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乳神様ではありません

シリーズ化してくれ、と希望がありましたので自分なりにやってみました。

ふざけて書いた奴をシリーズ化って難しいよ、本当に。

目を開けると上半身下着姿の女性がいた。なにを言っているのか理解できないと思うけど、本当の事だから仕方がない。俺自身、この状況の説明を求めたいのだから。


「……あれ? 乳神様って男性だっけ?」


 俺の姿を見て首を傾げる少女。異性に下着姿を見られているというのに、少女は気にする様子を見せない。しかも、あろう事に「ま、いいか」と考える事をやめたかと思うと、乳房を唯一覆い隠していた布を剥ぎ取り、胸を張って信じられない一言を発したのだ。


「さあ、乳神様。あなたの力で私の胸を大きくしてちょうだい」

「……は?」


 堂々と告げる彼女の言葉に唖然とする。

 な、なんだって? 胸を大きくしろだと。なにを言っているのだ、この痴女様は。見る限り自分と同年代ぐらいの女性だと言うのに、その年齢で変態の道を闊歩していると言うのだろうか。どんだけレベルが高い痴女様なんだ、この人は。


「どうしたのよ。あなたの力なら、私の胸ぐらい二階級特進も夢ではないでしょ」


二階級特進ってなんだよ。

 唖然とする俺を見て、子供のように期待の眼差しを送っていた少女が首を傾げる。


「俺は、キミがなにを言っているのかさっぱり理解出来ないのだが?」

「は? どうしてよ。あなたは乳神様なんでしょ。私の胸の一つや二つ、大きくすることなんて朝飯前じゃないの?」


 聞かれたところで、答えられるはずがない。その前に自分の胸を下から掬い上げて「大きくさせてよ」と連呼するのはやめていただきたい。別の部分が大きくなるから、是非とも辞めて頂きたいと言ったら「変態」と罵られるのかな。


「そもそも、その乳神様ってなによ? それにここはどこなんだ?」


 周囲を見渡して、初めて自分の記憶にない場所にいる事に気付く。今の今までいつも通っていた通学路を歩いていたのだが、今いる場所はどこかの森の中。腕時計で時間を確認すると時間は一分も経っていないと来た。俺は何時の間に瞬間移動を会得したのだろうか。


「……へ? え、え? あなたは乳神様じゃないの?」

「だから、その乳神様って何なんだよ。俺は工藤伸哉。ただの高校生だ」

「……つ、つまり。私は、失敗した……の?」

「何を失敗したのか知らないが、そうなんじゃないか?」


 意図の分からない質問を素直に答えると少女は「そんな」と絶望した表情になり、膝から崩れ落ちる。気のせいか背中から哀愁が漂い始め、全身が真っ白に変色したように見える。これが有名な真っ白に燃え尽きた、と言うものか。


「だ、大丈夫か?」

「大丈夫じゃない」


 どうやら、何かしらを失敗した事によっぽどショックを受けたのだろう。返答が涙声になっているし、地面に数的の滴が落ちているのが見える。


「悪いけど、今は通学の途中だったんだよ。ここがどこか分かるか?」


 ポケットから携帯電話を取り出し、地図アプリを起動させようとする。文明の利器を使えば現在地を把握するのも容易いと思ったのだが、要の携帯電話様は残念な事に圏外となっていた。


「ここは王都スイカップ付近の森よ。もしかしなくても、聞き覚えないよね?」

「ないね」


 初めて聞く名前である。王都と言うのだから、恐らく日本ではないのだろう。

 ……と、言う事はこれが噂に聞く召還云々って奴なのか? いやいや、まさかそんな非現実的な事が起こるはずがない。そんな事が実際に起こったら、今ごろ日本は「神隠し連発か」と大騒ぎになっているはずだ。


「……ごめんなさい。もしかしなくても、私がやっちゃったみたい」

「もしかしなくてもって……。まあ、そうだよね。俺が目を開けると、キミしかいなかったんだから」


 立ち上がって頭を下げて謝罪するのはいいが、早く胸を隠して欲しい。先ほどから小振りの乳房が小刻みに震えて目のやり場に困る。女性の胸って少し動くだけでもプルプル振動するんだね。


「あなたは、私の召還魔法によってこの世界に呼び出されたの。本当は乳神様を呼ぼうとしたんだけど、失敗してしまったみたい」

「さっきから言っているけど、その乳神様って何者なんだ? 胸を大きくして欲しいとか言っていたけど」

「何者って……。そうよね。あなたはこの世界の住人じゃないんだから、知らなくて当然か」


 聞くところによると、乳神様は文字通り乳の神様らしい……。

 て、なんだよそのふざけた存在は。そんな神様がこの世界では現実に存在するのか!

