06
「兵隊が戦ってる!」
「勝てそう? どうなの?」
村が襲われているのか、それとも彼らが襲われたのかはわからないが、どうやらあの正規兵たちは何者かと戦っているようだ。
生憎ここからだと戦っている様子までは見えないので、戦況がどうなっているかはわからない。
今のところ村が混乱しているようには見えないし、少なくとも形勢が悪いとは思えない。
ボクたちはどうするべきか。
もちろん危険な場所には近寄らない方がいいだろうし、向こうが片付いてから改めて立ち寄ったり、いっそ無視して急いで離れる方がいいかもしれない。
だが……。
「お姉ちゃん、早く行こうよ!」
「兵隊が助けてくれるよ!」
森から出れて、村を見つけれて、兵隊も見つけれて……と、子供たちがもう助かりたいと思ってしまっている。
これ以上我慢を強いるのはもう無理か。
ボクは「わかった」と頷くと、子供たちを集めた。
「とりあえず……何とか村に入れてもらおう。多分群狼戦士団のことは知っているだろうし、名前を出せば入れてもらえるはずだよ」
もう一度村の方に視線を向ける。
まだ村は戦闘に巻き込まれていない。
さらに、外の戦況を見ようとしているのか、高い建物の屋根に登っている者たちもいる。
彼らに外から呼びかけてボクたちに気付いてもらえたら、手間取らずに中に入れるかもしれない。
「お姉ちゃんが前を行くから、皆は後ろをついて来て!」
子供たちの「わかった!」という返事を聞いて、ボクはすぐに走り出した。
少なくともボクたちが気付くよりも前から戦闘が続いているのに、未だに村に被害が出ていないってことは、とりあえず襲撃者の狙いが村じゃない可能性が高い。
理由はわからないし正直考えにくいことだが、あの兵隊たちを狙った可能性もある。
それなら、この状況でもボクたちを受け入れてくれるかもしれない。
何はともあれ……行ってみないと。
◇
「おいっ!? アレを」
「どうした……って、何だアリャ? それに後ろのはガキか? ウチの村のじゃねぇよな?」
屋根の上から戦況を窺っている者たちが村に近づくボクに気付いたらしく、ボクや後ろの子供たちを指している。
「お願い! 村に入れて欲しいの!」
ボクの言葉に、男たちはどうしようかと躊躇っているようだ。
村の目と鼻の先で戦闘が起きている状況で、見知らぬ女子供が村に入れて欲しいなんて言ってきたんだ。
ましてや先頭が頭に袋を被ったボク。
怪しむなというのが無理だろう。
袋を脱ごうかと袋に手をかけたが、その前に男たちが大きく腕を反対側に向けて振った。
「こっち側は危ねぇ! 向こう側に回り込んでくれ!」
そう言って屋根から降り始めた。
我ながら怪しい恰好なのにボクたちを受け入れてくれるらしい。
「ありがとう!」
男たちに礼を言うと、子供たちに指示を出すために背後に振り返ろうとしたそのタイミングで、屋根の上の男たちが騒ぎ出した。
続けて、袋越しでもわかるくらいの爆発音が遠くから聞こえてきた。
「爆発? 何があったの!?」
ボクは何があったのかを訊ねるが、こちらの相手をしている余裕はないらしい。
それに、柵で直接は見えないが、先程と違って村の中も騒がしくなっている。
こうなったら……「皆、急いで!」と子供たちを呼びよせると、まずは柵の上に飛び乗った。
そこからさらにジャンプをして屋根の上にやって来た。
地上にいたボクが突如屋根の上に現れたことに驚き声を上げているが……ボクだってそれどころじゃない。
「アレは何が起きたんですか?」
村の向こう側の草原では、先程見かけた正規兵たちと襲撃者たちとの戦闘が繰り広げられているが……正規兵十人ほどに対して襲撃者たちの数が明らかに多い。
そして、数に押されて正規兵側が劣勢だ。
野営地を襲った連中がそのまま来たんだろうか?
それにしたって、街道沿いのこんな見通しのいい場所でぶつかるだなんて……。




