何かが終わった世界の利他主義者達
はじめまして。
柱が現れた。生命の柱だった。
この世界の柱は救われた。生命の柱によって、これからも晴天の柱は魔力を放出し続けるだろう。
人々はいかに自分たちが愚かだったかを思い知らされ、今では日々、柱に感謝している。悲しみを造り出す職業は法によって取り仕切られた。
「皆、変わったよね」
この世界の柱を救った青年の幼馴染がふと呟く。その言葉に、運搬組合所属の大男は頷いた。
「これもあの坊主のおかげってわけだな」
幼馴染が表情を暗くしながらも頷く。きっと、割り切れないのだろう。柱を正して消えていった青年のことが。
「……わたしは、キルの幼馴染でよかった。昔からそばにいることが出来たから。わたしはやっぱり、キルが好きだったんだ」
「そうか。思いを伝えれたのか?」
「うん」
家族同然に育った。いつも一緒だった。家族愛でもあり、恋愛でもあった。
暖かい光の中、無表情の顔がとてもきれいに笑っていた。
これは、1人の青年が全てをかけて世界を救う物語。
青い魔力に包まれていく彼の口が動く。
彼が消える前に言った言葉を、わたしは忘れない。
世界シリーズ、これより番外編へ突入します。