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アリスはくじけない!  作者: 青木紅葉
第三章・立て直すぞ! 群狼戦士団!

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 簡単にではあるが槍の汚れを落とした後は自分の番だ。


 髪と身体を丁寧に洗ってもうひと浸かりする。


 そして、浴槽の縁に腕を置くと、そこに顎を乗せて壁に立てかけた槍を見る。


「見た限りだと、シンプルな槍なんだけどね……」


 銀色に輝く穂先に、黒い金属で出来た細く長い柄。


 比較的長いが、重量のバランスが良くて素人のボクでも持ちやすいし振りやすい造りだ。


 とはいえだ。


 少なくともボクの知識の範囲ではごく一般的な槍だと思う。


 ボクが今日槍を持とうと決めた際に、この槍を選んだのは単純にボクの手で持ちやすそうだったからで、特に意味はなかった。


 ところが、いざ戦うために体に魔力を集中させて……あのイノシシの魔獣に突きを放った時の威力たるや……。


 魔力で強化することで身体能力を大幅に上げることは可能だ。


 塀を飛び越えたり、イノシシよりも速い速度で走ったり……ボク程度の身体でもそれだけの力を発揮することが出来る。


 だが。


「いくら身体能力を上げたからって、あの大きなイノシシを簡単に真っ二つにしたり、貫いて弾け飛ばしたり……そんなことは出来ないと思うんだよね。魔獣ってのがいまいち何なのかわからないけど、ただの獣よりは強力なんだろうし……少なくとも圧倒出来たのはボクの力だけってことはないよね」


 魔力で強化した状態での戦い方や、身体の動かし方がわかったからってのも無いとは言わないが、まぁ……この槍のお陰だよな。


 改めて立てかけている槍をジッと見る。


 この槍が特殊なのか、それともこの世界の武器はアレが普通なのか。


「錆一つないし綺麗なもんだけど……あの青白い光は消えちゃってるね。エリーゼ様に借りている仮面と一緒で魔力を通すことで力を発揮するのかな? まともに武器を扱ったのは、賊との戦闘が初めてだし比較が出来ないか……」


 あの時は適当に賊から奪った武器を使っていたし……まともな武器は今日が初めてだ。


 そもそもボクの戦闘経験も武器の知識も何もかもが足りなさ過ぎる。


「お風呂で考えこんでいても何もわからないだろうね。のぼせちゃう前に……さっさと上がっちゃうか。折角颯爽と村の危機を解決したのに、長湯してのぼせたなんて広まったら恰好が悪すぎるからね」


 贅沢な明るい時間の風呂は少々名残惜しいが……「よいしょ!」と気合いを入れて浴槽から身体を出した。


 ◇


 風呂から出たボクは、一先ず槍を二階の物置部屋に戻すと代わりに適当な小剣を選び出した。


 今日の件で信頼はある程度得ることが出来たが、それでも人が多く集まっている場所に槍を持って行くわけにはいかないだろう。


 そして、警備の責任者でもあるボクが、つい先程村に危険が迫ったってのに丸腰でフラフラしているわけにもいかない。


 中々難しい立場だ。


 ってことで、選び出したのは小剣なんだが……コレは普通の武器とは少々趣が異なっていた。


 柄には蔦のような彫刻、鍔元には花のような彫刻がそれぞれ施されている。


 剣帯だって他の剣は革だったり布だったりするんだが……この小剣は細い鎖で出来ている。


 少なくとも男の傭兵が持つような武器ではないはずだ。


 ……何でこんな物が群狼戦士団の野営地にあったんだろうかと不思議に思いつつも、これなら身に着けて広場をうろついても威圧感を与えることはないだろう。


「んじゃ……ボクも広場に向かおうかね」


 口元にスカーフを巻いて人前に出る準備を済ませると、家を出ることにした。


 ◇


「……人が多い」


 屋敷を回り込んで村の表通りに出ると、まだ広場から離れているにもかかわらず人だかりが目に付いた。


 人の多さってだけならラカンパの街を訪れた時の方が多いんだが……あの時はボクは馬車の中にいたし、関係のない人間ばかりだったこともあって、大して気にはならなかったんだが……コレは違う。


 別に何もやましいことはないんだし、堂々とあの輪の中に入っても問題はないんだが……どうにもこうにも。


 ボクってこんなにコミュ障だったかな?

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