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アリスはくじけない!  作者: 青木紅葉
第三章・立て直すぞ! 群狼戦士団!

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 前世のチャンバラマンガで見たキャラと同じ突きの構えをとると、ボクは狙いを付けたイノシシに向かって走り出した。


 刀と槍の違いはあるが……多分戦い方は同じでいいはずだ。


 マンガのキャラと自分を一緒にするのは危険なのかもしれないが……ボクはただ強いってだけじゃなくて、割とマンガのキャラに近い強さだ。


 薄々わかってはいたが……今の一戦で確信した。


 剣術も槍術も……戦闘技術も素人だが、大っぴらに言えるようなことではないが、これでも前世では割とオタク寄りの人間だったし、少年マンガも嗜んでいたからそういう動きはしっかりイメージ出来る。


 今のボクならまともに戦うよりも、そっちの方がずっと向いている。


 顔の傷を治してから十年以上魔力の操作と身体強化に加えて、ちょっとした運動は行っていたし、この村に来てからは毎朝剣の訓練も追加していたが、どれもいまいちしっくり来なかった。


 前世では運動そのものは嫌いではなかったが、武道や格闘技を学んでいたわけじゃないし、今生でも誰かに教わっているわけでもないから、それは仕方がないことでそのうち慣れてくるんだろうと思っていた。


 だが……今ようやくボクはどう体を動かしたらいいのかピンときた!


「やあっ!!」


 ボクはイノシシに向かって突進しながら、頭部目がけて槍を突き出すと、青白く光る槍がそのままイノシシの頭部を刺し貫き、弾け飛ばした。


「っ!? ……凄いね!」


 先程までは穂先を覆う程度の淡い光だったが、今は柄の半ば近くまで届いている。


 この光が何かはわからないが……ひと月ほど前に賊と戦った時に使っていた剣では起きなかった現象で、今の突きの威力と何か関係があるのかもしれない。


「村の中で持ってた時は光ったりしてなかったし……戦い始めてからだよね。魔力を込めたからかな?」


 次のイノシシに向かいながら、ボクは一頭目と二頭目との戦いを思い出す。


 突きの威力も真っ二つにした威力も、ただ単にこの槍の質がいいから……ってだけじゃ説明が出来ないし、何かそれ以外の力学が働いているんだろう。


「でも、ボクの体は今のところ負担は感じないし……このまま戦ってもいいよね!」


 よくわからないことは考えても仕方がないし、今はこの槍を持ったボクは強いってことだけで十分だ。


 二頭目三頭目のイノシシの頭部も貫くと、さらに別のイノシシに向かって走り出した。


 ◇


 イノシシの数が減っていくにつれて、農場の柵の前に陣取っていたジェイクたちも外に出て来て、イノシシたちを集めるように追い立てくれるお陰で、倒すペースも上がっていく。


 あっという間に残りはもう数頭になった。


 そして。


「団長! その右側が魔獣だ!」


 中に入って走り回っていると、どれがどれかわからなくなるため、外から指示してくれるのは正直ありがたい。


 ボクは槍を掲げて応えると、そのイノシシに視線を向けた。


 他の慌てふためいているイノシシと違ってボクから視線を逸らさずに、咆哮を上げては地面を踏み鳴らしている。


 ポンポンと群れの仲間を減らされているのに戦意は落ちていないようだ。


 でも、戦い方がわかって来たボクはその程度で怯みはしない。


 ボクに向かって突進してきたイノシシを、同じく突進して迎え撃つ。


 衝突直前で半歩程サイドステップで位置をずらすと、思い切り頭部目がけて突きを放った。


「やあぁっ!!」


 イノシシも止まっているわけじゃないし狙い通り頭部に……とはいかずに、突きは首に刺さったが威力は十分だ。


 イノシシの短い首ごと弾け飛ばすと、頭部と胴体が真っ二つになる。


 間違いなく即死だ。


「残りは何頭!? ……おや?」


 自分で数えるよりも外から見ている者に任せた方が位置関係の把握だって確実だ……と思ったんだが、答えは返って来ない。


 代わりに男の気合いの声が響いてきたと思うと、ジェイクとその取り巻きたちがイノシシ相手に斬りかかっていた。


「あらまぁ……」


 ボクは槍を下ろすと、腰に手を当てて溜め息を吐いた。

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