 彼女はその乳神様を呼び出して、自分の小振りな乳房を神様の力で大きくしてもらおうとしていたらしい。神様の力でバストアップとか、正直に言わせて貰うと正気の沙汰ではない。


「胸を大きくしてもらって、どうするんだ? 豊満な胸を手に入れて男を篭絡したかったとか?」


 物凄くどうでもいいことだが、そこまでしてバストアップしたかった理由に興味が湧いてしまった。何せ彼女は容姿だけで判断するならばとても可愛らしい女性である。腰まで伸びている黒髪が風で靡く度に甘い香りが鼻腔をくすぐるし、少しばかり幼く見える顔の造りも悪くはないはず。幾ら胸が小振りだからと言え、彼女が声をかければ喜ばない男はいないはずだ。

 だが、どうやら俺の邪な推測は外れたらしい。頬を少しばかり赤く染めながら頭を振る。その時に、左右に揺れた彼女の胸に目を奪われた事は言うまでもなかった。


「ち、違うよ。た、確かに男の人は興味あるけど……。わ、私はプティーズになるためにどうしても必要だったのよ」

「ぷてぃーず?」

「それも知らないの? もしかして、あなたの世界には魔法もなかったりするわけ?」

「なに? この世界って魔法が存在するの? マジで」

「他の世界は分からないけど、私の世界では日常茶飯事使われているわよ。最も女性しか使えないけどね」


 どうにも魔法に必要な魔力は女性の乳房に秘められているらしい。どう言った原理かは想像すらできないが、女性の胸が大きければ大きいほど魔力容量と濃度は比例していくと彼女は言う。その理論では使えば使うほど乳房は小さくなるのでは、と指摘して見たのだが乳房はあくまで魔力を宿す袋のようなものなので、中身が減っても外見は変わらないらしい。


「プティーズは魔法を使って、周囲の人達を魅了させる踊り子のようなもの。人気が出れば出るほど、色んな舞台に出させてくれるし、有名になれば全国を飛び回って踊る事もできるの」

「へえ。それは凄いものだね。俺達の世界で例えるとアイドルのような存在なのか」

「そのアイドルがなんだかは分からないけど、人々を楽しませる存在である事は確かよ。けど、プティーズになるにはランクを上げて、成績を上げないといけないんだけどね」


 ここで彼女が言ったランクとは胸のサイズを指しているらしい。

 つまり、AAランクから始まってJランクや過去にはMランクなんて人もいたらしい。俺の知っているランク制度とは大きく異なるものがあるが、この世界ではこれが当たり前のようだ。


「見て分かるように、私はクラスの中でもランクが小さいのよ。ほらね」


 いやいや。ほらと言って、自分の胸を下から掬い上げて見せないでくれませんか。あなたは異性に自分の胸を見せて恥かしがると言った感情はないのでしょうか。このとき、鼻血を噴出さなかった俺を存分に褒めてやりたかった。


「と、取りあえず服を着てくれないかな。正直言うと、さっきから目のやり場に困るんだが」

「……なんで?」


 いや、心底不思議そうに首を傾げないでくれませんかね。


「何でって。男に自分の胸を見られて恥かしくないの?」

「恥かしいって? こんなの見られたところで、別に恥かしいと思わないんだけど」


 おいー、乳神様よ。本当に存在すると言うのならば、彼女に羞恥心を与えなさい。このまま彼女が色々と大きくなったら、いつか痛い目にあうの必須だぞ。俺だって鋼の理性を総動員させて我慢しているんだぞ。今でも充分魅力的な彼女がこれ以上魅力的になったら、確実にハイエナのような野郎共の餌食になりかねないぞ、ほんとマジで。


「何を赤くなっているのよ? もしかしてこれを見たことないの?」

「ある訳ないだろうが!」


 当たり前な質問をするな。

 いや、俺の年齢で見た事がある奴もいるかも知れないが、そんな人間など少数派のはずだ。だよな? 俺がもてないだけで、齢十七の男性のほぼ全ての人が生乳房を見た事あるなんてありえないよな。俺が少数派じゃないよね、絶対に。絶対と言ってよ、誰か。


「そうなんだ。それじゃあ、触ったこともないよね。……触ってみる?」


 ……いま、幻聴が聞えたぞ。え、え? いま、触ってみるって言ったのか、この子は。

 あの乳房を。手に収まる小振りな乳房を触ってもいいと?


「な、なな、何を言っているんだ、キミは。会って間もない他人に触らせようとするなんて何を考えているんだよ。痴女か? 痴女なんだな!? この世界の女性は全員痴女な訳ないよな!?」

「キミじゃなくて、リリスよ。リリス・シルフィード。何でそんなに焦っているのか分からないけど、この世界では男性に揉ませるのは普通よ。胸を大きくさせるには異性に揉んでもらうのも一つの方法とされているしね」

「そんな素晴らしい世界があるのかよ。……いや、じゃなくって! そんな事をして間違いが起こったらどうするんだ」

「間違いって子作りのこと? そしたら、責任をとってもらうから問題ないよ。この世界では男の人は数少ないし、揉んでもらって勢いのまま結婚したってケースもよく聞くし」

「どんな世界だよ、ここ。色々とツッコミ所がありすぎて、さばき切れないぞ」

「いいじゃないそんな事は。それより揉むの? 揉まないの? わたし、男の人に揉まれた事ないから興味あるんだけど。揉まれたら自然と声が出るって本当なのかな?」


 おかしいぞ。触るから揉むにレベルが上がっている。

 ほ、本当に揉んでいいのか?

