真っ黒な俺(カラス)
懐かしいな。
最近騒がしくなった町を見ながらそうつぶやく。
なんでも最近町のリーダーが変わったらしい。
それからだろうか。
そのリーダーがなにかをしたのか、それとも単なる偶然か。
まるでリーダーに続くように新しく町に色々な人間が引っ越してきている。
町を出たのは自分からだった。
無責任に戻ろうとは思わない。
いや、たまに戻るけどね?具体的には火曜と木曜とか。あれ?違ったっけ?
まあ、この森で暮らすよりあの町の方が暮らしやすいのかもしれない。
それでも俺は帰るわけには行かない。
町と一緒にあいつらのことも捨てたんだから。
今更どんな顔して戻れというのか。
そんな恥知らずな事は出来ないししたくない。
あいつらと一緒に食い物を漁り、猫に怯え、そしてむかつくやつの頭に爆撃をしかけたりしたのはもう思い出だ。
………たまに、本能に逆らえなくて戻るけど。
それでも思い出だ。昔のことなんだから誰がなんと言おうと思い出だ。
人が増えれば俺達の食い物も増える。
だけど、俺達をいい目で見ないやつらも増える。
嫌なやつを見るような、邪魔なやつを見るようなあの目。
それが嫌で俺は町を捨てたんだ。
わかるか?俺にだってプライドってものがある。
雄が一度やると決めたんだ。
貫き通さなくてどうする。
いくらこの森で食い物を採るのが上手く行ってないからといって、そう何度もあそこに行くわけにはいかない。
だから、落ち着け俺。静まれ俺。
昨日も同じ様なことを言ってそれでもこの本能に勝てなくて町に行ったじゃないか。
そもそも昨日があの日だったということは今日はあの日じゃないってことだ。
行っても食料は手に入らない。
今日こそ、この森で食い物を探すんだ。
大丈夫きっと何か食えるものがあるはずだ。
そう心の中で考えをまとめて俺は真っ黒な翼を広げて空に飛び立った。
皆さん。彼が何者かはわかりましたよね?
ちなみに蛇足ですが自分は彼にピンポイント爆撃されたことがあります。
それで頭を洗っていたら学校に遅刻しました。