06 謎の洞窟はダンジョンでした
「さて、夜になる前にもう少し先に進んでおきたいな」
レッドボアを心ゆくまで堪能してしばらく食休みをした後、森の外を目指してまた歩き出した。この3日間ずっと代わり映えのしない森の中を歩き続けてきたが、流石にそろそろ森を出たい。
「どうしたら出られるんだよ...。迷いの森的なあれなのか?」
「あるじ、迷子?」
「僕はずっと迷子だよ...」
そんなことを言いながら歩き続けていたら不思議な洞窟のようなものを見つけた。
「なんだこれ?」
洞窟の入口には厳かな扉がある。押してみようにも少しも動かない。なんだこれ、本当に扉か?
「うぅぅ?」
「どうした?アンコ」
「あの扉、なんか変な感じする」
「変な感じ?」
変な感じとはいっても僕には何も感じないけど...
「ん?」
あ、なんか光り始めた。ナニコレ?僕なんかしちゃった?
「ゴゴゴォォォォォ」
凄い音を立てながら扉が開いた。本当に扉だった、まぁいかにもな感じだったしな。中は真っ暗で何も見えない。
「アンコ、まだ変な感じするか?」
「魔獣の気配する」
「ま、魔獣の気配?」
「うん」
まさかこの洞窟的なのってダンジョンか何かなのか?流石に戦闘はしたくないなぁ。
「そっか、魔獣の気配がするのか...」
「うん」
「そうか、そうとなれば答えは一つ...」
「うん、一つ」
「洞窟から離れよう!」「洞窟の中、行く!」
「「え?」」
「アンコさんや、洞窟の中には魔獣がいるんだよね?」
「多分」
「なら離れるしかなくない?」
「中、行くしかない」
「えぇぇ...?」
どうやらアンコは魔獣を倒したいようだ、だってものすごい尻尾ブンブンしながらキラキラした目で洞窟の方見てるもん...嫌だよ、僕戦いたくないよ。
「えっと、アンコここはひとまず撤退を...」
「行く...!」
「あ、ちょっと待って!?」
撤退しようと言ったのにアンコが洞窟に行ってしまった。え、どうしよう...僕も行くべきなの?
「洞窟、もといダンジョンに来てしまった...」
結局アンコを追って洞窟、ダンジョンに来てしまった...。幸い【暗視】スキルがあるから洞窟の中も見えるけど...怖いよ。
「アンコ〜!どこ行ったの〜?」
先に入っていったアンコが何処かへ行ってしまった。返事もないし、一体どこへ行ったのか...
「うわぁ!?」
そんな事を思いながら先へと進んでいたら、とてつもなくグロテスクな魔獣だったであろうモノがあちこちに転がっていた。
「アンコがやったのかな...?」
先に入っていったアンコが魔獣を撲殺していったのだろか?それにしてもこれは...モザイク必要なくらいぐちゃぐちゃだな。恐ろしい...ここまでぐちゃぐちゃにするってことは食べられないやつなのだろう、レッドボアとか結構綺麗に倒してあったし。
「ん?死骸が消えていく?」
魔獣だったものが粒子状になって消えていった。なんか地上の魔獣と違うな、ダンジョンだから違うのかな?ダンジョンなのかもわからないけど。
「この魔獣の亡骸まだ消えないってことは倒したてだな、アンコが近くにいるのかな?」
そんなことを思いながら歩いていたらアンコを見つけた
「アンコ!やっと見つけ...うわぁぁぁ!!」
アンコ見つけたのはいいのだが、そのアンコが血のシャワーでも浴びたかのような状態だった
「あるじ?どうした?」
「いやいや、アンコこそどうしたの!?血まみれだよ!?」
「ん、返り血」
「か、返り血...か」
「ん」
いや、どんな戦闘したらこんなに返り血浴びるんだ?そうか、あんなぐちゃぐちゃになるような撲殺繰り返してたらそうもなるか...これは【洗浄】で綺麗にできるかな?前とは比べられないくらいの血で汚れてるけど...
「えっと、アンコはもう満足した?魔獣狩り」
「ん、でもまだボスが残ってる」
「あ、やっぱダンジョンだったの?」
「多分、そう」
僕の初ダンジョンは魔獣の惨殺死骸を眺めながらの散歩になったな。ま、まぁいいか、安全だったわけだし。
「そういえば魔獣って倒したら魔石とかあるのかな?」
「ここの魔獣は弱いから持ってない」
「そうなんだ」
魔獣の強さによって魔石の有無が変わるのか、そういえばこれまでに狩ってきた狼は魔石を持ってたしあれは強い部類の魔獣だったのかな?
「アンコはボスも倒したいの?」
「ん、倒したい」
「そっか、じゃあボスも倒しておいで、そしたらすぐ帰ろう」
「あるじも一緒に行く」
「え...?」
「ぼ、僕はいいよ。戦いたくない、し!?」
最後まで言い切る前にアンコに腕を引っ張られて連れて行かれた。いや、アンコさんの力強すぎない?最早僕の腕引きちぎれそうだよ!?その後すぐ戦闘になったのだが、ボスが攻撃をする前にアンコに撲殺された。うん、僕、魔獣に同情しちゃうよ。
「終わった」
「そうだね、アンコ強いね...」
「魔獣が弱かっただけ」
「そっか、じゃあ帰ろうか?」
「うん」
そうして、ダンジョンから出たら外はもう夜になっていた。
「また、森から出られなかった...明日こそ、明日こそは抜け出すんだ!」
そう宣言して、3日目もまた森から抜け出せずに終わってしまった。




