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アリスはくじけない!  作者: 青木紅葉
第一章 崩壊・群狼戦士団!

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 傭兵という職業がある。


 戦闘の専門家で、雇われて雇用主の代わりに戦場で戦う職業だ。


 傭兵になる理由は様々で、例えば貴族の三男四男……家での役割が長男や次男のスペアだった者が、お役御免となった際にそれまでに受けた教育を活かして、傭兵になることがある。


 また、没落した貴族や騎士が傭兵になることもある。


 真っ当な武術や馬術を習っただけじゃなくて読み書きも出来ることから、気位の高さなど人間性で揉める可能性があっても、比較的どこからも歓迎されている。


 そして、当然平民にだって傭兵になる者もいる。


 貧困や将来への希望が持てず家を出る者が成り上がりを目指すルートの一つが傭兵だ。


 犯罪者である野盗にはなりたくない……個人・少数での活動が主体の冒険者になるノウハウもない。


 その結果、一先ず集団に所属することが出来る傭兵団を選ぶ者は多い。


 傭兵団の主だった任務は、騎士の随伴兵として野盗討伐に参加したり、領主に雇われて領境の争いに参加したり……侵攻に参加したり……依頼人によって変わるが、要は人間相手の戦闘が大半だ。


 統治者側も武装した人間を纏めて管理出来る傭兵団の存在を歓迎していてる。


 特に、貴族と関りがある者が団長や幹部を務めている傭兵団をだ。


 どこの領地にもそんな傭兵団がいくつかあって、中には領主から組織運営費として補助金が出る団もある。


 群狼戦士団もその一つだった。


 領地の騎士団の小隊長を務めていた者の三男が家から独立して設立した傭兵団で、設立当初は騎士団の任務に随行して領内の小競り合いの解決に従事していた。


 時間を重ねるにつれて団の規模は拡大していき、受ける任務も騎士団の補佐から団の単独での紛争派遣などに変わっていった。


 団長の座は代々団長の子供が引き継いでいき、当代団長のグレイは四代目だ。


 戦場に出る度に勝利を手にして順調に評価を高めていき、他領や隣国にもそれなりに名の通った中堅傭兵団にまで成り上がった。


 下級とはいえ貴族の娘を妻に迎えて今後はさらなる拡大を約束されている、上り調子の傭兵団だ。


 その群狼戦士団団長グレイの一人娘アリス。


 それがボクの簡単なプロフィールだ。


 そして、ボクにはもう一つプロフィールがある。


 風見ありす。


 所謂前世のボクだ。


 極平均的な、所謂一般家庭の両親の下に12月半ば過ぎに一人娘として生まれ、地元の幼稚園を経て公立小学校へ入学。


 そして、難関ではないがそれなりの中高一貫の私立女子校に受験して無事合格。


 部活は中高ともに入らず、代わりに親の紹介で地元のスポーツクラブに入会していて、陸上競技やポピュラーな球技は人並みにこなせた。


 そして、系列の短大に入学して……特に波乱もロマンスもなく卒業して地元の企業に就職。


 それがありすの経歴だ。


 ちなみに、大人しく引っ込み思案ではあるけれど真面目で人辺りが良く、決して派手だったりお洒落ではないけれど品良く綺麗目で、十人並みで人目を引くような容姿ではないけれど、穏やかで人柄の良さがにじみ出ている……と、そんな評価をずっと受け続けていた。


 幼少期に見たアニメやマンガの影響でこっそりボクっ娘だったりしたが、上手く隠し続けていたため、その評価に影響が出たりはしなかった。


 誕生日の関係から、クリスマスと一緒に祝われることが多かったことが不満ではあったが、それ以外はありすも自分の人生に大きな不満は持っていなかった。


 だが、そんなありすは就職して数年が経った頃に、不幸にも突如事故で命を落としてしまった。


 不幸中の幸いだったことは、即死だったため苦しむようなことがなかったことだろうか?


 それとも同じ名前、同じ誕生日で別の世界の傭兵団団長の一人娘として転生したことだろうか?


 死んで終わりじゃなくて、第二の人生を歩めることは幸運なのかもしれない。


 いや……団が崩壊して子供を引き連れて森の中を逃げている時点で、少なくとも幸運ではないな。

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