STAGE0
川瀬高校、二年四組。二年生というのは高校に馴染み、受験というのもまだまだ先で、一番楽しい時期、嫌われている授業が自習になって生徒達が喜んでいる。
「ねぇねぇみんな、今日のこの時間、自習なんだって!」
童顔で、下手すれば女子に見えそうな男子が周りの席の四人に話しかける。
「え?マジで?よっしゃあ!遊べるじゃん!なあ?彩実!?」
大きな声で名前を呼ばれたにも関わらず、彩実と呼ばれた女子はすやすやと寝息をたてて寝ている。
「早!寝るの早すぎるだろ!」
「茜…声大きい…それに課題あるから遊べないよ?」
「フッ…甘い、甘すぎるな音夢…だからお前は女子に間違えられるんだよ…」
「―っ!茜!ぼくが女子に間違われるのは関係ないでしょ!気にしてるんだからさあ…」
音夢がそんな事を言われるのは毎度のこと、もう彼はうんざりしている。
「ハハハハ、冗談冗談。悪かったって。榊と蘭太も何か言ってやってくれよ。」
榊と呼ばれた方の男子はペンを動かす手を止めず、適当な雰囲気で返事をする。
「悪いけど…僕は課題が忙しいから話を振らないでくれ。」
五人の中で一番頭のいい彼は、そういうところもしっかりしている。ちなみに二番は彩実、何故かは分からない。「分かったよ…榊、あとで見せてくれよな?で、蘭太は何やってるんださっきから?」
茜の前の席にいる携帯を一心不乱にいじっている蘭太は返事をする。
「んー?あーいやさ、俺の携帯にさ、面白いメールが来てて…見るか?」
茜と、すでに課題に手を付けていた音夢が携帯を覗き込む。
<題名:おめでとうございます!!>
<本文:あなたは異世界への旅行に見事当選いたしました!この旅行は、ワクワクドキドキ波乱の旅行!正義の味方になれます!行く方法は簡単!この画面を開きながら、共に行きたい人四人を想像するだけ!時間はいつでも!あなたが来るのを楽しみにしています!>
「―な?面白いだろ?今時の迷惑メールって考えるよなー…」
「いや、これ、考えてるっていうか…何がしたいか分からないよ…」
「これはいくらあたしでも騙されない…」
楽しんでいる蘭太に比べ、音夢と茜は少しメールに呆れているようだ。
「まあでも想像するだけなら簡単だ。…うーん、音夢、茜、彩実と榊だn」シューン
―――「…だってさ、あいつ…あれ?あそこの席蘭太達どこにいった?…」