 俺も男だから「揉んで」と言われたら野獣のように飛び掛ってリリスの胸を揉みしだきたいところであるんだけど、ここまで堂々と言われてしまうとこっちが逆に恥かしくなってしまう。


「もう! 何を躊躇しているのよ。こうして、手を胸に当てるだけじゃないの」


 言いながら、俺の右手を掴んで自ら己の胸に触れさせる。

 や、柔らかい。初めて触れる胸の感触に、言葉にならない感動を覚える。女の人の胸って小さくても柔らかいものなんだな。少し硬い何かがあるけど、これはこれで……。


「……あ」


 無意識に手を動かしてリリスの胸を揉んでしまった。彼女の小さな口から可愛らしい声が漏れたと思うと……。




 【契約完了】




 脳裏に直接女性の声が響いたと思うと両腕が光に包まれる。


「なに、これ?」


 不意に光り始めた俺の両腕にリリスも驚きを隠せなかった。

 ここからどうしてよいのか分からず固まっていると、勝手に左腕が動き始めって――どうして動いている、俺の左腕。勝手にリリスの右胸を掴み、俺の意思に反して数回揉み始めるとかどうしちゃったの。欲求不満だったわけ。そんなに性的欲求が溢れていたのか、俺は。


「あ、ん。ちょっとなに、これ。……ん。なんか、胸が熱く」

「知らない知らない。俺の意思に反して、勝手に。動け! いや、揉む方に動くんじゃなくて! 離れろよ、俺の両腕!」


 離れ様とする俺の意思に反して、何度も何度も指を動かし始める。容赦なく蹂躙していく俺の指の動きに合わせて艶のある声を出すリリス。




【grown】




 リリスの胸元に英文が生じされたと思うと、英文は砕け光に包まれていた両腕も元の状態に戻る。ようやく自分の意思で動かせるようになった両腕を慌ててリリスの胸から外すと、彼女はその場で座ってしまう。


「はぁはぁ。な、なんなの今の。男の人に揉まれるとみんな、あんな風になってしまうの」

「今言える事は、世の男性が女性の胸を揉んで、あんな風になる事は絶対にないはずだ。それより大丈夫か? 立てる?」

「ご、ごめん。腰が抜けて立てないかも。自分で揉むのと揉まれるのとではあんなに気持ちよさが違うなんて思わなかった」

「えーと。その、なんていうか。大変柔らかくって気持ちよかったです。ご馳走様でした」

「なによそれ、おかしいの。それより、レディが倒れているんだから手の一つや二つ差し出したらどうなの?」

「そうだったな。ほれ」


 差し出された手を掴み取って立ち上がるリリス。しかし、思うように足に力を込める事ができなかったのか、立ち上がると同時にふらついて俺の方へ倒れこんできた。


「っと」


 ふらつくリリスを受け止めたのはいいが、ここから先どうすればいいのだろうか。まさか、見目麗しく上半身裸姿の女性を抱く日がこようとは夢にも思わないだろう。えっと、どうすればいいの。彼女のどこを触れて離したらいいのだろうか。


「……シンヤ。あなたが良かったらでいいんだけど、私の家に来る? この世界に招き入れたのは私のせいなんだし。その、責任は取るわ」

「それだけ聞くと、なんだかプロポーズされているみたいだな」

「責任取ってくれるなら、いいわよ。そうなったら、元の世界に帰るの諦めてもらうけどね」


 腕の中から満面な笑みを浮かべるリリスは正直言って可愛すぎた。このまま抱き続けていたら、俺の理性は簡単に粉砕されてしまうであろう。


「と、取りあえず一旦離れてくれないかな。今後の話もあることだし、それにそろそろ服も着てもらわないと」

「んー。意外と男の人に抱き付かれるのも悪くないし、さっきの余韻も味わいたいからもう少しこのままで、ね」

「……仰せのままに、お嬢様」


 このとき、脳裏に浮かんだ言葉は一つだけであった。

 目の前の美少女と自分の世界に戻ること、どちらしか選択出来ないとするならばどちらを選ぶのか。会って間もない少女にここまでの気持ちを抱かせられるなんてな、と苦笑せざるを得なかった。

 きっとその答えは幾ら考えても得られないであろうな、と自分の優柔不断さを考えつつ、リリスの温もりを堪能する事にした。

ふざけてすみません。

こんな調子で続けていく所存です。

シリアスものしか書いたことないから、可笑しなところやツッコミ所が多いですが暖かく見守ってください。

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