プロローグ 閃光の狙撃手
予定よりも結構遅れての投稿です。
1作目から見てくれている方はありがとうございます。今作が初めてという方ははじめましてです。
試しだった1作目よりは頑張って書くのでよろしくお願いします。
──『ジ・エンドオブサバイバル』
それは今現在、全世界で流行っているFPSゲームだ。自分以外が敵のバトルロワイヤルや8対8で別れて戦うチームマッチなど、FPSゲームなら必ずしもあるモードと、このゲームにしかないモード『防衛戦』がある。
防衛戦はその名の通り、特定の物を制限時間まで防衛するモードだ。システムとしては結構単純で本当に守るだけでいい。
しかし、単純な程ゲームとは難しいもの。この防衛戦は難易度設定も単純になっている。最低難易度のEASYならお茶を飲みながらでもクリア出来るが、最高難易度のDESPAIRでは相当な腕を持ってしてもクリアが難しい超鬼畜難易度になっている。年に1度開かれる防衛戦のランキングバトルではその難易度によってポイント獲得倍率が変動する。勿論最高難易度ならそれ相応の倍率になる。
しかし、あまりにも攻略が難しいため、大体の人は少し難しいHARDでポイントを稼ぐ。攻略サイトや公式からもその方が効率が良いと勧められるほどだ。
まさに『ジ・エンドオブサバイバル』だ。
──そんなランキングバトルを超鬼畜難易度で周回し、堂々のトップに躍り出た強者が現れた。
否、誰も最高難易度で周回したなんて確証はない。
しかし、短時間での大量のポイント獲得をしているところを見れば誰だってそう思う。
それに、他のプレイヤー曰く、チームマッチでその者が入ったチームは必ず勝利しているという。そして、使用武器はナイフとスナイパーライフルのみという誰もが驚くものだった。
このゲームの銃はどれも頭に命中すれば即死だ。それは他のFPSゲームと同じことだ。そして、スナイパーライフルのメリットとしては射程距離が長いことと、木箱などの特定の障害物なら貫通するというこのゲームオリジナルのものもある。
しかし、このゲームのスナイパーライフルの最大の特徴としてスコープを覗くと自動的にレーザー照準になるという仕様がある。それも、そのレーザー照準は他のプレイヤーにも視認できる。つまり、じっくり狙えば居場所はバレるわ相手に回避される確率もグンと上がるわでメリットよりもデメリットの方が遥かに大きいということだ。そんな武器を使うのはプロゲーマーでもほとんどいない。使うとすれば、縛りプレイで動画を撮影し投稿する実況者くらいだろう。
しかし、その者と対面したプレイヤー曰く、レーザー照準が見えたと思った瞬間にはもうやられていた、とのこと。
レーザー照準が見えるのはスコープを覗いている間のみ。つまりその者は、スコープをほんの一瞬だけ覗き、その僅かな時間の間に狙いを定め撃ったということだ。しかも、その者の撃つ弾丸は百発百中で対面すれば命はないと言われるほどだった。
そして、その者のことがこのゲーム中に広まるのはその者が現れて1週間程度だった。
──ある人はその者を『死神』と呼び、またある人はその者を『閃光の狙撃手』と呼んだ。
その者の身元は不明。家族構成も知られていない。男性か、それとも女性かもわからない。その者についての情報が全くないため、その者の存在は都市伝説になるにまで至った。
本当は人ではなく最新鋭のAI実験か何かではないか。ただのチートを使って結果を得た弱者なのではないかなどの様々な仮定が出ていた。
そして、その者のプレイヤーネームから辛うじて日本人だということは判明した。AI実験説も同時にこの瞬間に消えた。
しかし、それ以外は全くの謎。1人1人調べようにも日本の総人口は約1億3000万人。
そんな手間のかかることを誰がする? そう、誰もしないのだ。調べる方法がないからこそわからないし、謎なのだ。
──その者のプレイヤーネームは『Asuka』。
そして、その者の正体は──
次は予定通りに更新します。
いや、今回は投稿の寸前で小型節足動物スパイダーマソが現れたせいです。許してください何でもはしませんけど。