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勤務日誌:005 〜天国と地獄と自業自得〜

更新です!!


よろしくお願いします。

ザクッ!


交番の裏で俺は、少し盛り上がった土の真ん中に木の杭を突き立てる。

杭にはマジックで【名も知らぬ王とその臣下 ここに眠る】って書いておいた。

杭の根元にはペットボトルの水と給湯室から持ってきた小皿を置く。


「うん、こんなもんだろ。」


質素だが、お墓の体裁は整えた。

小皿に火のついた煙草を一本備えて手を合わせる。


「線香じゃなくて申し訳ない。 宗教とか違うかもしれんが成仏してくれ。 ナンマンダブ、ナンマンダブ。」


スケルトン達の遺留品(砂にならなかった装備品など)を集めてスコップで穴を掘り、埋葬するのは夕方近くまでかかってしまった。


途中で昼食やタバコ休憩をとったが、スケルトンを倒す際に爆散させてしまった為に遺留品が広範囲に散らばって、拾い集めるのに苦労して時間がかかったのだ。

埋葬しないで放置しようかとも考えたが、祟りとか復活されても困るし、なんか落ち着かないから出来る限りの事をして扉の前に行く。


「やっと開けられる…。」


扉はドームの壁と同じ材質のようで、取っ手と閂を掛ける出っ張りの他は特に装飾などは無い。

大きさは意外に大きく、横に3m高さが5mくらいだ。

閂の棒を取り、取っ手を掴んでゆっくりと押すと重厚な見た目に反してスムーズに動き出す。


ゴゴ……!


「さぁ、御開帳!! うっ! 眩しい!!」


音をたてながらゆっくりと扉が開くと、隙間から光が差し込む。

約2日ぶりに見る太陽の光に目が痛むが一気に扉を開け切る。

扉の向こうはドームとは違って普通の岩で出来た洞窟になっていて、まだ目が慣れていなくて先がよく見えないが、10mくらい先から強烈な光が差し込んでいるようだ。


「ぐすっ……あぁ…光だ……。」


俺の目から自然と涙が流れる。

短い間だったが、光源の無い穴倉で生活をして太陽の大切さが身に染みた。

この暖かな光……素晴らしい!

やはり人は、太陽がなくては生きていけないのだ!


洞窟をゆっくりと進むと、段々と光に目が慣れて真っ白だった視界がクリアになってくる。

あぁ、この光の先にはきっと太陽と美しい外の風景が………!!


岩だった。


「………なんでだっ!!!!!」


涙まで流して喜んだのに、巨大な岩?!

洞窟の通路の先は岩で塞がれていて、岩と天井の間の僅かな隙間から外の光が差し込んでいるだけとか……。


「ふざけんな!! ヌカ喜びさせやがって!!!」


ここは綺麗な風景を見せて感動させるところだろうがっ!!!

いくら温厚な俺でも怒るぞ!!!

八つ当たり気味に目の前の大岩を思いっきり殴る。


バゴン! ビキ!!


大岩を殴ったらヒビが入った。

これは…素手で壊せるんじゃね?

俺はコートやベストに帯革など、動く邪魔になる物を置いて身軽な格好になり大岩の前で拳を構える。


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!!!!」


ドカドカドカドカドカ……! ビキ…ビキビキ!!!


ただひたすらに殴る! 殴る! 殴る!! たまに蹴りを混ぜつつ大岩をスタープラ◯ナのように殴りまくる。


「はぁ…はぁっ……意外に…はぁ…しぶといな…このクソ岩は!」


暫く殴り続けたが、大岩にヒビが増えるだけで一向に崩れない。

やっぱりツルハシ持ってくるべきかな…?


カキン……シュボッ! すぱぁ〜


殴り疲れたので、少しタバコ休憩をとる。

にしても、この身体ってどうなってるんだ?

