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勤務日誌:002 〜備えあれば嬉しいな〜

一週間以内に出来た〜!


更新です。

よろしくお願いします。


異世界に飛ばされて獣人になった蒼二郎。

さて、どうする?


ガチャン! ギギィィー


「おーい。 誰か〜……いる訳は無いか。」


まず上からと思って屋上に来てみたが、普段は立ち入り禁止で鍵が掛かってるし誰かいるはずも無い。


「にしても、本当に真っ暗だな。 出口の光でも見えるかと思ったけど。」


屋上に出て見回しても、真っ暗闇で光源は手に持つドンキーしかない。

暫く見回してわかったのだが、今いる空間は黒い光沢をもつ岩でできた交番をスッポリ覆うサイズのドーム型のようだ。


「お? 通気口発見。」


ドームの天井の真ん中にマンホールサイズの穴が開いていて空気はそこから外へ流れているようだ。


「だが、アレに登るのは無理だな……。」


通気口は交番の屋上から更に10メートル程の高さにあり登るのはほぼ不可能だ。

しかし、風は下から通気口に向かって流れているから下の方にも穴が開いているはずだ、1階まで確認したら外を探そう。


「給水タンクは無事だし、水はしばらく大丈夫だな。」


この交番の水道は、水を一旦屋上の給水タンクに貯めて各階に流す仕組みになっている。

この構造は無駄じゃないかと思っていたが、水が確保できるか分からない今は有難い。


屋上の確認はもういいだろう。

室内に戻り、必要な事を考えながら階段を下て3階を確認する。


「電気関係はダメだが、水道はなんとかなる。この様子だとガスもしばらく使えるだろうな。」


ガスもプロパンガスで外のボンベから供給するタイプだから大丈夫だろう。

電気はガレージの車や発電機から確保できるが、今の所は使い道がないし燃料は貴重だから温存しておこう。


「あとは飯と煙草にトイレ、あと明かりってとこだな。」


講堂と体練場にも異常は無く人も居なかった。

3階を確認し終わり、階段を降りて2階の一番奥にある部屋へ向かう。

防災備蓄品と書かれた紙が貼ってある扉を開けて中に入る。


「ある意味災害だし、備えあれば憂いなしって本当だよな。」


部屋の中には所狭しと段ボールが積まれており、中には扉の紙にあったように災害時に放出する物資が入っている。

俺は箱に書かれた品名を確認する。


「飲料水と保存食、毛布に防災シート、あとは簡易トイレに救急セット……充電式ライトと電池にバッテリーもあるな。」


確か、食料と水は100人が2日は生活できる量があった筈だし俺1人なら単純計算で200日、切り詰めれば250日は大丈夫だろう。


まぁ、俺が管理してるから知ってたんだけどな!

念のため確認したけど、ちゃんとあって安心した。


「ん? なんだこの箱? こんなの入れた覚えないぞ?」


物資の中にみかん箱が1つ紛れ込んでいる。

品目も書いてないし、こんな箱あったか?

とりあえずみかん箱の中を確認する。


「ウォッカ、テキーラ、ウイスキー、柿の種、さきイカ、ビーフジャーキーに……あっ、カニ缶まである……酒とツマミばっかじゃねぇか! 誰だこんなの入れた奴!!」


管理外の物があったら俺の責任になるんだぞ!

しかも、酒とツマミって交番になんてもの置いてんだ!!

どうやら、どっかの大酒飲みがこっそり保管していた物のようだ。


「いや待て、今はこれも有難いか。 酒は消毒と燃料にも使えるし。 ツマミでも食料だもんな……。」


部外にバレたらエライことになるが、今は別だし後で活用させてもらおう。

みかん箱を閉じて、物資の中からLEDランタンを一つ取り出す。


カチ……カチカチ……


「つかない……あ、手回し充電式かコレ。」


説明書を見たら、折り畳み式のハンドルを回して発電しろと書いてあった。

ソーラー充電よりはマシだが…最初っから充電しとけよな……。


俺はドンキーを腰に固定し、空いた両手でハンドルを回しながら2階の他の部屋と1階の確認に向かった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



