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歪んだ愛情,その身に抱けば。  作者: 細川みいな
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いじめと虐め

本日は忙しい中、お集まり頂きありがとうございます。…貴方達は今、お子さんが行方不明になっている、そうですね?

皆さんは、私の…「お子さんの居場所を私は知っている」という手紙を見て来てくれたようですね。


残念ながら、貴方達の子供は、私の報復を受けています。その中でもその中でも死んだ者もいますし、生きている者もいます。…そんな驚かないで。元はと言えば貴方達が悪いの。

それでは始めましょうか、小学校の思い出話を。


私は、読書が好きな、おとなしい生徒でした。それ故にいじめられてしまったのだ、とよく母が言っていたのを覚えてます。

まずは…誰でしょう。桜井美由紀さんのお話からいたしましょうか。

なに、そんな不満そうな顔しないで下さい。後々貴方達のお子さんのお話も致しますので…。桜井さん、顔色が悪いですよ、大丈夫ですか?

美由紀さんは…私のオドオドした性格が嫌いだと、最期におっしゃいました。私がオドオドしているのは、生まれつきです。彼女は生まれつきの私の性格を否定したのです。元々私達は、関わってはいけなかったのです。

あれは、私が久我君に告白された時のことたしか、中一の時か。久我君は、当時クラスで一番格好いいと言われていました。

けれど私は…断ってしまった。それが、私の唯一の失敗かしら。でも、彼のことは全く知らなかったので、仕方ないと思うのです。

いい気になるんじゃない?別に私はいい気になんてなっていませんよ、皆さん。


ですが、ここで一番怒っていたのは、美由紀さんでした。

彼女は久我君の事が好きだったのでしょう。馬鹿みたい。美由紀さんは、「何故お前なんだ」と私をトイレで蹴りました。殴りました。

その日から、痣が増えました。

その日から、私の机の周りには誰もいませんでした。

他の子も、便乗して私をいじめました。美由紀さんに逆らうのが怖かったのだと思います。

一番嫌だったのは、××××とか、××××って言われたことかな。その言葉の意味も知らないで、私に言うの。屈辱的よ。ありもしないことを、広めて広めて…。

少し、感情的になってしまったかしら。

彼女への罰?私の子はどうなった?桜井さん、それは今日の朝、手紙で配送致しました。皆さんも、それぞれ帰宅後にご家庭で確認して下さい。


でも残念。次は竜王院エリナのお話にしましょうか。竜王院さん、本当は今日来るのも面倒だったでしょうね。貴方はお子さんを愛さないとよく聞きますから。

彼女は生粋のお嬢様。給食をよく残してたかな。

今の話でもう察したかもしれませんが、彼女は残した給食を私の机の中に突っ込んでいました。

もう何日も経ったであろう給食を、私は片付けました。

片付けても片付けても腐った給食が入って、酷い時は動物の糞便や尿が入ってました。

気持ち悪い?…ごめんなさいね、でも貴方達のお子さん方がやったことですよ?

だから私は、給食を残すガキが大嫌い。彼女は勿論、世の中にいる全ての子供も。

彼女がどうなったかも晒したいけど、時間がないから割愛しますね。


次は東堂茜の話。東堂さん、貴方は彼女がいじめを行っていることすら知らなかったでしょう?なんといっても茜さんは成績優秀ですものね?__素晴らしいわ。私とは大違い。あははっ。

おっと、別に馬鹿にしているわけではありませんよ。自虐的に言ってみただけ。

成績優秀の彼女だからこそ、です。私は彼女のストレスの捌け口となってしまった。

1位をとるのに必死な彼女のプレッシャー。

それがどんな物かは分かりません。が、いじめは駄目ですよ。何があっても。

私は、加害者の気持ちなんて考えません。てか、正直言ってどうでもいい。

被害者の私が苦しんでいる、それが一番大切なんですよ、今は。

自意識過剰?自分に酔ってる?お前らもね。


おっと、話がそれてきましたね。

お次で最後ですね。皆さんにはもっと何をされたか説明したいですが…面と向かって話すと、恨みや憎悪しか湧かないのです。何故かしら?

まぁいいです。きっと近いうちに分かるから。

お待たせ致しました。黒部リンカさんのお話です。驚きました?黒部さん。


貴方のお子さんは、私と仲良くしている、とおっしゃっていたでしょう?


それはもう昔のこと。最初は仲良くしてくれたんだけどなぁ…。

彼女も私がいじめられてると知って、逃げちゃいました。

それでも私、彼女みたいな偽善者…いえ、傍観者は大好きです。

何も知らないフリをするのは、さぞ面白いのでしょうね。あはは。


最初は甘い甘い、甘くて逃げたくなるような、チョコレート。

お次はどろっとしたミルクをたっぷり混ぜた、濃厚で、甘いホワイトチョコ。

その次は…何でしょうね。カカオたっぷりの苦いチョコ?いえ、チョコレートですらない。バレンタインに渡せなかった、未練と悲しみが詰まった『何か』みたいな。

そんな日々でした。中学三年間。いじめ続けられた結果がこれ。


皆さん、最後に一言いいですか?

あの子達はきっと、親の愛、いや、誰かの愛が欲しかったんです。

それは勿論、久我君でも何でも良かったはず。貴方達の愛を受けなかった子供たちは、私にこんなにも愛おしく歪んだ愛を残してゆきました。

別に、彼女たちが私に嫉妬していた、と言いたい訳では無く、彼女たちは、


愛を与える方法を、知らなかったのです。

彼女たちの不器用な愛が、いじめというものなのではないでしょうか。


ふふ…愛おしい。

愛おしい程憎たらしい、下らない愛情表現。


それでは、これにて解散と致しましょう。

最後まで、静かに話を聞いてくれてありがとう。「うちの○○がそんなことするはずない」とか、誰か言うんじゃないかってビクビクしてたんです。実はね。



じゃ、また今度、会いましょうか……ふふふ。


更新中

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