実に幼げな女児ボイス……のくせに、何やら喋り方がジジ臭い。
声のした方に視線を向けると……アティの予想通りの人物がいた。
「生物科のアリスちゃんだぁ。今日もロリだねぇ」
「これでも精神的には二〇〇〇歳超えじゃと言っておろうが。あとアリスちゃんではなくアリス先生な」
「アリスちゃん先生」
「意地でもちゃん付けてくるじゃん貴様」
ふりふりのドレスに身を包んだ、黒髪に紅い瞳のもちむにチョコ肌幼女。角や尻尾はないが、一応魔人らしい。ギザギザの歯がかろうじてそれっぽい。
「アリスちゃん先生、こんな所で何してんの? そろそろ予鈴なるよー?」
「そっくりそのまま返したるわ。アティ、貴様……毎度あれだけイケメンたちにシバかれとるのに昨日もまた授業から逃げようとしたらしいな? 昨日は確か、ベジタロウの『タマネギ経済学』じゃったか?」
「まさかタマネギだるまに包囲されるとは思わなかったよー……二重に泣いちゃった」
「あのタマネギ汁、きついよなぁ……」
アリス先生も過去に食らった事があるらしく、苦笑いを浮かべる。
「貴様は授業脱走の常習犯じゃと、職員会議でよく話題に上がるぞ」
「アリスちゃん先生の授業は好きだよー。わかりやすいし、何より動物について夢中で語るアリスちゃん先生カワイイ」
「イケメンたちの授業だって楽しいじゃろう?」
「んー……興味の問題かなぁ……私、基本的に何事にもやる気を出さないタイプだからー。カワイイならどうにか耐えられる」
「怠惰じゃのう……」
言いつつ、アリスは「よいしょ、よいしょ」とベンチをよじよじしてアティの隣にぺたんと座る。
「その調子では、周年祭の課題もひぃひぃ言っておるのではないか? さすがにあれはサボるなよ。単位的にシャレにならぬぞ」
「うぅ~……わかってるけどねぇ……」
アティはのったりとした動きで体を起こし、ボリボリと首を掻く。
「平和だとか何だとか、今の御時勢、考える必要ある? 戦争なんてもう誰もやりたがらないでしょ?」
「当たり前に存在するものでも、理解を深めるのは大事な事じゃぞ」
「そうかなぁ……?」
「例えば――貴様が毎夜ぐっすり眠るために使う疑似羽毛布団も、『羽毛が柔らかいのは当然だが、それは何故か?』と考えを深める者がいて、そこから色々あり寝具に特化した性質の疑似羽毛を開発するきっかけが生まれたそうじゃ」
「うっそ……めっちゃ重要な事じゃん」
「嘘みたいにいきなり目が開いたな。なるほど。貴様のやる気を出させるには、寝具に絡めた話をすれば良いのか」
職員会議で共有しておこう、とアリスが頷く。
「平和について考える重要性はなんとなくわかったけど……それはそれとして、やっぱ難しいよねぇ……平和について考えるってなると、大昔の悲惨な戦争の話とか、避けて通れないし……」
「まぁ、重たい題材じゃ……気が滅入るのもわかる。ワシもできれば思い出したくはない」
「……そっか、アリスちゃん先生、当事者なんだ」
見た目は幼女、実年齢は二〇〇〇歳。つまり、一〇〇〇年前に勇者と元魔王軍四天王こと勇者軍四天王の活躍によって人類意思の統一による恒久平和を目指す組織【超・国際平和連合】が樹立されるより以前――戦争が当たり前に行われていた時代を、知っている。
「……何か、ゴネてゴメンね? アリスちゃん先生的には、真面目に取り組んで欲しいよね」
「いんや。別に」
アリスはものすごく軽い感じで否定して、笑う。
「言ったじゃろ。ワシとて思い出したくないわ、あんな時代。ああ、じゃが、教え子に単位を落とされると夢見が悪いのう。そう言う意味では確かに、真面目に取り組んで欲しいな。頑張れ」
「…………思ったより、さばさばしてるね?」
「気にしておれば過去を改変できると言う訳でもあるまい。負の歴史を軽んじたり忘れ去るつもりは無いが、気負い過ぎるつもりも無い。過去を抱え込むのは程々に、と言う事じゃ。ワシは今を生き、未来へ歩を進めておるのじゃからな……っと、喋り過ぎたか」
学園内に、ゴーン……ゴーン……と鐘の音が鳴り響く。予鈴だ。
次の授業に備えろ、と尻を叩く合図である。
「そう言えばアティ、貴様の幼馴染は歴史に詳しいじゃろう。あやつの手を借りてみてはどうじゃ?」
