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第29話 女の子って難しい 前編

ついにお風呂回です。しかも前編後編と2話というサービスです

「たっだいまー」


「やっと終わった……」


 大量の袋を手に宿の一室に戻ってきたソニアは満足気な表情で。アスカは疲れ果てた表情をしていた。

 あれからお代を払ってカフェを出た後にアスカはソニアに女性下着専門店に連れて行かれ、人生初のサイズ測定を行った。まあ結果は見えているだろうが、案の定アスカの胸のサイズはAカップであった。

 アスカが付ける必要なんてあるのかと聞いてみるが胸の成長した時に垂れるのは嫌でしょとソニアに当然のように返された。いや、胸のサイズが小さくても付けるのがいいらしいが。


「ソニアさん、やっぱり違和感がします」


「ブラに違和感を感じるなんて、アスカちゃんよっぽどノーブラに慣れているのね」


「……逆に慣れてたらおかしい気もするんだけどな」


「何か言った?」


「いえ、何も」


 ソニアが今日買った衣類などを部屋の隅に置くと、次に普通のタオルよりも大きくて長めのタオルを2つ取り出し、その他にも色々なものを出していく。

 その準備が終わった時、アスカはまだ自分の試練は終わっていないのだと気づいた。


「さて、今から待ちに待った温泉よ!」


「お、俺は後で──」


 少しソニアから距離を取ろうと1歩後ずさるが、それがわかっていたかのような反応速度でアスカの腕を掴む。逃がす気は無いようだ。


「別にいいじゃない同性なんだから〜。それに、あの何でも言う事を聞くっていうのに誰も1回なんて言ってないでしょ?」


「うっ……」


 この間抜け、何故こういう約束の時に1番大切な回数制限を設けなかった……!


「お願い! これが最後のお願いだから!」


「……ハァ……わかりました」


「そうと決まれば早く行くわよ!」


「切り替え早いうわっ!?」


 掴まれた手を引っ張られ、そのままアスカはソニアに連れられて温泉がある宿の最上階に向かって行った。その様子はまるで、仲のいい姉妹のようである。

 温泉のある宿の最上階に着く頃にはアスカはもうバテバテであった。


「日頃あんまり……走ってないんですから……もっとゆっくり行ってくれても……」


「ごめんごめん。ガラガラだったからつい」


 もしもこれが階段を使って行っていたのであれば途中でギブアップしていたところだ。

 この宿は最上階が15階という宿にしてはとんでもない程に高い。それに部屋数もそこらの宿よりも圧倒的に多い。そして、何よりも珍しいのが宿の最上階である15階に天然温泉と露天風呂があるということだ。

 この世界の宿には温泉はあっても最上階に設置しているということは汲み上げの都合上あまりない。しかし、この宿はそのあまりない内に含まれる宿でありそれが売りでもある。


「ちょっと……水飲んでもいいですか?」


「いいわよー。どうせなら私も飲もうかしら」


 温泉の()()()()()に入ってすぐに水を飲む2人。脱衣所にはアスカとソニア以外に誰もいなかった。まあこの世界では夜に温泉というのは世間的には珍しく、朝にシャワーなどを浴びるのが普通だ。

 そして何気にこの2人、カフェでコーヒーを飲んでから1度も水分補給をしていなかった。


「にしても、脱衣所にウォータークーラーがあるって珍しいですね」


「そうかしら。温泉なんてここ以外行ったことないから珍しいかどうかはわかんないけど」


 実際温泉の脱衣所にウォータークーラーがあるのはとても珍しい。大抵は脱衣所の外に置いてあるのが普通だ。


「水を飲んで喉を麗したところで、さっさと脱ぎなさい」


「…………」


「どうしたの? もしかして1人で脱げない?」


「ぬ、脱げますとも! ええ、子供扱いされるくらいなら脱いでやりますとも!」


「そ、そう」


 よく良く考えれば脱いでもその部位を見なければいいだけだ。それならばアスカ自身が試練と感じている自身の体を見るということは達成どころかしなくてもよくなる。

 これがアスカの試練への必勝法だ。


「それじゃあ脱いだらそこの私のところにタオルが2枚あるから1枚取って言ってね。あくまで出る時に体を拭くようだから出来る限り濡らさないように。それと、ゴム渡すから湯船に浸かる時はそれで髪を括っておいてね」


