500万PVアクセス記念番外編
えーと…気が付いたら総アクセスが500万を突破していたので番外編の投稿です。本当は400万アクセス時にやるつもりだったんですが、ズルズルと先延ばしにしてたら500万になってました(汗)。
今話は主人公達の本編にするまでもないかと思った彼らの日常?的なものです。それでも宜しければお楽しみ下さい。
レイアとリンがソレを見つけたのは偶然であった。タケルが創造した医療用の器具を、倉庫から取り出そうとしていた時の事である。医療器具はこの世界で再現するための見本として扱われる予定だ。幾らタケルが創造出来るとはいえ限りがあるので、職人に作り方を学ばせ量産させる。
これにより数も確保出来き、職も増える。経済効果も見込まれるため良い事ずくめだ。
当然タケルとリンには国から相応の報酬が渡される。
「今回はこんなところかしら。」
幾つかの単純な構造の器具を鞄に詰める。まだまだ他にも有るものの、全て持って行っても再現は出来ないだろうし、かえって混乱を招くのがオチだ。
リンが器具の入った箱を元に戻そうとすると、抵抗があり棚に納まらない。どうやら何か引っ掛かっているようだ。
「もう、面倒ねー。」
一旦箱を下ろし引っ掛かっている異物を取り除く。多分、上の段から落ちてきたのだろう。
「…あらあら…」
収納を妨げていた物が何なのか知り苦笑するリン。彼女が手に取ったのはDVDのケースだった。ジャケットには惜しげもなく裸体を晒した女性の姿が載っていて、そのジャンルは明白だ。
「んふふー。他にも有りそうね。」
DVDの落ちてきた棚を調べると、同じように男の劣情を誘うジャケットの物を数枚発見した。
「リン、一体何をしているのだ?」
レイアは中々倉庫から出てこないリンを訝しみ中へ。何やら挙動不審な行動の友人に首を傾げる。
「レイア、これこれー。」
「ぬっ!何だこれは!?」
見せ付けられた裸婦の数々に驚くレイア。リンは彼女にDVDについて簡単に説明する。
「写真は教えたわよね?」
「あ、ああ…。この精巧な絵のことだな。」
「これの中には動く写真みたいなものが入ってるのよ。」
「ほう…しかし…何と卑猥な。」
レイアはジャケットに描かれた絵の数々に眉をひそめる。
「つまり…この円盤で絵に描いてあるような事が見れる訳だな。」
「そうね。で、若い男がコレを見て何をするかは…想像出来るわよね?」
「うむ…。」
僅かに頬を赤らめ頷くレイア。この世界の生まれである彼女が、他者の枕事に関わる事などそうそう無い。反応がウブなのは当然かもしれない。
「ね…観てみる?」
「これをか?他人の情事を覗き見るのは如何かと思うぞ。」
「大丈夫よぉ。そのために作られてるんだし。それに…タケルがどんな趣味なのか…知りたくない?」
「む…」
確かに興味が無くはない。しかもこれらがタケルの私物で、尚且つ彼の趣味に追従したものなら、必ずや参考になるだろう。誘惑的な意味で。
興味は有るが素直に言い出せないレイアの心情を察したリンは、答えを待たずテレビへ向かった。デッキにDVDを挿入する。ちなみにこの世界に電源が有るはずもないので、これらの電化製品は全て魔力を動力源としている。
「スイッチオーン!」
再生ボタンを押すと共に、画面には二人の男女が絡み合う映像が流れ始めた。
「ふぅーん…タケルはこういうのが好きなのね。」
「これがでぃーぶいでぃーか…。」
倉庫内に女性の嬌声が響き渡る。いつの間にかレイアもテレビの前で食い入る様に映像を見つめていた。
暫し無言の二人。
「む…二人目だと?」
映像内で女性を相手する男が増え、驚くレイア。
「リン…お前たちの世界ではこれが普通なのか?」
「…違うからね?その辺、あんまり鵜呑みにしない様に。」
友人に忠告しつつ、リンは作品の傾向を調べていた。
「…胸関係が多いわね。フフッ…可愛いんだから。言えば好きなだけ見せてあげるのに。」
やはり自分の予想は合っていたようだ。日頃の自分を見るタケルの視線からも納得である。
「むぅ…リンよ。私のような体型はあまり好まれないのだろうか?」
レイアが悲しげに自らの胸元へと目を落とす。そこには慎ましげに盛り上がる丘が二つ…。
「そうでもないわよ。ほら、今映ってる人も控え目でしょう?」
画面上の女性はレイアとそう変わらないスレンダーな体型をしていた。
「うーん…タケルはオールラウンダーなのね。」
