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第14話 第三の転移者

ついに対人戦がくる……?

 ダンジョン前からしばらく走り、アスカ達は目的地であるタイラノがめちゃくちゃにしたことで木がなくなってしまった森の1部に到着することができた。しかし、到着と同時に襲撃者達も追いつく。


「へっ、随分広いところに出たな」


「だからって俺達が有利って所は変わらないんだぜ!」


 襲撃者達の言う通り、包囲網を突破したところで人数的には襲撃者達の方が有利なことに変わりはない。

 ただ、襲撃者達が仕掛けた罠がないだけマシだ。


「……アスカさん、どうします?」


「どうしますって言われてもだな……俺は遠距離専門だ。こういう接近戦ならマジで不利だ」


「私なら接近戦専門だけど。技のほとんどが格闘だからね」


 こう見れば遠中近距離とバランスの取れた3人組なのだが、誰かが1人でも欠損したり相手が偏ったバランスだとどうも戦いにくくなる。

 例えば今回の場合、相手は接近戦に偏ったバランスだ。ソニアの場合は特に問題ないが、レンは相手の攻撃範囲に入ると当たりやすくなるが被弾率がぐっと上昇するが、戦闘に関しての問題はあまりない。アスカに関してはコンバットナイフがあるがそれで接近戦主体の装備の相手に勝てるかどうかとなるとほとんど不可能に近い。だからと言ってスナイパーライフルを使うなんてことは自分から不利になりに行ってることと同じだ。

 つまりこの場合、アスカはこの戦闘においてとにかく距離を取らなければ勝ち目はないということである。


「俺は距離を取る」


「どこまでですか?」


「そうだな……あそこの木の影までだ。それまで時間を稼いでくれ」


「了解です。それまで(あね)さんと時間を稼いでます」


「別に倒してしまっても構わないのでしょ?」


「勿論問題ないですが……ソニアさん。その言葉は色々とまずいです」


 某無銘の英霊が放った名言という名の死亡フラグをソニアが放ったことで少々不安が出てくるアスカであったが、ここは2人に任せるしかない以上信じるしかない。任せたぞと一言いってからアスカは距離を取るために体を180度回転させて先程まで向いていた方向とは逆の方向にある木が生い茂っている地帯まに向かって走り始めた。


「おいまて女、逃げる気か!」


「残念、アスカさんの行動は戦略的撤退というやつです」


「逃げてんじゃねぇかよ。ってそれよりも、早くあの女を追え! 絶対逃がすな!」


 襲撃者のリーダー的な存在の男が仲間にそう指示する。しかし、そいつを通さないとばかりにレンとソニアは立ち塞がる。


「ここは通さないわよ」


「通りたいなら僕達を倒してからにしてください」


「ふん、そう言うのは負けるヤツが言うセリフだぜ」


 そう言って襲撃者のリーダーは()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「ん、その出し方とその銃……S(シングル)A(アクション)A(アーミー)……」


「そうだ。そして、それがわかるってことはてめーも転移者か」


 襲撃者のリーダーが取り出したのは、西部劇で有名なコルト・シングル・アクション・アーミー──通称SAAという回転式拳銃だ。

 この銃は、銃弾を発射し銃の一番後ろに付いているハンマーと呼ばれる場所を倒すと前の世界では装填されている6発の内残りの5発中の1発が発射可能という状態になるのが普通だ。

 しかしこの世界に来た転移者で共通するリロードが必要ないというのをこのSAAの場合で考えると、信じられない話かもしれないが、撃ち終わったはずの薬莢が最初から撃っていないような形に戻るのだ。それに加えこのSAAという銃はレンが持っているUSP9という銃よりも大きい45口径の銃弾を使っている。反動が大きい分当たれば比べ物にならないくらいのダメージを負う。発射速度が遅いからと甘く見ていると痛い目を見ることになる。


「あの逃げた女の目は闘志が見えた。つまり、遠くからでも攻撃できる武器を持っているっつーことだ。例えば……そうだな、スナイパーライフルとかな」


「だからどうしたって言うんですか?」


「ナイス反応だ。その反応であの女も転移者ってことがわかった。後は──」


「流石リーダー、作戦通りだぜ!」


 レンとソニアが塞いでいた所よりも後ろの森から襲撃者の1人が出てき、距離を取るために走るアスカを追いかけて行った。


「──! しまった!」


 何故こうも簡単に通してしまったのか。その答えは簡単だ。

 まず、アスカ達はこの先をどうするかを考えながらこの場所に向かって走っていた。その時、アスカ達の意識はどこに向くのか。それは目の前と自分の考えていることにだ。それを襲撃者達は見抜いていた。

 襲撃者達は後ろに意識が向いていないのを利用し、5人の内の1人を森の中で待機させたのだ。その時に先のことしか考えていなかったアスカ達は1人減ったことに気づけず今に至ってしまったということだ。


「後ろなんて見る余裕なかったよなァ! そんなダンジョンでお宝を手に入れたところで所詮は3流なんだってことだてめーらはよォ!」


 急いでレンはアスカを追いかけて行った襲撃者の1人を追いかけようとしたが、もしもここで自分が離れてしまえばソニアは間違いなく負けるという確信があったために動けずにいた。

 ソニアの基本攻撃は格闘。ここにいる襲撃者の3人は近接戦特化の装備だが、そのリーダーがレンと同じく中距離特化の装備だ。そんな相手をソニア1人で倒せるなんて到底思うことができない。

 それに、近接戦しかできないソニアにとって中距離武器を使った戦闘をする相手は相性がいいかどうかとなればかなり悪い。


(あね)さん。このリーダーっぽいやつの相手は僕がします」


「それはどうして?」


「奴の持っている武器は僕と同じタイプです。接近戦主体の(あね)さんが戦うには分が悪いです」


「あーそ。だったら残り3人は任せなさい」


 誰が誰と戦うか決めたところで律儀に待ってくれていた襲撃者達と共に戦闘態勢に入る。

 ソニアは拳を構え、レンは二丁の拳銃をリーダーの男に向けて構える。同時に、襲撃者達は剣を構え、リーダーの男はレンに向けて銃を構える。


「蜂の巣にしてやるぜ」


「その言葉、そのままそっくり返させてもらいますよ」


「そこらの取り巻きはほっといて存分に戦いなさい」


「誰が取り巻きだコラァ! 俺らはリーダーの仲間であってだな──」


「はいはいわかったわかった。だったら早く始めましょ」


 一瞬身構え、レンとリーダーの男の方から聞こえた銃声と共にソニアと襲撃者達との戦闘も開始された。

残念、次回でした

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