「プラットの事?」
と、ウワサをすれば影か。
向こうの方からこちらに真っ直ぐ歩いてくる人間の男子生徒が一人。長身なので細身に見えるが肉付きはしっかりとしている。男子高校生とは思えぬほどその白銀の髪は手入れしっかりでさらさらしていて、イケメンに負けず劣らずのイケメンフェイスには激しく知性を強調する細いフレームの眼鏡。そのレンズの奥には常に知識欲でギラギラ光る琥珀の瞳。
アティの幼馴染、プラット。
複数の運動部に所属するスポーツエリートでありながら知識欲も旺盛な文武両道マンだ。以前アリスは彼に「生きる資料みっけ!!」とでも言わんばかりの勢いで質問責めにされた事があるので、若干だが苦手意識がある。まぁ、それ以上に可愛い教え子ではあるが。
プラットはベンチの前で止まると、まずはアリスに向けて軽くお辞儀。
「アリス先生、こんにちわ。お疲れ様です」
「うむ。こんにちわなのじゃ。プラット」
「で、おい。アティ」
アリスへの礼儀正しくハキハキとした態度から一転。
アティの方へ視線を向けたプラットは、ヤクザみたいにどすのきいた低い声と鋭い目つきになる。陰で「インテリ万能ヤクザ」とあだ名されている所以である。
「やぁん。プーくん顔が生まれつき恐い」
「生まれつきじゃねぇよ!! 割とここ最近だ!!」
それはともかく! とプラットは眼鏡の位置をくいっと直し、慣れた手つきでアティの後ろ首を掴む。そしてまるで猫か何かのように、その体を軽々と持ち上げた。アティは確かに小柄だが、それでも片手で掴みあげるとは、インテリ万能ヤクザは腕力もすごい。
「予鈴も鳴ったってのにこんな所で……また授業をフケようって腹だったんだろ」
「今回は違うもん。さすがにマルクトハンサム陛下から……って言うかセフィラ・ダートから逃げようなんて無謀さは無いよう。ハンサムビームはマジで死んじゃう。アリスちゃん先生と話込んじゃっただけだよぉ」
「先生にちゃんを付けるな! まったく……本当にすみません、アリス先生。ちゃんと言っておきますんで」
「ああ、まぁ、お手柔らかにな」
どうやら、プラットはアティを迎えに来たらしい。
アティにだけ妙にぶっきらぼうなくせに、アティにだけ妙に優しい。
不思議な奴じゃなぁ、とアリスは小首を傾げる。
「あ、そうだ。ちょうどプーくんの話が出てたんだよ。周年祭の課題について。そう言えばプーくんはもうどんなレポートにするか決めたの?」
「ああ? テメェが課題の話してるなんてクソ珍しいな……俺は、『【千年筋肉】って実は良い奴だったんじゃね?』って都市伝説についてまとめる事にしたぜ」
「ぶふぉっ」
プラットの発言に、アリスが突然むせた。それもかなり激しめに。
「ちょ、アリス先生!?」
「ありゃー、大丈夫? 何か変なむせ方したねぇ?」
「だ、大丈夫、じゃ。問題無い。と、ところでプラットよ。何故そんな題材に……」
千年筋肉とは、一〇〇〇年ほど前に討ち果たされた史上最悪の大魔王だ。魔人が魔族などと呼ばれ差別され、長く人間と争っていた暗黒の時代……その原因を作った張本人。どれだけ汚い言葉を用いても足りないクソ下郎である。
千年筋肉が討伐された事で平和な時代への大きな躍進があった訳だし、平和学習で千年筋肉を取り上げる事は別段、的外れではない。だがしかし、何故よりにもよって千年筋肉が良い奴説などと言う珍説を持ってきたのか。
「生きる歴史書であるアリス先生にはシャカに座禅強要でしょうが、千年筋肉に関する史料を漁っていると不可解な事が多いんですよ。通説における千年筋肉のイメージ像と、史料にある千年筋肉指揮下での魔王軍の動き方はどうも噛み合わない。千年筋肉がやっていた戦争は、まるでわざと膠着状態を誘うような手がやたらと多い。とても世界征服を企み悪虐の限りを尽くす輩とは思えないんです。むしろ平和主義者が厭々ながら戦争をやらされていると言う印象を――どうしたんですかアリス先生。何でそんなに冷や汗を?」
「い、いや……その……天界にその辺の史料改竄も頼んでおくべきじゃったなと……」
「アリスちゃん先生なんて? 声が小さくてカワイイよ?」
カワイイ関係ある?
