05 レッドボアの肉は大変美味でした
「さて、そろそろ森を抜けたいな」
異世界に召喚されて、そしてこの森で迷子になって2日が経った。異世界生活3日目になるわけだが...一向に森から抜けられる気配がしない。どうしたものか...。
「アンコは森の外へ出る道を知ってたりしない?」
「森の外行ったこと無いからわからない」
「そっかぁ」
アンコにもわからないなら結構詰みなのでは?適当に歩いて出口が見つかるとも思えないし...そっか、【探査】して探せばいいのか!
「【探査】」
うーん、【探査】出来る距離にも限度があるのか。今【探査】出来る範囲には出口らしきものは無いのか...これは、長い道のりになるな。
「よし、アンコ今日はもう少し先に進んでみよう」
「わかった」
道中で調味料や香草なんかも探しながら行くとしよう。森から出られるまで、獣臭くて味気ない肉を食べ続けるのは悲しすぎるからね。
「今日は先に進みつつ香草なんかを採取していこうと思う」
「こうそう?」
「そう、香草。昨日少し見つけたけどそれだけしか無くてね」
「何に使うの?」
「肉の臭みを消すためだよ」
「あのままでも美味しいのに」
「アンコは良くても僕は無理なんだよ」
「じゃあ、葉っぱいっぱい取る」
もしかしたら、香草があれば狼肉も美味しくなるかも?...いや、あれはそもそも臭いとかの前に硬いから無理か。そんなことを考えながら進んでいくと、香草ではないものの僕が探してやまないものがあった。
「これ岩塩じゃないか!?」
「なにそれ?」
「岩塩はね、肉とかに味をつけることが出来るんだ」
「味をつける...?」
そうか、アンコは今まで生肉を食べていたからわからないのか。
「もう少ししたら昼食にしよう。そのときに試してみよう、今までよりも美味しくなるぞ」
「うん、楽しみ」
お昼に食べる肉がもっと美味しくなるからというと、アンコは尻尾をブンブンさせて目がキラキラしている。可愛いなこの子。どうやら食べることが本当に好きみたいだ。とりあえず岩塩の塊みたいなのとプレート状のものを【アイテムボックス】に収納しておこう。それから道中で例の香草を見つけ、なんと胡椒も見つけることが出来た。ああ、今日はなんていい日なんだ。僕の欲していたものが2つも手に入ってしまった。これからの食事は楽しくなりそうだ。
「よし、昼食にしよう」
「岩塩、楽しみ」
【アイテムボックス】に収納しておいたレッドボアの肉に胡椒をすり込ませ、さっき取った岩塩プレートみたいなやつの上で香草と一緒に焼いてみる。おお、なんか見た感じは良さげな雰囲気だ。
「よし、できたぞ」
「おお...!」
アンコはすごいワクワクしているみたいだ。まぁ、かくいう僕もすごい楽しみで仕方がないのだけども。早速食べるとしよう。
「よし、じゃあ食べるか」
「食べる」
「いただきます」
おお!これは!獣臭さが全くなくなっている!それに、しっかりと塩味もついていて、普通に塩コショウで味付けしたステーキのようだ。こうして食べてみると、確かにレッドボアの肉は美味しいな。ボアっていうからジビエのような独特な味だと思ったが、なにかといえば豚が一番近いかもな。これはうまい!
「うん、美味しく出来た、アンコはどうだ?」
「おいしい...!!」
アンコも喜んでくれたみたいで良かった。初めての味で余程気に入ったのか、すぐに終わってしまっておかわりをせがまれた。これだけ美味しくなるなら、今後の食事は楽しくなりそうだ。このあと美味しすぎるが故、食べすぎてしばらく歩けなくなるのだった。




