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朝,起きる
朝、母の声で目が覚めた。
「はい、おきてー。今日すごい寒いよ」
布団の中で目を擦りながら、ゆっくりとまぶたを開く。
確かに、空気が冷たい。
布団から出るのが嫌になるくらいには。
——あぁ、今日も変わらず一日が始まる。
そんなことを思った瞬間、また眠気が押し寄せてきた。
昨日の夜、アニメを見てしまったせいだ。
よくある、小学生向けの超能力ギャグアニメ。
主人公がふざけた能力で、周りを振り回すだけの話。
寝ぼけていたせいか、僕は真剣に考えてしまった。
——昨日の主人公が、この世界を超能力で変えてくれないかな。
そんなわけがない。
これはアニメの世界で、ここは現実だ。
……いや、でも主人公は超能力を持っているんだから、理論上は可能なんじゃないか?
そこまで考えて、ようやく自分で笑ってしまった。
何を本気で考えているんだろう。
朝ごはんを食べて、シャワーを浴びて、ランドセルを背負う。
いつも通りの流れ。
家を出る直前、ふと、どうしようもない考えが頭をよぎった。
——あぁ、車が自分に突っ込んできてくれないかな。
もちろん、そんなことは起きない。
分かっている。
それでも、そう思ってしまうくらいには、
学校へ向かう足取りは重かった。




