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アリスはくじけない!  作者: 青木紅葉
第二章・どうする? アリス!

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 ボクが顔を吹っ飛ばして以来、初めてボクを見る人の反応は限られている。


 まぁ……野営地に引きこもっていたから、群狼戦士団の関係者以外と会うことなんて滅多にないので、統計としては少々心許ないかもしれないが……目と口に穴の開いた麻袋を被った小柄の娘が現れたら、大抵の人間は同じような反応をするだろう。


 驚くか、目を逸らすかだ。


 さて、馬車から降りて背中しか見せていなかったが、振り向いて仮面を被ったボクを見た屋敷の玄関の前に集まっていた者の大半は、お嬢様たちがいるにも関わらずあからさまに驚いた表情を見せた。


 もちろんそれは一瞬のことで、失態を恥じたのかすぐに表情を引き締めている。


 玄関の前で出迎えるために集まった者たちの中央に立つ、仕立ての良い偉そうな恰好をした男性。


 恐らく彼が代官なのだろうが、まずはその彼が「失礼しました」と頭を下げた。


 それに倣うように他の者たちもそうしたが……端に立つ一人の女性は、ボクに向かってジッと冷たい視線を向けている。


 建物の影がかかってあまりハッキリとは姿が見えないが、恐らく彼女がボクの母親だろう。


 その隣の老人が彼女の様子を気にするように、こちらと視線を行ったり来たりしているが……彼は誰だろうか?


 ともあれ。


「……お嬢様。母と話をする時間が欲しいのですが、構いませんか?」


 後ろからお嬢様に声をかけると、彼女は「そうですね……」と少し思案したかと思うと頷いた。


「アリスさんはこの件にはほとんど関わっていませんし、群狼戦士団についても詳しくないようですからね。お母様に話を伺った方が早いかもしれませんね。部屋を用意させましょう」


「ありがとうございます」


「ただ、やはり後でアリスさんにも参加してもらう必要はあります。お母様には団長引継ぎの件等を話しておいてくださいね」


「わかりました。それと、その間子供たちは……」


「大丈夫ですよ。そうですよね?」


 お嬢様はボクの言葉を遮って代官に視線を向けると、彼がこちらに一歩出て口を開いた。


「部屋を用意して子供の相手に慣れた者を街から呼んでおります」


 準備は万端みたいだが……果たして、ウチの子供たちみたいな子供の相手をしたことがあるだろうか?


「あの、ボクたちずっと野営地で暮らしていたので、あまり礼儀とかがわかりません。大丈夫でしょうか?」


「年に何度か他所の村の者を招くことがあり、当然その中には子供も含まれている。君たちと同じ環境だとは言わないが、異なる環境で育った者と接することにはなれている。任せなさい」


 先程失態を見せたばかりだけに、彼はこちらを安心させるように自信たっぷりに言い切った。


 どうだろうかと子供たちを見ると、「お姉ちゃん、大丈夫だよ」とこちらも自信たっぷりだ。


 馬車の中では行政区に入ってからずっと緊張していたが、いざ到着して馬車から降りてみればもういつも通りだし、ボクとはメンタルのタフさが違うね……。


「……そうだね。よろしくお願いします」


「うむ。それでは、いつまでもこのような場では話しておらず、中へお入りください」


 代官はお嬢様にそう言って使用人にドアを開けさせた。


 ◇


 この屋敷自体がちょっとした役所みたいな役割もあって、居住スペースだけじゃなくて会議室などの職務用のスペースもあるそうだ。


 お嬢様たちは話をするために代官たちとそちらに向かい、ボクたちは居住スペースへと向かった。


 そこでさらに子供たちとも別れて、ボクたちはそこからさらに廊下を進んで突き当たりを曲がった最奥の部屋に通された。


 用がないと来ないような場所だろうし、内緒話には都合がいい部屋だ。


 気を利かされたんだろう。


「それでは、私共はあちらで待機をしておりますので、お話がお済みになりましたらお呼びください」


 案内をした使用人は頭を下げると、廊下を戻っていった。


 部屋にはボクと母と……玄関前で母の隣に立っていた老人だけとなった。


 何か勢いに流されてこうなってしまったが……さて、どういった態度で挑むべきだろうか。

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― 新着の感想 ―
こ、これは…この視線はだめなやつか!? い、いやまだわからない! 急に娘を名乗る謎の仮面の人が現れたら誰だってそうなる!きっとそうだ!まだわからない! いやでも記憶にすら残らない…手紙の一つもたぶんな…
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