リンには自慢のものがアドバンテージに成らないと微妙な情報だが、レイアにとっては吉報である。
「こうなったら全部調べるわよ。」
「う、うむ。」
二人は全てのディスクを早送りで飛ばしつつチェックしていくのだった。
「何だこれは!大き過ぎるぞ!」
「んー。ここまでくるとさすがに下品ねぇ…。」
タケルの趣味嗜好が漏洩した日の夜、彼の部屋にレイアとリンが訪れていた。
「タケル、久しぶりに将棋でもどうだ?」
「別に良いぞ。やろうか。」
将棋台を挟んで向かい合うタケルとレイア。いつもの光景だが、その日はちょっとばかり勝手が違った。レイアは普段よりも大きめのシャツを着ていて、インナーの襟口も大きく開いている。
「ふむ…」
割と早めに長考に入るレイア。そこまで悩む場面でも無い筈だが、前のめりに将棋台を覗き込んでいた。当然だが胸元の空いた服でそんな体勢になると、タケルの位置からは中に潜む男のロマンが顔を覗かせる。
「ブ、ブラが…」
無い。そこには乙女の最後の防波堤、薄布ながら絶対の守備力を誇る盾が取り払われていたのだ。
「フッ…何か言ったか?」
「や、何も…」
将棋を打ち合う二人の間で、非常に高度な心理戦が繰り広げられていた。
「ふぅ…今日は少し蒸すわねぇ…」
二人の試合を見守っていたリンが、手を使いパタパタと扇ぐ。
「そうか?少し温度を下げるか。」
孤児院内はタケルの魔法により快適な温度に保たれている。
「気にしないで。晩酌が少し残ってるのよ。」
リンは着ていたシャツのボタンを外す。中に着ているインナーはレイアと同じく襟周りがユッタリとした物だ。その上…
「ポッチが…」
「んー?何か言ったかしらタケル?」
「いや…」
中に押し込められていた特大のバルーンがインナーを圧迫する。凶悪なまでに魅力的な突起が存在を主張していた。
「タケル、手が止まっているぞ。」
「あ、うん…。」
レイアに急かされ駒を進める。タケルは伏兵の登場で将棋への集中力を削がれていた。
「今どんな感じ?」
リンが戦況を知るため、タケルの背後から将棋台を覗く。
「……っ!」
伏兵が打って出たようだ。タケルの背中に布一枚を隔てたボリューム感たっぷりの極楽が迫る!
「確かに…暑いやもしれんな。」
本隊も進撃を開始した。インナーの襟口を摘み、引っ張る事で空気を取り込む。何気ない仕草ながら威力は絶大だ。中からタケルの視線を引きずり込もうと、ピンク色の悪魔が手招きしている。
「タケル、もう降参か?」
「ま、まだまだ。」
動揺を見せるタケル。果たしてどちらへの降参なのだろう。将棋か…それとも色香か。
戦況が進むにつれタケルは劣勢に追い込まれていた。二人の繰り出す甘美な精神攻撃によって集中力が掻き乱され、上手く戦術を組み立てられないのだ。
「クス…どうしたのタケル?押されてるじゃない。」
「こ、ここからさ。」
「そう。」
リンが後ろからタケルを抱き竦める。将棋を見るフリをしながら、明らかに押し付けるのが目的だ。
「フフッ、初勝利も近いようだな。」
レイアもまた、インナーの襟を大きく引っ張る。布地が伸びてしまいそうだというのに。明らかに中を見せるのが目的だ。
「何か…今日は二人とも雰囲気違わないか?」
女性陣の連発する妖艶な仕草に、堪らず違和感を口にするタケル。しかし二人は惚けたまま。何食わぬ顔で将棋台を見つめていた。
「…んん…ふぅ…」
タケルの背中で身じろぎするリン。耳元に熱い吐息が吹き掛けられる。
「タケルゥ…早くぅ…イッテぇ…(訳:駒を進めなさい)。」
パチリ…
レイアが駒を置くと同時に、浅いながらも柔らかな谷間を覗かせる。
「んふ…今夜はたっぷり攻めてやろう(訳:将棋を)。」
「ぬおおぉぉ…。」
熱いたぎりが決壊の兆しを見せた瞬間、部屋に弟子の声が響いた!
「師匠~!アインさんが来てますよー!」
「あ、ああっ!そうだったそうだった!飲みに行く約束してたんだった!悪いレイア。続きはまた今度な!」
逃げるように部屋を飛び出していくタケル。彼は何とか美獣達の攻勢から抜け出したのだった。
「チッ…良い所で邪魔が入ったわね。」
「ああ、だが…」
「「これはイケる!!」」
一定の成果を上げたことを確信する美しき狩人たち。彼女らの悲願が達成される日もそう遠くはない。
…かもしれない。
まさかこの作品がこんなに沢山の人に読んでもらえるとは思っても見ませんでした。これからもどうぞ宜しくお願いします!