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第9話 ダンジョンの古代武器

昨日は更新をお休みして申し訳ありませんでした。ちょっと忙しかったのです。

まあそれはともかく、夏休みに入りましたが課題やらで度々お休みさせていただくかもしれませんのでよろしくお願いします。

 ナチュランの村でアスカが目覚めてから数日が経過した。あの日決めた目標通り、アスカは討伐したことがない魔獣のクエストを1日1回のペースで受注したり、未発見の魔獣はいないかと村の周りにある森を散策してみたりと色々なことをしていた。

 そんなある日、ナチュランの冒険者ギルド内にダンジョンが発見されたという話題が世界中の冒険者ギルドで持ち上げられていた。



────────────────────────



「だーかーら、ダンジョンに行きましょうよ!」


「断る。俺に行って何になるんだ」


 ダンジョン発見に伴い、世界中の街から来た冒険者達がナチュランの冒険者ギルドに溢れていた。冒険者達は誰よりも早くダンジョンを攻略しようと必死だが、どうにもアスカは乗り気ではなかった。


「ダンジョンにはお宝があると聞きます。それを手に入れれば億万長者じゃないですか!」


「ただ金を手に入れるためにダンジョンへ行くのは却下だ。それならいつも通りに未発見魔獣を探しに行く方がまだ楽しい」


 そう。ダンジョンを攻略する冒険者達の目的のほとんどはトレジャーハントだ。それに、全階層の攻略が完了すれば1度でも参加し、参加した証拠を提示すればギルドから報酬金が出るらしい。しかも、そこらの高難度クエストと同じかそれ以上の額を。

 しかし、アスカには正直言ってそこまで買いたいものもなければそこまで不足しているという訳でもない。

 つまり、アスカにとっては別に逃してもいいイベントという事だ。


「行きましょうよぉー!」


「行くなら俺以外の冒険者と行け。俺はこれからやってないクエストとかやるから」


「ちょーっと待ちなさい」


 レンの必死な誘いを断り、クエストの用紙が貼られている掲示板に向かおうとすると、聞き覚えのある声が右の方から聞こえた。その声は、アスカにとってこの世界で出会った初めての冒険者であるソニアのものであった。


「ソニアさん、何か用ですか?」


「貴方にいい情報をあげる」


「いい情報?」


「え、この美人さん誰ですかアスカさん!?」


 アスカはレンの質問をあえて無視してソニアからその情報とやらを聞く。


「ダンジョンにはお金にしかならないものの他に専門の鍛冶屋に持っていけばまた使えるようになる、通称古代武器があるのよ」


「それって今ある武器より強いんですか?」


「その辺は完全に運。強いかもそれないしそこらの包丁よりも殺傷力がない武器かもしれない」


「ちょっとアスカさぁーん!」


「少し黙ってなさい」


「ガーン……」


 先程から少しうるさかったレンがソニアが注意すると今までに見た事のないほど落ち込んだ。

 それはともかく、ソニアの言う古代武器の件だが、正直なところ今のアスカにとってはどうでもいい。恐らく、その古代武器というのはこの世界での武器だ。勿論、この世界に銃火器なんて武器は存在しない。あるとしても弓矢辺りのものだ。

 それ以前に転移者に使えるものがいるかはわからないが、この世界の人間はよくファンタジーゲームで見る魔法が使える。そもそも遠距離武器なんてものは魔法が苦手で接近戦も苦手な者しか使わない。そして、この世界にはそんな人間はほんの僅かしかいない。

 つまり、その古代武器もほとんどが剣などの接近戦特化の武器だということだ。


「俺、剣は使わない主義なんで別にいいです」


「武器は剣とは限らないわよ?」


「俺の主軸武器はこれなんで」


 このままでは話が終わりそうでないと思ったアスカは自分が使うスナイパーライフルを見せ、自分に古代武器は必要ないことを納得させることにする。


「ふーん、珍しい形の武器を使うのね」


「完全遠距離タイプの武器です。それに、俺はあんまり接近戦が得意じゃないんです。近づかれる前に遠くから撃てば問題ないですしね」


「……うーん、どっかで見たことあるのよねー、こういう形の武器」


「その話について詳しくおねがいします」


「く、食い付きがすごいわね……」


 古代武器の話は置いておき、アスカはソニアの言った発言に詳しく聞こうとする。もしもソニアがこの武器を見た事があるというのならば、この世界にも少なからず銃火器が存在しているということになる。

 スナイパーライフル特化のアスカにとってはダンジョンよりも有力な情報だ。


「見たことあるって言っても、似たような武器だからね」


「わかってます。しかし、見たことがあるということについて詳しく聞きたいだけです」


「そ、わかった」


 ここでこの世界に銃火器があるという確証が得られればこの世界の見方も少しは変わってくる。それに、この世界にあるスナイパーライフルを集めるというエンドコンテンツも出てくる。


「初めて見たのはここの村とは別の街にいた時かしら。その時もダンジョン騒ぎがあって私もそれに参加したのよ」


「そのダンジョンで見つけたと」


「そゆこと。まあ、古代武器の1つだったから鍛冶屋に持っていくまで明確な形とかわからなかったけど」


「それで、その古代武器は誰が?」


「私の実家。ここからだと結構遠いから今日中に取りに行くのは無理よ?」


「そこまでしなくて結構です」


 その古代武器で射撃ができるかどうかはわからいが、ともかくこの世界にも一応銃が存在することは判明した。しかし、それはあくまで古代武器限定ということであり、そこらで売られているわけではない。


「それはともかく、なんで銃がこの世界にあるんだ?」


 この世界はファンタジーの世界。銃なんて武器は世界観の崩壊に繋がる為、本来ならばあってはならない武器だ。そして、ソニアが銃の存在を知らないということは今生きているこの世界の人達のほとんども知らないだろう。


 ──それっておかしくないか?


 この世界にも歴史家の1人や2人はいるだろう。しかし、何故か銃については何も後世の人達に伝わっていない。古代武器として存在している以上、昔に銃がこの世界で使われていたことは明白だ。


「多分それ、転移者の影響ですよ」


「ん、ああ、いたのかレン」


「いましたよ! さっきからずっと静かに話聞いて待ってましたよ!」


「それより、転移者の影響ってどういうことだ?」


「スルーですか……。まあそれはともかく、昨日言いましたよね? 転移者がこの世界に転移する時間はランダムと」


「そうだな。それじゃあ、遥か昔の時間に転移した転移者が残した武器の内の銃が今この世界にある古代武器の1つになっているってことか?」


「飲み込みが早くて助かりますホント」


 ──つまりはそういうことらしい。


 しかしそれならば、アスカにもダンジョンへと行く理由ができる。それに、そのダンジョンにはアスカがまだ遭遇したことのない魔獣がいるかもしれない。


「よし、ダンジョン行くか」


「よしゃぁー!」


「貴方も古代武器を探しに行くの?」


「この武器(スナイパーライフル)一丁だと、もし不調で使えなくなったら不安なので」


「もう一丁近いものを手に入れたいっとということね」


「そうと決まれば、早速ダンジョンに行ってきます。行くぞレン」


「行くって、誘ったのは僕じゃないですか! ていうか、そんな下っ端みたいな扱いしないでくださいよ!」


 レンを含む大抵の冒険者達は金のために行くダンジョンをアスカは武器調達という少し変わった理由でダンジョンへと向かうのであった。

 ちなみにアスカ達は気付いていないが、さりげなくソニアもついて行くのであった。

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