表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ある秋の朝に

作者: ともとも.com

蘭丸はその日も定刻に目覚めると信長の御前に伺候すべく身仕度を調えていた。

最後に姿見で全身を確認し、おそらく深夜まで戻ることのない自室の襖に手をかけた。

清々しい朝の空気を身体いっぱいに取り込んだ。

ふと、昨日まではなかった薫りに気付き、目の前の庭にその木を探す。

金木犀が咲いている…

蘭丸は庭に下り、黄金色の小さな花を懐紙に集めた。

自室に戻り、衣装箱から真新しい小袖を取り出すと着替えはじめた。

最後に金木犀の花を包んだ懐紙を懐中に忍ばせた。


「信長様、お目覚めの刻限ですよ」

主の褥の傍に膝を着き、柔らかく肩を揺する。

幾度か繰り返すと、まだ眠そうに目が開く。

信長の嗅覚がいつもと違う香りを捉えた。

「お蘭、香を変えたか?」

蘭丸はふわりと微笑みながら、胸元から何かを包んだ懐紙を取り出した。

信長の前でそっと開く。

黄金色の小さな花が現れた。

蘭丸の紅唇が信長の耳に静かに報告した。


「秋が、参りました…」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