主人公は勇者じゃないよ
「サキたちの世界じゃそんなに珍しいのか?私たち」
先頭を歩いているカミュが振り返って聞いてくる。
笹森さんの叫んだ後正気に戻って顔が真っ赤になったり沈んだり慰めたりと大変だった。
そんな時間を乗り切り集合場所である昨日いた噴水の前にカミュを連れて行った、理由はギルドへの案内と説明をしてもらうためだ。
噴水前には俺たち以外は全員揃っていてカミュを見て殆どの人が「……猫耳だ」と呟いていたのを聞いて不思議に思ったんだろう
「あぁ、俺たちがいたとこじゃ獣人なんて空想の生物だったからな」
ふーん……と気のない返事が返ってきた、実感が湧かないんだろう
「……っと着いた、ここがこの町のギルドだよ!」
たどり着いた建物はやたらとデカく、旗が掲げられていた
「ここは依頼ギルド!私たちみたいな住人から依頼を受けてこなすんだよ、依頼内容は町の雑事から魔物の討伐まで色々あるんだ」
まぁ詳しいことは中で話そうと言ってギルドへ入って行くのに続く。
中は意外にも綺麗で人があまりいなかった
「何か、思ってたより綺麗ね」
「うん……」
隣で同じ感想を抱いたらしい黒衣さんの呟きに瀬川が同意する
「まだ朝早いからね。ギルドに登録するなら受け付けでできるよ」
見るとカウンター席みたいなとこに受付嬢が五人並んでいた
「さて、早速ギルドに登録を……」
「待って大澤君」
大澤の発言に笹森さんが待ったをかけた、大澤も不思議そうな表情で笹森さんを見る
「なに?」
「私は戦いとかってダメだから……えと……」
「魔物の討伐とかはできないってことね」
「うん!そうだよ!」
軽くボソッと言ったつもりだったのに聞こえていたらしくさっきのオドオドした様子から一変して笑顔になった。
笑顔なのはいいんだけどこっちに向けないでほしい
「東郷が睨んでるな」
見ると確かに睨まれていた、何かした覚えはないんだけど
「まぁ、ね?」
「仕様がないよな」
後ろでは瀬川と黒衣さんがコソコソ話してるけどよく聞こえない
「そうだね。でも一応、話しだけでも聞いてから決めない?」
優しい笑みを浮かべて答える大澤。
何人かの女子の顔が緩んだのに対して笹森さんと黒衣さんは不機嫌顔だった
「わかった、それでいいよ」
渋々と言った感じだな
「すいません、ギルドに登録したいのですが……」
「ハイ!……後ろにいる方全員ですか?」
営業スマイルとは思えない笑顔で受け答えてから後ろにいる俺たちを見て固まった。
まぁこの人数だと大変だわな
「いえ、とりあえず説明を受けてそれから決めようかと」
大澤がそう言うと受付嬢の表情が目に見えて安心した顔になった
「そうですか。ギルドは登録すると店での割引や魔物の素材を優先的かつ高めに買取させていただきます、他に依頼による魔物の討伐は依頼料が上乗せされます、但し犯罪行為等をした場合は登録剥奪されますのでご注意を」
概ね聞いた通りだな
「ギルドに登録しなくても討伐できるんですか?あと、迷宮についても聞きたいのですが」
「ギルドに登録しなくても構いませんが、その場合素材は店で安く買い叩かれてしまいます。迷宮はですね、各地に存在しており階層は様々ですが最奥部には守護者と呼ばれる大型の魔物が必ずいます、迷宮は誰が何のために存在するのか分かりませんが内部には宝箱があり中身は開けた人の物になります」
長々とした説明ありがとうございます!
「どうする?」
「…………。」
「とりあえず現状でなるって人だけ登録したら?登録自体は後でできるんだし」
大澤がこっちに戻って改めて聞いてきた。
笹森さんはまだ悩んでたから黒衣さんが変わりに答えた。
結局そこに落ち着くのか
「そうだね、じゃあまず僕がやるよ」
「ではまず魔法適性を調べますのでこの水晶に手を乗せてください」
受付嬢が机の下から水晶を取り出し、大澤が手を乗せた。
すると水晶は金色になった。
……あれ?金色って……と思い瀬川、黒衣さんの方を見ると二人もあれ?とした顔になって最後に三人でカミュを見ると目が限界まで開からていたついで受付嬢さんも固まっている
「……あの?」
状況がわかってない本人とクラスメイトたち
「……あっ!すいません。少し待ってただけますか?」
突然のことに戸惑っているクラスメイトたち
「何となく予感はしてたけど……」
「何でよりによってこいつなの……」
「ある意味はまり役ではある気がするが」
「どういうことなんだい?」
俺たちの会話を聞いて事情を知ってると思ったらしく話しをこっちに振ってきた
「あー……金色って言うのは勇者と言われるくらい珍しいらしい」
「珍しいなんてもんじゃないよ!百年に一人いれば奇跡ってもんさ!」
復活したカミュが興奮気味に喋ってる。
何て話してるうちに受付嬢さんが男性を連れてきた
「私はここのギルド長をやっているフィリスといいます。あなたたちには王に会ってもらいます」




