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04 謎の狼は少女でした

僕が異世界に召喚されてから一夜明け翌朝、僕はお腹のあたりが重いことに気づき目を覚ました。なんだろうと思いそちらに目を向けると、


「え、誰!?」


そこには見知らぬ少女が眠っていた。よく見ると、彼女には黒い犬耳と尻尾があった。これが俗に言う獣人という種族なのだろうか。


「う、うぅん...」


どうやら彼女も目が覚めたようだ、でもいったい誰なのだろうか。ん?そう言えばアンコが見当たらないな。まさか...?


「えっと...おはよう?」


「おはよう、あるじ」


「ん?(あるじ)って僕が?」


「ん、あるじはあるじ」


「アンコ...なのか?」


「うん」


 どうやら彼女は本当にアンコだったらしい。でも僕の知っている姿と全く違う、昨日までは犬っぽい狼の姿だったのに...。どういうことだろうか?


「アンコ、なんで昨日と姿が変わったんだ?」


「昨日は【獣化】してたけど、もう解けた」


「ああ、なるほど」


 そういえば、アンコはそんなスキル持ってたな。でも良かった、昨日は【獣化】が解けたら襲われるかもって思ってたから。でも今はそんなことより...


「な、なぁアンコ、なんで服を着てないんだ?」


「【獣化】したら破れちゃった」


「な、なるほど。とりあえず今は僕の上着を貸すからそれを着ていていくれ」


「分かった」


 パーカー着てて良かった。【獣化】にはそんな欠点があったのか、【獣化】する度に服が破けていたらキリがなさそうだけど...確かに強いスキルだが、これからはあまり使わせないほうが良さそうだ。ちなみに【獣化】が解けたアンコのステータスはこうだ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アンコ 14歳

体力:140

魔力:200

筋力:155

魔耐性:40

物耐性:100

俊敏:140

技能(スキル):【身体強化】【獣化】

【称号】――

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 なんか、魔力が昨日見た時の二倍になってないか?テイム前と後で違いがるのだろうか。それに【獣化】でステータスが2倍になっていたのか、本当に強いスキルだな。でも使う度に服がなくなるのは...魔法の服みたいなのは無いのだろうか?伸縮性抜群なやつが。


「アンコ、しばらくは【獣化】を使わないでくれ」


「なんで?」


「使う度に服がなくなるんじゃ着るものがなくなるだろ?」


「なくてもいいよ?」


「いや、僕はよくないんだよ...」


「?...分かった」


 あまり分かってなさそうだが、まぁ使わないでくれるならいいだろう。それにしてもこの子には恥じらいというものがないのだろうか?獣人の特性みたいなものなのかもしれないが、というか獣人をテイムって...テイムって魔獣用じゃないのか?


「アンコは獣人なのか?」


「私は魔獣だよ?」


「え?」


どうやら魔獣らしい、明らかに獣人じゃないか?どういう判断基準なのだろうか


「アンコは人の姿の魔獣ってことか?」


「うーん、よくわかんない」


「わかんないかぁ...」


 どうやら本人にはよく分からないらしい。謎だ、獣人っぽいのに魔獣なのか...【鑑定】しても詳しいことはわからないし仕方ないか。特殊な個体なのだと思っておこう。今日は魔法の事を色々調べたいし、中々森からは抜け出せそうにないからここの周りのことを知りたいから探索もしたいな。そんなことを思っていたら、


「あるじ、今日なにするの?」


アンコはキラキラした目でそんなことを聞いてくる。


「今日は魔法について色々勉強しようと思ってるよ」


「魔法...」


アンコは、魔法について勉強すると言ったら暗い顔になってしまった。魔法が嫌いだったのかな?


「魔法は嫌いなの?」


「私、魔法使えない...あるじの役に立てない...」


 なるほどそういうことか、アンコは僕の役に立ちたかったのか。魔法が使えないから役に立てずションボリしてしまっている。可愛そうだがなんか可愛いな。


「別に魔法を勉強するだけじゃないぞ。今日は洞窟の周りの探索もしたかったんだ」


「探索...!」


あ、目がまたキラキラしている。やっぱりアンコは獣人...魔獣だから体を動かすのは好きなのだろうか。


「ここの周りなら私分かるから役に立つ...!」


「じゃあ、探索をする時はよろしくね?」


「うん」


 さっきまでションボリしていたのにすごくご機嫌だ。すごい身の変わりようだな、尻尾がブンブンだぞ。午前中は魔法のことを調べて、探索は午後ということにしてもらった。それまでの間アンコは狩りに行ってくるらしい。【身体強化】があるとは言え少し心配だな。


 しばらくの間魔法について調べて、知りたいことは大体調べ終わった頃、ちょうどアンコも帰ってきた。なんか、すごいサイズの赤いイノシシみたいなのを二頭引きずって...


