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7:45
始業時間は、朝8:00時。
だから僕は、学校に着く時間を7時45分と決めている。
もし早く着いてしまったら、トイレに入って時間を潰す。
それでも余るなら、わざと、とてもゆっくり歩く。
この時間にこだわる理由は単純だ。
早く着けば、目をつけられる。
遅く着けば、クラスメイトの注目の的になる。
あの、多人数から一斉に向けられる視線が、本当に苦手だった。
何かをしたわけでもないのに、見られる。
時間には間に合っているはずなのに、「遅刻だ」と笑われる。
担任は、何も言わない。
教室があまりにうるさくなると、
「静かに」
そう言うだけだ。
誰のことかは、はっきりさせない。
朝の冷たい風が、今日はやけに気持ちよかった。
この時間帯は登校する人も少なく、周りを気にせず歩ける。
僕にとっては、数少ない癒しの時間だった。
——ただ、自分の足で地獄へ向かっているだけなのに。
歩くたび、胸の奥がざわつく。
吐き気が、少しだけ強くなる。
倒れるほどじゃない。
でも、確実に不快だ。
きっと、これは緊張なんだと思う。
刻々と、地獄が近づいていた。




