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アリスはくじけない!  作者: 青木紅葉
第三章・立て直すぞ! 群狼戦士団!

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「よいしょっ!」


 塀の天辺に手を付くと、そのまま上に乗りあげた。


 幅は十センチメートルほどで動き回るのは難しいが、ただ単に上に立つだけなら問題無い。


 高さは……三階近くあるのかな?


 この村以外周辺には背の高い物と言えば裏手の森くらいだし、視界を妨げる物が無いからかなり広範囲まで見通すことが出来る。


 回収作業が終わるまでは、ここに留まって周囲の警戒をしておこう。


 そう考えて、バランスを取りながら村の外に体を向けたんだが、村の方から「アリスさん!」とボクを呼ぶ声が聞こえた。


 そちらに顔を向けると、時折挨拶をするおじさんが手を振っている。


 さらに、塀の上のボクに気付いた他の住人たちも集まりだした。


「アリスさん! 外はもう片付いたんですか?」


「イノシシの群れは倒しましたよ! 今はそれを回収しています!」


「そいつぁ良かった! さっき何人か外に向かったが、人手は足りてるかい?」


 ボクはその言葉を受けて、作業の進捗を確認するために農場の外に視線を向けた。


 農場の外に散らばっていたイノシシの死体は、既に農場側に運び込まれている。


 そして、作物を乗せるリヤカーを使って村に運び込むつもりらしい。


 それに乗せようと奮闘している姿が見えた。


 この群れのボスだった魔獣は一際大きかったが、他のイノシシだって決して小さいものではなかったし、相当な重さだろう。


 だが、人数は揃っているしリヤカーの数だって限りもある。


 とりあえず、向こうにいる人たちで十分だろう。


 それよりも。


「運ぶ人は足りていますけど、ボクが農場の柵を壊しちゃったんです」


 あの柵は見た感じこの塀と同じ素材みたいだし、補修するにしても道具が必要だろう。


「補修をお願い出来ませんか?」


 高い位置からではあるがそうお願いすると、集まっていたおじさんたちは「よしっ! 任せろ!」と言ってどこかへ走って行った。


「あんなにたくさん必要なのかな……? まぁ、盛り上がっちゃってるし、出遅れた分何かに参加したいのかもね」


 怪我人こそ出たが、重傷ってわけでもないし……村にとっては丁度いいイベントなんだろう。


 ここからだと村の広場辺りまで見えるが、住人の大半が外に出て来ていていて、どこか村全体がウキウキしているようだ。


 この状況で突っ込むような真似は出来ないね……。


「それじゃー……水を差さないように、しっかり外を見張っておかないとね」


 再び外を向いたボクは、槍を構えて塀の上を歩き始めた。


 ◇


 イノシシの回収と壊れた柵の補修と修理。


 幸いどの作業にも余計な邪魔が入ることはなく、スムーズに片づけることが出来た。


 柵の修理に出てくれたおじさんたちは、どうやらこの村の大工仕事を引き受けたりしているらしい。


 塀の上からではあるが、手際の良さはよくわかった。


 もしかしたら彼らに今後お世話になることもあるかもしれないし……。


「よいしょっ」


 塀の上から飛び降りると、ボクは彼らの下にポンポンと飛び跳ねていった。


「お疲れ様です。助かりました」


「おおっ! アリスさん!」


 改めて挨拶ついでに礼を言いに行くと、彼らは大声で笑いながらこちらを見た。


 一仕事終えたからなのか実にいい笑顔だ。


「柵に使ってる木材は裏の森の木で、何年もかけてしっかり乾燥させたものなんだ。村の塀にも使っているくらいで相当頑丈なはずなんだんだが……イノシシがぶち破ったのかい?」


「血が付いていたし、ここで暴れたんじゃないかってのが俺たちの考えなんだが……」


 彼らの言葉にボクは肩を竦めながら答える。


「そこで真っ二つにしたら、そのまま胴体が転がって行っちゃったんです」


「……それでこうなったのかい?」


 只ぶつかっただけでこうなったことと、それをボクが倒したことに若干引いてしまったらしい。


「牛みたいな大きいイノシシでしたよ。それが魔獣で、多分群れのボスみたいでした」


「そ……そうか、いやそれを簡単に倒せるなんて頼もしいね!」


 そういう彼らの声は若干上ずっていた。

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