あれだけ殴っても拳は全然痛くないし、大岩に素手でヒビを入れるくらいの威力がある。

そのお陰でさっきの、銃の効かないスケルトンを倒せたのだけれども……ヤバイ代償とかありそうでなんか不安になるんだよな。

タバコを吸いながら暫く考えても俺の理解の範疇を超えてて答えは出ない。

まぁ今の所、特に害は無いし儲け物だと思っておこう。


「いよっし! 休憩終わり! 」


タバコを揉み消し、再び岩の前で拳を構える。

2つ、思いついたことがあるから今から試してみて、ダメだったら潔くツルハシを持って来よう。


まず、大岩の前で足を肩幅に開いて腰を落とす。

両拳の親指が口元に来るように構え、上半身が【∞】の軌道を描くようにテンポ良く左右に振る。

そして、身体を振った反動を拳に乗せて左右交互に連続して大岩へ拳を叩き込む。

そう! 思いついた1つ目は【デンプシーロール】だっ!!!


ドゴン!! バガン!! ドガン!!


先程とは違い重い音と確かな手応えが拳を通して伝わってくる。


「まっく◯うちっ! まっく◯うちっ!」


大岩の全体にヒビ割れが広がり、パラパラと破片が落ち始める。

段々と落ちる破片が大きくなり、拳を打ち込む度に岩がグラつき始めたのを確認して、俺は思いついたもう1つを試すために右手を大きく振りかぶり、拳を立てて構える。


「ラストはコイツだ!!!」


とある人物がこう言った。

【全ての物質には外からの衝撃に対して抵抗が存在するため、与えた衝撃は完全に伝わり切らない。】


だからこの技は、拳を立てて第一撃を加え、その第一撃目の衝撃が物質の抵抗を打ち消した瞬間に拳を折って第二撃を与える。

そうする事で第二撃目の衝撃は抵抗を受ける事なく対象に全て伝わり切り、衝撃は対象の内部で破壊力に変換される。


そう、それは誰もが子供の頃に一度は練習した【素手の拳で岩を粉微塵に破壊する技)

その技を使う場合、独特の発声で技名を叫ばなければならない。


「フ◯エノキワミ、アァーーーーーー!!!」


バガッ!! ゴパァ!!


俺の拳が大岩のど真ん中に突き刺さる。

左◯助のように粉微塵とまではいかなかったが、大岩は内側から破裂するように砕け散った。


「うっ! 眩しい!!」(2回目)


憎き大岩が砕けた瞬間、目の前に光が溢れて本日2回目のホワイトアウトが俺を襲う。

手で目を庇い、目が光に慣れたところで恐る恐る前を見る……。

もう、さっきの二の舞は勘弁してくれ!


俺の目の前には光り輝く白銀の世界が広がっていた。


青い空、空に浮かぶ太陽(なんか2個あるけどまぁいい)、洞窟の外に広がる足跡一つない真っ白な雪原、雪原の向こうに見える鬱蒼と茂り雪化粧をした森。

そう! 念願の外の景色だった。


「……やっと…外だ!! イャッホゥゥゥ!!」


俺は雄叫びをあげて洞窟から飛び出した。


外の世界はなんと美しいのだろう!!

異世界? 関係ねぇ!! 俺は今、生きている!!

この新鮮な空気も!! この寒さも!! 【バリン!】 そう!! このバリンも!! 俺が生きている証だっ…………バリン?


ドザボン!! バシャバシャン!!


それはジャンプしながら洞窟を飛び出し、雪原に両足で着地した瞬間だった。

足元が音を立てて割れ、俺は頭まで一気に水の中に沈んだ。

俺が雪原だと思っていた場所は、湖の水面に張った氷の上だったのだ。


「ホビャァァ【ガボボ!】ブアァァァァ〜!! 死っ【ゴボボボ!】じぬぅぅ〜!!!」


幸福の絶頂から一気に極寒の湖に叩き落とされ、俺は完全にパニックになって悲鳴をあげる。


「なぁんぁぁ〜!! イヒャァァァーーー!! たすっ! デョェェェーーーエッ!!!」


暫くの間、静かな氷の湖畔に情けない悲鳴が響き続けた。


ーNEXTー

誤字や稚拙な文章の中、最後までお読みいただきありがとうございます。


今回は、思いついたネタを色々入れてみたのですが……入れすぎた気がしています。

後で訂正するかもしれません……(ノД`)


やっと外に出られた蒼二郎ですが、さぁこの後どうなるのでしょう!

プロローグのフラグ回収もまだだし……なんとなく流れは考えているのですが纏めるのが難しかったり…w


次も早めに更新できればいいなと思ってます!!(希望)



ご意見、ご指摘、質問、なんでもお待ちしております。


それでは、ありがとうございました!!



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