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弱い僕
「なに、お前、学校来たの?」
いきなり声をかけられた。
振り返ると、そこにいたのは細身の男子だった。
身長は百六十五センチくらい。
色白で、体つきは軽い。
僕は百七十五センチ。
体重は七十五キロあって、周りからはガタイがいいと言われる。
殴り合いになれば、勝てる可能性はある。
頭では分かっている。
それでも、体は動かない。
頭も、うまく働かない。
「……うん、ごめん」
理由なんてない。
ほとんど反射だった。
「なんで来てんの?」
「なんでって言われても……学校あるし……」
自分でも、弱い返事だと思った。
「ふーん。調子乗ってんな、笑」
「いや、乗ってないよ……」
そう言った瞬間、頬に痛みが走る。
つねられた。
爪が食い込む感触が、やけに鮮明だった。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
口が勝手に動く。
僕は悪くない。
それでも謝る。
早く終わってほしいし、
これ以上、クラスの注目を浴びたくなかった。
周りの視線が、集まる気配がする。
——ああ。
地獄が、始まった。




