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アリスはくじけない!  作者: 青木紅葉
第二章・どうする? アリス!

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「少々話が逸れてしまいましたね。それでは、今のラカンパの街ですが……外をご覧になってください」


 お嬢様はそう言うと窓の外を指した。


 それに従ってボクも窓の外に視線を向けると、街道沿いによく整地された農場が広がっていて、奥の方に建物がいくつか並んでいるのが見えた。


 先程までは草原地帯だったことを考えると、この辺りはもうラカンパの街の支配権が及ぶエリアなんだろう。


 だが。


「まだ街は見えませんよね?」


 平地が多い国土だけに、多少の勾配はあっても大分先まで見通せるんだが……街らしき姿は見えてこないし、まだまだ距離はあるはずだ。


 それなのに自分の土地にしてしまっているんだろうか?


 首を傾げながらそう訊ねると、お嬢様が「ええ」と頷く。


「先程少し触れましたが、ラカンパの街はいくつかの村が合わさって出来た街だといいましたよね? ここはその村の一つがあった場所になります」


「あぁ……その村の土地とかも全部ひっくるめて一つの街にしちゃったんですね。……それは大きい街になりますね」


 農村というくらいだし、畑一つだけ……なんてことはないだろう。


 各村がどれくらいの規模の農地を持っていたのかはわからないが、全部を合わせたら相当な広さになるはずだ。


「もし今現在同じことをやろうとしたら、まず間違いなく揉めるでしょうし、場合によっては王家から咎められるかもしれませんね。当時はまだ民間からの上への陳情が簡単には出来なかったからこそ出来たのでしょうね」


 お嬢様は感慨深げに頷いていたが、一つ咳ばらいをすると、改めて話を再開した。


「その各村を治めていた者たちですが、農作物を始め薬草や飼料などそれぞれ分かれて育てています。魔物が出てくるような土地ではありませんが、農作物の収穫期には泥棒などが現れるので、警備のために傭兵を雇うこともあります」


「ウチの親はそういった繋がりもあったんでしょうか? 何にせよ、傭兵が敬遠されなさそうなのは助かります」


 馴れ初めなんて聞いたことないが、あり得そうな話である。


 ともあれ、それだと傭兵を雇うことに抵抗はないだろうし……上手いことやればそこから仕事を得ることも出来そうだ。


 流通拠点とか言っていたし、商隊の護衛の仕事とかもありそうだけれど、ボクにはそんなことは出来ないだろうしな。


 お嬢様はそのことを伝えたかったのかもしれない。


 ボクの言葉に満足そうに頷いていた。


 ◇


 ラカンパの街の話を始めてから数十分ほど経った頃、街道もさらに整備された物に変わって来たのか、ガタガタと揺れていた馬車の振動も大分小さくなってきた。


 加えて、村を出発してしばらくは賊が街道を封鎖していた影響なのか、通行人も馬車もいなかったんだが、徐々にどちらも現れ始めている。


 こちらの陣容を見て近付いてくるようなことはないが、同じ方角を目指しているようだ。


 街が近づいて来ているんだろう。


 外の風景のまた変わってきたようで、子供たちのテンションも凄いことになっている。


 この子たちも生まれてこの方ボクと同じような生活をしていて、小さな村に立ち寄ることはあっても大きな街には近付いたことすらなかった。


 前世があるボクと違って、およそ文化的な生活はしてこなかったし見るもの全部が新鮮なのかもしれない。


 我ながら少々偉そうなことを考えつつも、はしゃぐ子供たちを微笑ましく思いながら眺めていると、「お姉ちゃんも!」と子供の一人に腕を引かれて窓の前に連れていかれる。


 ボクは「はいはい」と返事をしながら外を見ると……「わぉ」と、思わず変な声を出してしまった。


 街道の先に大きな壁のような物が見えている。


 街を囲む街壁なんだろうが、建物の三階か四階までありそうな高さの壁がずっと続いていた。


「大きいねぇ……」


 つい今まではしゃいでいた子供たちも、ボクの言葉に同意するように「ねー」と感嘆の声を上げた。

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