絶望的な現実に 前編
冥府には、「刻」という名の組織がある。
死神達は誕生したその瞬間から刻の軍学校に入学し3年間かけて死神としてのノウハウを学ぶ。この間に小隊メンバーが学校側の指示により構成され、卒業と同時に行われる新人小隊同士のバトルロイヤルを共に戦うこととなる。これにより入隊時の正式にナンバーと配属先が決定するという決まりがある。
ここで言う小隊ナンバーというのは「強さを表す指標」のようなものでその数が小さくなればなるほど、ランク無しからSランクに近づくほどに強くなっていく。基本的に新人小隊は「Sランク」から「Aランク」「Bランク」「Cランク」「ランク無し」まであるランクの中の「ランク無し」の状態から始まることになる。
また、配属先は主に三つあり、
亡者を捕らえることに特化した「捕縛課」
亡者の罪の記録を主とする「記録課」
現世にて人々の生活を監視する「監視課」
35小隊ある内の上位15小隊が捕縛課に、下位15小隊が記録課に、その間の5小隊が監視課へと配属される。
自分が隊長を任された小隊は成績上位者が3人居るという他のグループに比べてかなり優位な状態であったため、バトルロワイヤルでは優勝することができた。勝因はやはり個々の実力が高かった為だと言えるだろう。終始良くも悪くも個人戦感の強い戦闘だったことを覚えている。もしこの時しっかりとチームワークを育むことができていたら…などと考えてみるがこうなってしまった今、意味の無いことだと分かっている。結果として自分たちは「捕縛課」のランク無し第25番小隊に配属された。一つのランクに40の小隊が属しているということを考えると自分たちの上にはあと150近くの小隊がいるのだと気が付いて上位小隊になることは出来るのだろうか…と気が遠くなるような気持ちになったのを今でも覚えている。当時はとても不安だった。周りは自分が首席卒業者である為に多大な期待を自分に寄せてくれているということに気付いていたからだ。そのことは嬉しい反面、自分を不安にさせた。もし、自分がこのまま底辺ランクのまま昇進していくことができずにいたら、周囲はきっと落胆するだろう。所詮その程度か、と呆れてしまうだろう。それがなによりも怖かった。しかし、同時にこの仲間と共にのし上がってやろうと覚悟を決めたのも、また、鮮明に覚えている。
だからこそ裏切られたときのショックは相当なものだった。所詮あいつらにとって自分とは取るに足らない存在だった。どんなにあいつらのために身を粉にしようと、自分はあいつらにとってまるで価値のないものだったのだ。まるで使い終わったちり紙を捨てるようにあいつらは自分のことを捨てた。あいつらがいなくなった後に残ったものは、「仲間との信頼関係」なんて虚像にすがっている、自分一人だった。
ただいま書き直し中です
明日の夜には次話の書き直しが終わるかと思われます
2年近く放置していた為になかなか筆が進みません^^;