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アリスはくじけない!  作者: 青木紅葉
第三章・立て直すぞ! 群狼戦士団!

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 屋敷の陰から広場の様子をコソコソ窺っていると、頭上から「アリス?」と驚いたような声がした。


 その声がした方に顔を向けると、屋敷の窓からジョンが顔を覗かせていた。


「君は……そんなところで何をしているんだ? 皆は広場に集まっているぞ?」


 村長って立場だし彼にもしっかり報告は届いているんだろう。


 イノシシの件や広場の状況はしっかり把握出来ているようだ。


 ただ、ボクのコミュ力のなさまではわかっていないらしい。


 不思議そうな表情で、屋敷の陰に佇むボクを見下ろしているが……答えないボクを見て何か察したらしい。


「こちらに上がって来なさい。君からも話を聞かせて欲しい」


 そう言って玄関を指差すが、目の前なのにわざわざ回り道をするのも面倒だ。


「ふっ!」


 ボクはその場から数歩下がると、足に魔力を集中しながら助走をして、一気にジョンがいる窓まで飛び上がった。


 二階にいる自分の目の前まで突然現れたボクに驚いて、ジョンは「なあっ!?」と叫びながら廊下に尻もちをついてしまった。


「あら……大丈夫ですか?」


 驚かせてしまったな……と、申し訳なく思って手を差し出すが、彼は「必要ない」と手で制すると立ち上がった。


「いや……済まないな。みっともないところを見せた。まずは向こうに……」


「ボクは全然構わないですけど……」


 結構しっかり転げたように見えたが大丈夫だろうか?


 ボクは何ともないと言いつつも、歩きながらも痛そうにお尻をさすっているジョンを見て不安になっていた。


 ◇


 ボクが通されたのは、屋敷の二階の一角にあるジョン一家の生活スペースだ。


 要はリビングみたいなところで、そこにあるテーブルにジョンと一緒に着いている。


 ボクは別に一階の彼の執務室でもよかったんだが……距離があるし、わざわざそこまで行くようなことでもないんだろう。


 問題は……彼等の生活スペースってことは、彼の奥さん……ジェイクの母親でもある女性もいることだ。


 それぞれの部屋は別にちゃんとあるが、律儀に彼女は部屋から出て来てお茶の用意をしている。


 彼女はエイダという名前で、母よりいくつか年上らしいんだが……どうにも母を苦手にしているというか、遠慮している節があった。


 ひと月ほど前のジェイクに絡まれた晩に母からエイダを紹介されて以来、彼女と顔を合わせたのは数度だが、控え目で真面目な人って印象を受けている。


 母のことは会って数日で街に移動したから、どうこう言えるほど人間性を理解しているわけじゃないが……結構きつい人って印象だし、相性の問題なのかもしれない。


 さらに、エイダはボクに対しても妙に遠慮している節がある。


 最初は息子を殺しかけた相手だし避けられているだけかと思ったんだが、それに関しては何か感謝されていたし……非行息子を更生してくれたからかな?


 その辺は家庭の問題……ビーンズ家の問題としてどうにかしてもらうとして、ボクにとっていまいち関わり方がわからない相手なんだ。


 つまり……今の状況は結構気まずい。


「あ……ありがとうございます」


 お茶を出してくれたエイダに礼を言うと、彼女は無言で頭を下げてジョンの隣に座った。


 そして、ジョンはこちらを向いて口を開く。


「まあ……楽にしてくれ。外にイノシシの群れが現れて、その対処に君が向かい解決した……とは聞いているが、詳細が分からないのでな。君の口からも聞かせてもらう」


 彼の言うことはもっともだし、ボクは「わかりました」と報告を始めた。


 まぁ……詳細の報告と言ってもボク自身途中から参加したため、知っていることはジョンと大差ないかもしれない。


 どこからどんな風にやって来たのか……とか、何を狙っていたのか……とかはわからずに、ただどうやって倒したか程度のことしか話せない。


 むしろ、事前に村人から報告を受けている彼の方が詳しいかもな……。

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