「ア、アンコ、それは...何かな?」


「レッドボア」


「レッドボア...?」


「ん、すごく美味しい」


「そ、そうなんだ...」


 体長2m近くはありそうなこのイノシシをこんな小柄なアンコがどうやって狩ったのだろうか...それに2頭も運んでくるなんて...。【身体強化】ってそんなにステータス上がるのか?


「せっかく取ってきてくれたし、解体して美味しく食べようか」


「ん」


 アンコは口数は少なめだが表情ですぐ分かるな、あと尻尾。心なしかキラキラしてるし尻尾もブンブンだし。そんなにもこいつは美味いのか...?あの狼肉は不味かったから楽しみだ。


「ところでアンコは何故そんなに血まみれなんだ?」


「本当は三頭倒した。でも最初のやつ力加減間違えてグチャグチャになったから」


「え、えぇ...」


ということはなんだ、三頭倒したが最初のは力みすぎて爆散させたのか?殴って?アンコ...恐ろしい子...!


「まずは、その返り血を洗わなきゃな」


幸い川は近いし水浴びは出来る。でも服についた血は落ちないんじゃないか?漂白剤とかないと。どうしたものか...


《【生活魔法】を取得しました。》


...。


出た、ご都合スキル。本当に毎回ベストなタイミングで取得するな。名前からして、生活で使う魔法ということか?


「【鑑定】」


【生活魔法】: 【洗浄(ウォッシュ)】:どんな頑固な汚れでも綺麗に洗浄できる魔法


       【乾燥(ドライ)】:乾燥させる魔法


       【点火(トーチ)】:火をつけることが出来る魔法


       【水球(ウォーター)】:飲むことの出来る水を生み出す魔法


       【光球(ライト)】:辺りを照らす小さな光の球を生み出す魔法


       【冷気(フリーズ)】:冷気を出す魔法


 このような便利魔法が揃っているようだ。いや、ほんとに便利すぎるだろう、この魔法。服を洗いたいから【洗浄(ウォッシュ)】と【乾燥(ドライ)】が使えそうだな。


「【洗浄(ウォッシュ)】」


おお!すごい、落ちそうになかった血のシミが綺麗に落ちてる!


「【乾燥(ドライ)】」


 これまたすごいな、こんなにすぐに乾くなんて。僕のパーカーがまるで新品のようだ。【点火(トーチ)】があるから火起こしする必要がないし、【水球(ウォーター)】があるから飲み水の心配もないのか。ほんと便利だな。それにこれらの魔法はほとんど魔力を使わないようだ。


 今日、魔法について調べて分かったことは、魔法には火、水、風、土の基本的な四属性と光、闇、無の三属性があるらしい。光、闇、無は中でもあまり適正を持っている者は少なく、大変重宝されるらしい。この七つはそれぞれ適性がないと使えない上、[魔力回路]が無くてはそもそも魔法が使えないらしい。[魔力回路]があることを前提として、それぞれの適正属性が必要なようだ。僕の場合は、無属性と謎の【■■魔法】が適正属性のようだ。そして、【生活魔法】や【身体強化】は適正がなくても使えるようだ。それと、【無属性魔法】の【身体強化】と【身体強化】単体では効果が少し違うようだ。【無属性魔法】の【身体強化】よりも単体の【身体強化】の方が魔力の消費が多く効果も高いらしい。逆に言えば【無属性魔法】の方がコスパが良いようだ。だから、アンコはあんなでかいレッドボアを三頭も狩れたのか。それにどれだけ調べても僕の【■■魔法】については出てこなかった。


「洗ってきた」


どうやらアンコの水浴びが終わったらしい。というかこの【洗浄(ウォッシュ)】でも洗えたのではないだろうか?また今日の夜にでも試してみよう。風呂に入れないし、魔法できれいになるなら大分ありがたい。アンコが水浴びをしている間に、レッドボアを解体して焼いてみた。見た目はすごく美味しそうだ。


「じゃあ、食べてみようか」


「ん」


「いただきます」


うん、たしかに狼肉に比べたら柔らかいし食べれなくもない。だがやはり味がしないし、獣臭いというか、なんというか。狼に比べれば臭みは大分和らいだが、やはり臭みを取りたい。それに味が素材の味すぎるから調味料も欲しい。でも、アンコはそれでも美味しいらしく、とても美味しそうに食べている。普段は生で肉を食べているので、焼いた肉は初めてらしい。それもあってか、たくさん食べていた。僕は少しだけ食べるので精一杯だった。


「せめて塩だけでもほしいなぁ」


調味料が見つかるまでこの臭い肉を食べることになるのかと思うと、食事が少し憂鬱だ。しかし洞窟の周りをアンコと探索探索していたら、臭みを消せる香草を見つけることが出来た。これで臭くはなくなる、しかし素材の味だ。調味料がほしい。


その日は結局、柔らかく臭みの無くなったものの、ほとんど味のしないレッドボアの肉を食べて一日を終えるのだった。

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