「了解です」


 試練の完全攻略法を見つけたアスカはもう怖いもの無しと言わんばかりに自分の服をポンポンと脱いでいく。一瞬下着専門店でサイズ測定の際にどうせならということで付けられたブラに手が止まるが、付けてもらった時の手順を思い出し、そこから心を無にしてその手順を逆にしてブラを外していく。


「……下を向くな……下は楽園でもあるが敗北だ」


 そう呟きながら絶対に下を見ないようにと気をつける。そもそも自分の体を見ても精神が男性だとしても何も思わない。それどころか虚しくなるだけだ。実際に見たことはないのでわからないがきっとそうだ。

 そして無事に生まれたままの姿になったアスカはソニアに言われた通りにタオルを貰いに行こうとソニアの方に体を向ける。その瞬間アスカはこの攻略法最大の難関に遭遇してしまう。

 自分が素っ裸ならば勿論同じ目的でここにいるソニアも素っ裸ということだ。


「しまった……」


 幸いソニアは自分の服を籠にたたんで入れているところなのでまだ見えても大丈夫な部位しか見えていなかった。別の場所で脱衣していてよかったとアスカは思った。

 しかしそれはそうとして、タオルを取るためには嫌でもソニアがいる所に行かなければならない。それもソニアが振り返る前にだ。


「一か八か……」


 普通に近づけば見てしまう。ならば前を向く瞬間にやるしかない。


「アスカちゃん、脱ぎ終わった?」


「ここだ!」


 ソニアが服を入れ終え、2枚のタオルを手にして振り返る。その瞬間にアスカは1枚のタオルを奪うように掴み、そのタオルでソニアの見えてはいけない部位を隠しながら温泉の入口を向く。

 その後小さくガッツポーズ。


「それじゃあ入りましょうか」


「そ、そうね」


 そのまま入口の扉を開ける。温泉は室内のと露天風呂があり、シャワーなども室内にあった。

 見えてはいけない部位はアニメでよくある湯気が都合よく隠してくれるだろう。


「まずはシャワーね。そっちの方がスッキリして入れるし」


「そういえば、体を洗う時に使うタオルのようなものはないんですか?」


「あんなのはダメよ。女の子の肌は敏感なんだから痛いだけよ」


 ソニアがシャワーを浴びようとすぐそこにあるシャワーがある所の椅子に座る。女湯のルールとかはイマイチわからないが、取り敢えず男だった時と同じようにシャワーを浴びてから入ろうとアスカもシャワーを浴びるためにソニアの2つ横の椅子に座る。


「……何か1つ違くね?」


 どうせならば体も洗ってしまおうとボディーソープに手を伸ばす寸前に男湯にあったはずのシャンプーがなく、代わりにコンディショナーと書かれたボトルがあった。頭を洗うのはその隣にあるリンスインシャンプーを使えばいいのだろうが、態々コンディショナーなんてする必要があるのだろうか。


「……まあ、いっか」


「ちょっと待ったァ!」


「うわっ!?」


 ボディーソープを手につけようとした瞬間、誰もいないことをいいことにソニアがアスカに制止を呼びかける。急な静止に驚いたアスカはついついソニアの方を見てしまう。

 しかしそこにはソニア裸体を都合よく湯気が見えてはいけない部位を隠しており、少し安心した。


「今、体から洗おうとしたでしょ」


「え、何かおかしいんですか?」


 アスカは男の時は体から洗ってその後に頭を洗うという風に洗っていた。何が悪かったのかがアスカにはわからなかった。


「体を先に洗っちゃうと頭を洗った時にその汚れがまた体に付くから」


「え、あ、そうですか」


「……ちょっと待ちなさい」


「はい?」


「私は貴方を今まで軽くシャワーを浴びていただけだと見たわ。だから──」


 ソニアは立ち上がってあすかの方にに近づいてくる。その瞬間、アスカは試練の攻略法が女が男になった時にのみに使えるものだと気づいた。


「私が教えてあげる」


「な、なんか怖いです」


 その時アスカは、まるで獣のような目と同時に教えるのと同時に色んなことをしてやろうと下心丸出しの表情をしたソニアを見た。

これ書くために色々調べてます。自分が知らない温泉のマナーとかとか

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