シュー…ギョインギョイン…すぱぁ〜…ギョインギョイン…シュー……


全ての部屋を確認し終えた俺は、1階の交番スペースでタバコを吸いながらLEDランタンの充電をしつつ、昼飯(時間的には晩飯)の出来上がりを待っていた。


「最近の防災食も馬鹿にできないよな〜」


今、ランタンの充電をしながら出来上がりを待っているのは薬剤を水と反応させて生み出した熱でレトルトの食品を温めるタイプの防災食だ。

ちなみにメニューは牛丼である。


ギョインギョイン……ギョイン……


一通り屋内を確認したが、誰もいなかった。

西岡はちゃんと俺以外の人間を外に逃がしてくれたようで安心した。

俺は思いっきり異世界に飛ばされてるがそこは諦めるしかない。


ギョインギョイン…カチン


「さて、これだけ回せばいいだろ。 おぉ! やっぱちゃんとした明かりがあると安心するな。」


LEDランタンの明かりで交番スペース全体が明るくなる。

机の上でシューシューと湯気を立てる防災食は出来上がりまでまだかかりそうだし、俺はランタンを持って交番スペースの一番奥にある鉄の扉へと向かう。


「す〜っ……ふはぁ〜。 こっから先は火気厳禁だからな。」


吸っていたタバコを灰皿で消し、鍵のかかった鋼鉄の扉を2つくぐった先は拳銃庫だ。

ここには、この交番所属の警官が普段携行する拳銃と弾薬が予備保管も含めて合計45丁(銃弾が約300発)保管されている。


ガチャ


「どれにするかな。 ニューナンブは重いから却下だし……シグとエアーウエイトでいいか。」


通常携行している拳銃は個人ごとにシリアルナンバーで管理されて決まっているのだが、今は関係ないのでより取り見取りだ。


悩みながら俺はガンロッカーからオートマチックのシグ・ザウエルとリボルバーのエアーウエイトを1丁ずつ取り出す。


「どうせならオートマチックで2丁拳銃トゥーハンドとかしたいけど、無駄だしなぁ。マガジンの予備だけは持っとくか。」


さらに、ロッカーに残っていた2丁のシグからマガジンだけを抜き取り、2種類の弾丸を箱ごと取り出す。


「使うか分からんが、分解整備もしとくか……。」


拳銃2丁と弾、ホルスターと整備工具の入ったボックスを持って拳銃庫の外に出る。


交番スペースに戻ると防災食が出来上がっていたので持ってたものを机に置いて食べ始める。


「いただきます。 んっ! 意外にイケるな。」


防災食と言いながら普通に美味しい。

毎日食べると飽きるだろうが、食べ物があるだけマシだから贅沢は言えない。


「ご馳走様でした。」


朝から何も食べていなかったので一気に食べてしまった。

食後のタバコに火をつけながら机にゴムシートを敷き、ランタンの明かりでさっき持ち出した拳銃の分解整備を始める。


カチャカチャ……すぱぁ〜…ゴシゴシ…


拳銃の部品を1つずつ分解して異常がないか見つつガンオイルで磨いていく。

3か月に1回は俺が拳銃庫の全てを分解整備しているから慣れたものだが、今回は特に念入りに磨く。


「今思えば、倉庫番してて良かったかもな…。」


倉庫番になって交番の雑用を引き受けていなかったら銃の分解整備も、各種ライフラインの構造も知らないままだった。

何も知らずに今の状況に陥ったら途方に暮れていただろう。


「よっし! 終わりっと。」


磨き終わった拳銃の部品を組み立てて、シグとエアーウエイトの弾倉に弾を詰める。

シグの予備マガジンも満タンにして準備完了だ。


拳銃庫から持ってきたショルダーホルスターを左脇の下に着けてシグを入れる。


「左脇とあとは腰の後ろだよな……あ……。」


腰の後ろにホルスターを着けようとしたら尻尾が邪魔でホルスターを固定しにくい。


「存在を忘れてた……どこに着けるか。」


試行錯誤の末ホルスターは右腰に着けることにして、左右の重量バランスを考えて左腰には警棒を吊る。

武器は用意出来たが、まだ外に出る前にいろいろ準備する必要がある。


「服装も考えないと。 もう10時か……。」


制服も着替えようかと思ったが、時計を見ると夜の10時を回っていた。

外の確認に行くのは夜が明けてからの方がいいかもしれないと思い今日は寝ることにする。


「いろいろ疲れた……。」


1階の仮眠室に行き、布団を敷いてスパイ映画のように枕の下にセーフティをかけたシグを置く。


「枕の下に拳銃を置いて寝ることになるとは…。 暴発しないよな?」


携帯のアラームを午前6時にセットし制服を脱いで下着姿で布団に潜り込む。

仰向けに寝たら尻尾が邪魔になるかと思ったが特に問題なさそうだ。


「目が覚めたら夢オチでしたってならないかなぁ……。」


そんなことを呟きつつ目を閉じた俺はすぐに眠りに落ちた。



ーNEXTー



夢オチには……なりません!

蒼二郎にはこのまま異世界サバイバルをエンジョイしてもらいますw



誤字や拙い文章の中、お読みいただきありがとうございます。


次の更新も一週間以内に出来たらなぁ……と思っていたり……。




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