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〜日常から吹っ飛ばされる〜 その2

2話投稿


よろしくお願いします。

俺が配属されている交番は『西野幹部交番』と言う。

もとは、『西野警察署』であったが市町村合併などの影響で警察署も統合された結果、幹部交番という警察署サイズの交番になった。


今では刑事課など各課は統合先の警察署に移されて余った場所は全て予備の装備品や警察署に置く場所のない証拠品、特殊機材などを置く倉庫となっている。

その倉庫の管理をしているのがこの俺である。


本当は警務課の管轄だが色々あって上司に嫌われた結果、出向扱いで地域課の俺が全て管理している。

出納管理とたまに整理するくらいで殆ど毎日デスクに座っているだけの仕事だ。まぁ稀に交番周りの草刈りとか雑用をしてるけれども。


建物は上から見ると凸のような形で出っ張り部分が正面入り口だ。

1階は入って右側に交番スペースとロッカールーム。左側に普段使わない車両のガレージがあり、2階の全てが俺の管理する倉庫スペース、3階が講堂と体練場(剣道や柔道の稽古を行う武道場)となっていて俺のデスクは2階の一室にある。


喫煙スペースを出て西岡と話しをしながらそこに向かう。


「笑い事じゃないっすよ……。」


西岡がゲッソリした顔で言う。こりゃあかなり参ってるな。


「まぁ、どうせ暇だし部屋でゆっくり聞くさ。 ストーカー聖女様とかほんとウケるよな……ってなんだコレ?」


西岡を連れ笑いしながら階段脇にある俺の部屋のドアを開けた。

十畳くらいの広さの部屋には窓を背に金属製の事務机が置かれその前には以前、署長室にあった応接セットがあり部屋の隅には冷蔵庫と書類などの入った本棚が置いてある。

俺が驚いたのは、その応接セットの机の上に抱えるのに苦労しそうなサイズの木箱と毛布に包まれた1mくらいの棒状の物が置かれていたからだ。


「あ……ソレ俺っす。 実はソレを預かって欲しくて……。」


西岡が持ってきたらしい。 なんで勝手に置いてるんだよ……あ、俺がサボってタバコ吸ってて居なかったからか。


「デカイな……まぁ預かる場所には困ってないが、何が入ってんだ?」


「開けたらワカリマスヨ。」


西岡が遠い目をして片言で開けるよう促す。

まぁ中身が気になるから開けるけども、なんだコレ? ゲームの中でしか見た事ないようなデッカい木箱だ。かなり古い物に感じられるが、ホコリを被っていたりボロボロって訳でもなく年季が入った感じのなんとも言えない雰囲気がある。


「羊皮紙(?)の手紙と……これは辞書? いや魔導書って感じだな。 あとは藁? いや下に……は? マジでか?!」


蓋を開けてみると上の方には、コレまたファンタジーで見るような羊皮紙(?)みたいな紙束と宝石のような物で豪華に飾られた百科事典サイズの本。

その下には藁が詰められていて藁の中からは白地に金の彫刻で飾られた豪華な兜が見えている。

なんかこの兜、聖なる鎧です!って全力で主張してる感じだな。

木箱の大きさ的にまだ下にありそうだが。


「おい、コレって……まさか全身入ってるのか?」


「ハイ。 アト盾モハイッテマス。」


盾まで入ってるのか…兜を持ってみると軽いが明らかに金属製だ。 こりゃあコスプレ用って言うには無理があるな。

兜を木箱に戻し、次は横にある毛布に包まれたものを見る。

防具ときたら次は武器か?この感じだと豪華な剣でも出てきたりしてな、とか思いながら毛布を捲ると。


「……………おい。」


「………………ハイ。」


予想は大当たりです! 豪華な剣頂きましたぁ!

毛布の中から鎧とは逆に金地に白銀の彫刻で装飾された西洋剣が出てきた。

最早豪華を通り越して聖☆剣です!って主張してる気がする。

こんな状況でなければ天に掲げて「エクスカリバァァァァァァー!」って叫んでみたいくらいの剣でした。



「……まさか斬れたり?」


「………………。」


西岡を見ると無表情で目を合わせない。マジで斬れるのか?若干テンションが上がるのを感じながらとりあえず手に持った聖☆剣を鞘から抜いてみる。


カシュン……フィィィ〜ン


ヤッベェ! 超いい音する! いや、落ち着け俺。

今は確かめてるだけだ。 そう! 預かるものを確かめてるだけだ!


「………………」


「……なんだよ?」


「……いや、別に。」


なんか西岡の目が冷たい。別にテンション上がってないし! 表情も真剣そのものだし!(実はこの時思いっきり顔がニヤけてたらしい。)

気を取り直してっと…シャープペンを取り出し剣の刃に対して直角に叩いてみた。


カチン…


「ん〜流石に刃は付いていないか。」


「………………。」


叩いたシャープペンには傷が付いていない。刃引きはされているか。

不謹慎だが少し残念に思ってシャープペンを机に置く。あ、斬れなくても出しっ放しはマズイな、そう思い剣を鞘に収める。


シャァ…カキュン! パキャ!