「先生にカワイイとか言うな! 確かにカワイイけども! 失礼だぞ!」
「ま、まぁ……その、何じゃ。うむ、独創性があって、良いと思うぞ」
「ネットでは割と有名な説ですよ?」
「マジで!?」
「アリスちゃん先生、インターネットとか疎いもんね」
「そうじゃったのか……しかし、いくら有名な説とは言え、よくそれを取り上げようと思ったのう」
「ええ、まぁ……」
プラットは静かに眼鏡をくいっとすると、神妙な面持ちで語り出した。
「俺は、正しさを重んじたいんです」
「正しさ?」
「はい。でもそれは単に正義だとか潔白とか綺麗であるとか言う話ではなくて……まだ上手く、俺の中で言語化できていないので曖昧なんですけど……正しい事をした人が、正しく報われる世の中であって欲しい。少々、子供っぽい言い回しですがそう思うんです」
若干、照れ臭そうではあるが、貫くべき信念だと確信しているらしい。語る声に躊躇いは無い。
「もしも千年筋肉が嘘を吐いて悪役を演じていたのだとすれば、それは立派な詐欺、犯罪行為です。それも世界規模で大騒ぎを起こすほどの」
「うぐっ……」
「うぐ?」
「い、いや、何でもない。続けてくれ」
「ですが、史料から推察する限り……その詐欺行為はもしかしたら、世界を平和に導くための事だったのではないか……そう、感じられる節があるんです。簡易年表で見るとあからさまなんですが、千年筋肉が討たれたタイミングから世界の風向きが完全に変わっているんです。魔王軍の動きも元々『和平に持ち込む隙があればすかさず行くぞ』と構えていたと言わんばかりのスムーズさで……停戦協定が交わされてから恐ろしいほどスピーディに完全終戦宣言を果たしている」
「ぐ、偶然では……?」
「その可能性もあります」
しっかり頷いた上で、プラットは「でも」と続ける。
「もし偶然ではなかったのなら……俺は、千年筋肉の行為が正しく評価されて欲しい。報われて欲しい。そう思うんです。その役目は充分果たされ、彼のおかげで――彼の献身があったからこそ、今日の平和は確かに実現したのだと」
「……………………」
「世界の平和政策が盤石化した昨今、千年筋肉を絶対最悪の魔王とする通説が覆った所で、今さら大きな問題も起きないでしょうし……と言う訳で、徹底的にやりますよ、俺は」
たかが学生のレポートと言えど、才溢れる若者が気力の限りを注いで取り組むとなると――何かひと波乱も有り得るかも知れない。
「後日、またアリス先生にも取材させていただきますので、どうかよろしくお願い致します」
「お、ぉう……任せよ……」
「アリスちゃん先生めっちゃ声ちっさ」
「失礼だぞ!」
と、ここで急かすようにゴンゴンゴーン!! とやかましく鐘が鳴り響いた。
「げぇっ、本鈴!?」
「やーい、プーくんサボり魔ン」
「テメェに言われたかねぇ!! すんませんアリス先生! 俺ら教室に戻ります!」
「ああ、うむ。危ないから廊下は気を付けて走れよ」
急ぎ教室へと向かいつつ、プラットとアティは何やらぎゃあすか騒いでいる。
仲睦まじい事だ。
魔と人が同じ学び舎で青春を送る時代、その象徴にも見える。
「…………報われて欲しい、か」
二人の背を見送りながら、アリスは目を細め、フッと微笑んだ。
「ちゃんと、報われておるよ」
「……あ。やっべ。ワシも授業あるじゃん!」
綺麗に締めてる場合じゃなかった。
アリスはぴょんことベンチから飛び降りると、短い幼女あんよをバタつかせて猛烈ダッシュ!
走る幼女! まぁ、幼女なので速度は御察しである!!
「あ~、もう! 筋力さえあれば空間を捻じ曲げて移動できるんじゃがなぁ!! 幼女はこれだから!!」
なんて苦笑しながら、生徒たちの待つ教室へと向かうのだった。
ご愛読、ありがとうございました!
第一部【虚構美男革命 イケメン・ニルヴァーナ】これにて完結です。
第一部、と言う事で普通に第二部もあるのですが、開始には少々お時間を頂戴いたします。
お待たせしてしまう事になり申し訳ございません……。
こんな時のためのてへぺろ。
そのうちぬるっと、かつしれっと始まると思いますので
その時はまたよろしくお願い致します!
【★第二部予告★】
――これは、魔族が魔人と呼ばれるようになってすぐの頃のお話。
人と魔の完全終戦。四大国家を筆頭とする軍事国家群が大規模軍備縮小条約へ調印。勇者財団が中心となり後進国支援を目的とした国際機関が発足――順調に山場を超えていき、これから平和へとまっしぐら!
そう確信して止まないアリスの元に、天界から一通の招待状が届く。
差し出し神はオーデン。
オーデンはユリーシアの学園創設計画と、アリスがそれに協力しようとしている事を知り、ある企画を立ち上げた。
それは天界全域を対象とした学園生活体験型・超超規模遊戯結界領域。
【神立ラグナロク学園】である。
天界にはアリスに迷惑をかけた事に負い目を感じている神が多く、贖罪のために天界に招いてもてなす企画が随分前から出ていたそうで……アリスに素敵な学園生活を楽しんでもらい、それを参考にすることで勇者学園創設の一助になれば、との事。
アリスとしてはまぁ、悪くない話ではあったが……。
「……ところでオッディ。ラグナロクってどこかで聞いた覚えがあるのじゃが」
「下界に下ろした神話にオチを付けるために捏造した終末戦争だ。一部例外を除いて神は基本的にみんな死に絶えるぞ」
「何でそんな物騒な名前を付けたのじゃ!?」
「『神でも死ぬくらい刺激的な学園生活』がコンセプトとなっている」
「それワシが放り込まれて本当に大丈夫!? 今のワシただの長生き幼女なんじゃが!?」
無論、大丈夫ではない事を後に思い知る。
平和になったからって、心身が休まるとは限らない!
第二部【極熱青春神話 神立・ラグナロク学園】!
いつになるかわからないけど乞うご期待!!