STAGE1ー3
「つまり…あんたと契約してその神崎って奴を倒さないと俺達は帰れないってわけ?」
「はい!そういうことになりますね。」
「能力っていうのはどうやって決まるんだ?」
「それは、あなた方の潜在に眠っている力次第です。」
「そうか…」
蘭太は近くの仲間を見る。
音夢は唖然としている。
榊は何か考えている。
茜は笑っている。
彩実は眠そうだ。
「それって…死ぬことも有り得るんだよな?」
「そうですね。あなた達が弱ければ、そのような事も最悪起きてしまいます。」
観世はそれが当たり前のように淡々と話す。
「冗談じゃない、ぼくはこの話は降りる!元の世界に帰して!」
半分まだ話を飲み込めていない音夢は半狂乱で叫ぶ。
「そうだな、俺は契約をする。だがこいつらは帰してくれ。巻き込まれただけだ。」
その言葉を聞いて、茜は椅子から立ち上がり反論する。
「ちょっと待ってよ蘭太!あたしも契約する!こんな事めったに無いじゃん!」
「いやダメだ。死ぬかもしれないのは巻き込んだ俺だけで十分だ。」
観世はうんうん、と頷き、返事をする。
「そうですよ。いずれにせよあなた達が帰るには私と契約しなければいけないのです。」
「なんで…こんな事に…」
悲壮感漂う言い方で音夢は言う。
「…あんたがこんなに悪い奴ならメールも即削除したんだがな。」
「私が悪いのは悪魔なんだから当たり前ですよ。」
観世が微笑しながら返事をすると、蘭太は、ちくしょうと呟き退く。
「さあ、どうしますみなさん!契約して、見事神崎を倒し元の世界に戻るか、はたまたこのままこの世界で暮らすか!…別に私はどちらでも良いんですけどねぇ…」
観世は手を大きく広げ、まるで多くの民衆に語りかけるかのように話す。
「俺は乗る。こうなってしまったのも俺の所為だ。腹をくくってこの世界を救ってやる。」
半ばヤケになった蘭太は言う。
「あたしも勿論乗る。世界を救うなんてそんな事…普通はあり得ないじゃん?」
茜は嬉々として話に乗る。
「俺も乗るよ。帰るにはどちらにせよそれしか無さそうだしね。」
榊はしょうがなさそうに賛成する。
「…私も…やる…」
彩実も面白そうに話を飲む。
「…みんなは本当に話を飲み込むのが速いよね…」
音夢は呆れたように、蘭太達を見回し、しょうがないなぁ…と言った。
「本当にみんなといると退屈しないや。良いよ、ぼくも乗る。」
「いいのか?」
と蘭太。
「良いよ。そうしないと帰れないし、困ってる人もいるみたいだしね。」
音夢が笑いながら賛成をする。これで五人全員が契約をする覚悟を決めた。その五人を見ながら観世はニヤリと笑う。
「皆さん方!良く覚悟を決めました!それでは、契約と参りましょうか!」
観世が手を蘭太に差し出す。蘭太は怪訝な表情を浮かべ、疑問を覚える。
「握手すればいいのか?」
「ええ!これからよろしくという事を込めて!」
「なるほど…納得はいかねぇが、元の世界に帰るためだ、よろしくな。」
「はい!よろしくお願いします!」