あぁ、いい音だ……。 ん? パキャ?

剣を置いてさっきのシャープペンを見ると…縦に真っ二つになってる!?

輪切りなら分かるが真っ二つ?! 鞘に収めたらきれるとかどこの斬鉄剣だよ!


「…………おい!」


「…………!」


自分の手に異常がないか確かめた後、西岡を見る、コイツ…顔を背けやがった。 お前斬れるの…知ってたな。


「……西岡……手を出せ。」


「……ハイ」


ガチャン…ギリリ!


素直に右手を出したから手錠を取り出して手首に掛けてやる。そして腕時計を確認して告げる。


「9時03(マルサン)分、銃刀法違反で現逮な。」


「……はい。 ……ちょっと! 蒼二さん!? 酷いっすよ!」


「冗談だ。」


西岡は泣きそうな顔になってる。 コレで黙ってたこととシャープペンがダメになったのはチャラにしてやろう。

少しやり過ぎな気もしないことはないが、一歩間違えると俺の腕が落ちてたかもしれないし。

鍵を取り出して手錠を外してやる。


「お前さ、こんなヤバイものどっから持ってきた? こんなの振り回されたら日本の警官なんか取り押えるどころか近づいた瞬間に真っ二つだぞ?」


「実は、金髪の女騎士が…」


「金髪の女騎士が急に現れて『貴方が私のマスターか?』って言って家に住み着きました。 とか言ったら蹴り飛ばすぞ? あぁ?」


何処のセ◯バーだよ。 巫山戯て逃避したい気持ちは分かるがちゃんと答えろや。


「実は…………昨日、家に帰ったらドアの前に置いてあったんです。 この手紙と一緒に。」


西岡がポケットからファンシーな封筒に入った手紙を取り出す。

女子の使うようなキャラクターの入った封筒に仰々しい封蝋がしてある。 さっきまで羊皮紙とか魔導書とかあったのに世界観ぶち壊しじゃん。

中の手紙を見るとこう書かれていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


拝啓、勇者アルバイン様


いかがお過ごしでしょうか?


私は貴方に会えず、とても陰鬱な毎日です。


早く貴方の腕の中で愛を感じながら眠りたい。


《中略、ここから凄まじい惚気?(夜の行為を含む)があったので思い出したくない。》


とにかく、早く貴方に会いたい。


一緒に置いてある聖剣【破魔の千刃】と聖盾【サンクチュアリ】、聖鎧【白騎士】は聖界統一教会からの貢物です。


明日の朝、貴方をお迎えにあがりますのでどうぞお召しになってお待ちください。


明日を心待ちにしております。


聖界統一教会 筆頭聖女であり、貴方の妻


マリアベル・C・グラスハイト 【キスマーク】



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


本当はもっと難しい文章で書いてあったがまぁいいだろう。 とりあえず俺は聖剣【破魔の千刃】とやらの鞘に手をかける。


ガシャ…


「蒼二さん……なんで剣を?」


「お前……いつの間にか結婚してたんだなぁ……言い残すことはあるか?」


カシュイィィィィ〜ン


聖剣を抜く。 さぁ、聖剣【破魔の千刃】よ! このイケメンリア充な裏切り者を真っ二つにしてやるのだ!!

え? 聖剣を持っているのにドス黒いオーラが出てる?

大丈夫だ問題ない。


「ちょっ! ちょっと待ってくださいよ! 結婚してませんって! 誰があんな頭のおかしい異世界の聖女様(笑)となんか!!」


「あぁ?! ……そりゃそうか、アレだけブッ飛んでるんだし妄想で[ピー]や[ピピー]して想像妊娠とかしてても不思議ではないか。」


西岡の必死に弁解する。言われてみると確かに頭がぶっ飛んでる自称聖女様の言葉など信じるに値しないか。そう考え、剣を納めて冗談だって言おうとした。

それを察して気が抜けたのだろう、西岡は…この裏切り者は墓穴を掘った。


「そうですよ!! 俺には『遥』がいますし! キスもこの前初めてしたばっかりなのに他の人と結婚だなんて!! ……あ」


「……はぁぁrrrるぅぅぅくわぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!? キっスぅぅうぅぅぅ!?」


再び聖剣を持つ俺からドス黒いオーラが吹き上がる。

イケメンリア充の裏切り者に死の鉄槌を!!!


〜NEXT〜








3日かかって2話目の投稿。

書きだめして投稿すべきかもしれませんがなんとも難しいですね。


できる限り早く投稿できるようにしたいですが、読み返すたび『なんか違うな』とか考えてしまいます。


読むのと書くのはこんなにも違いがあるのですね。


読んでいただく方の御目汚しにならなければ幸いです。

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