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アリスはくじけない!  作者: 青木紅葉
第二章・どうする? アリス!

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「ぼっちゃんは止めろって言ってるだろう……それよりも、ソイツがアリスだな?」


 ぼっちゃん呼びが不服なのか、不機嫌そうな態度を露にしている。


 おじさんは「すいません」と頭を下げているようだ。


 そして。


「お嬢ちゃん、こちら村長のジョンさんの長男のジェイクさんだ」


 ジョンさんは住民から村長と呼ばれているのか。


 ここが村扱いされているってのは先程聞いたが……随分と本格的だ。


 そうなると、彼は次期村長かな……とかくだらないことを考えていると、別の若い男の声がする。


「……なんでソイツ籠なんて被ってるんだ?」


 どうやらジェイクは一人じゃなく、何人も引き連れているようだ。


 こんな早朝から……暇なのかな?


 ともあれ、途中で見つけた籠を被っているボクが気になるらしい。


 もっともな話ではあるが……つまり彼らはボクのことをよく知らないみたいだ。


 少なくとも、おじいさんやジョンさんや母とは関りが浅い連中なんだろう。


「なんでもその方が落ち着くとかで……。それで、ぼっちゃん、ウチのバカ息子まで一緒ですが……ゾロゾロ引き連れて何の用でしょうか?」


「なに……ソイツにちょっと用事があってな。」


「……一人の女の子を相手にするには人数が多すぎやしませんかね?」


 ジェイクは次期村長……の割に素行があまりよくないのかもしれない。


 おじさんの声は自分の息子も一緒だというのに、随分と険がこもっている。


「どこかに連れ込む……なんて真似はしねぇよ。屋敷に戻るだけだ。なんならおっちゃんも来るかい?」


「……そうですね。アリスさん、構わないかな?」


「うーん……もう少し見て回りたかったけど、仕方ないですしね。いいですよ」


 まだ広場周辺を軽く見て回っただけだし、施設も何も見れていないようなものだが……ここで文句を言っても仕方がない。


 彼らの目的はわからないし無視してもいいんだが……大人しく従おう。


「よしっ! 行くぜ!」


 ボクが頷くのを見たジェイクは、そう言って屋敷に向かって歩き始めた。


 ◇


「戻ったぜ」


 ジェイクは大きな声でそう言うと、屋敷の中に入っていく。


 そのジェイクに続くように、同行している男たちも玄関ホールでなにやら騒いでいる。


 籠越しにだが、使用人たちが困っている様子がよくわかる。


 実はここに戻って来るまでの間、彼らは一言も喋ったりしなかった。


 誰とも出くわすことがなかったから、威張ったり悪ぶったり出来なかったんだろう。


 ボクの中で彼らの印象は、もうただの精一杯悪ぶっているだけのチンピラになっている。


 ボクの隣を歩いているおじさんが小さく溜め息を吐いているし……あながちその感想も間違ってはなさそうだ。


 前世のボクになら効果はあっただろうが……既に実戦を経験している今のボクにただうるさいだけだ。


 彼らのリーダー役のジェイクはもちろん、ジェイクを放置しているジョンの評価も下がって……。


「何を騒いでいる!」


 ボクも溜め息を吐いていると、玄関ホールにジョンの声が響いた。


 見ると昨日のような恰好ではなく、寝巻のような恰好だ。


 この騒ぎを聞きつけて飛び起きてきたんだろう。


「ジェイク! ……それにアリスも? 早朝から何をしている!」


 ボクまで一緒にされたのは不本意だが、ジョンの剣幕に騒いでいた彼らが急に大人しくなった。


 先程彼の評価が急降下してしまったが、ちょっと持ち直したかな?


「一体何があったんだ?」


 その剣幕のままジョンがこちらまでやって来ると、黙っている彼らを無視して、一緒に屋敷までついて来たおじさんに事情を訊ねた。


「仕事の準備をしながらアリスさんに村の案内をしていたんですが……ぼっちゃんが……」


 一通り事情を聞いたところで、ジョンは大きく溜め息を吐いた。


 そして。


「ぐわっ!?」


「痛ぇっ!」


 と、一人ずつ殴っていった。


 もちろん、息子のジェイクもだ。

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