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第四十三話ヘタレではない!決して!

今年初の更新が四月という不甲斐無い状況になってしまって申し訳ない!


これ、原案は去年の末からあったんですよ。


でもデータが二度も飛んでしまい、書き直す気力が失せてしまいまして(汗)。


PCも不安定で携帯で書いてから手直しして投稿しました。


公演の開かれた広場を出る頃には陽も暮れ、夕食にはちょうど良い時間帯となっていた。

俺とレイアは食事を取れる店を目指して大通りを歩いていく。


「良い公演だったな。タケルの教えたという曲も聴く事が出来たからな。私としては満足だ。」


「レイアはどの曲が気に入ったんだ?」


「そうだな…リリィが登場して3曲目のやつだ。」


曲の断片を小さく口ずさむレイア。

透明感のある綺麗な声だ。


「ああ。あれか。」


レイアが選んだ曲は所謂オールディーズで、繰り返されるメロディーが印象的なバラードだった。


今ではスタンダード・ナンバーといわれ多くのミュージシャンにカバーされてきた名曲だ。


「次はタケル自身に歌って欲しいものだ。」


「ああ、エリスとも約束したし、いずれ聴かせてやるよ。」


「うむ…期待して…い…」


「レイア!?」


唐突に足元から崩れ落ちるレイア。俺は直ぐに彼女を抱き留める。


「どうしたんだ?」


「わ、分からん…急に体調が…」


「…取り敢えず休める場所に入るぞ。」


俺はレイアを抱え一番近くの宿屋へと駆け込んだ。


「おい!部屋を貸してくれ。友人の体調が悪いようなんだ。」


「まあまあ!そりゃ大変だ!二階の奥の部屋が空いてるよ。」


借りた部屋に入りレイアをベッドに寝かせる。


「ハァ…ハァ…クッ。何だこの熱は…」


「かなり高いな。」


額を触った限りでも結構な高熱と分かる。それに我慢強いレイアがこうまで成るという事は相当キツイのだろう。


「いつから不調に?」


「先程だ。公演が終わるまではむしろ好調だった。」


確かに昼間、腕を組んだ時は高熱は無かった。という事は公演で風邪を感染されたのか?


「…済まない。限界だ。少し寝かせてくれ。」


「ああ。安心して寝てて良いぞ。」


「……襲うなよ?」


「リンみたいな事言うな。」


「フフッ、成る程。彼女の影響かもしれんな。」


クスリと笑い目を閉じるレイア。


さて、俺はどうしようか?

大急ぎでリンの所に戻って相談するべきだろうか。


『ヘロー!タケル!人生エンジョイしとるかの?』


俺の思考を遮るようなタイミングでじいさん(神)から念波が届く。


『煩いな。こっちはそれどころじゃないんだよ。』


若干テンション高めのじいさんにイラ立ちながら応える。


『すまんすまん。まあそう怒るでない。今回連絡したのはレイア嬢ちゃんの異変に関してじゃ。』


『ん?つまりレイアの不調の原因が分かるのか?』


『うむ。お嬢ちゃんの不調の原因…それはズバリ魔力風邪じゃ!』


『魔力風邪?』


『そうじゃ。簡単に言うと、お主の創造魔法の因子がレイア嬢ちゃんの中で暴走しとるのじゃな。』


『暴走?でも今までは何も無かったぞ。何で今更…』


『理由は色々と考えられるが、最近創造魔法を無理に使わんかったか?』


使ったな。俺やリリィと一緒に城まで転移した。あれが引き金か?


『どうやら心当たりがあるようじゃな。』


『ああ。それで治す方法は?』


『あ、わし今月発売の「桃尻娘合併号DX版」が欲しいんじゃが。』


『…買ってやるから言え。』


『ちょい待て。今閻魔からキャッチホン入ったから。』


念波にキャッチホン!?


『…ふむ。ついでに「褐色美女大全集DVDボックス」も頼むそうじゃ。まったくあのエロオヤジめ!』


お前が言うな。


『了解。分かったから早く治療法を教えてくれ。』


転送が使えたらガチホモレスリングの銅像を大量に送りつけてやるところだ。


『フォッフォッフォッ!では治療法についてじゃが…』


『ああ。』


『それはの…キッスじゃ!』


「ハァッ!?」


思わず念波でなく声が出てしまった。


『キッスじゃよ!キス!接吻!口付け!』


『だから何でキスなんだよ!』


『粘膜干渉は魔法では基本じゃぞ?具体的には唇を通してレイア嬢ちゃんの中にある創造魔法の因子をお主に戻すのじゃな。』


『そうじゃなくてもっと他にやり方は無いのかって訊いてんだよ!』


『他にといえば無いことも無いが…例えばセッ…』


『ストップ!黙れ。』


このエロじじいめ。


『だからそういうのじゃなくて、角が立たない方法を教えてくれ。』


『じゃが…他の方法ではかなり時間も労力も要するぞ?レイア嬢ちゃんが保たぬのではないか?』


『ぐっ…』


俺はベッドで眠るレイアに視線を移す。相変わらず呼吸が荒く苦しげだ。


しかしだ。


さすがに嫁入り前の女性にキスとか拙くないか?「治療の為にキスします」って…いかん。まるで身体目当ての詐欺師みたいだ。


『フォッフォッ!だが嬢ちゃんの方は構わぬようじゃぞ?』


「は?」


「タケル。」


「レイ…んむっ…!?」


不意に名前を呼ばれ振り返った直後、目の前にはレイアの顔が有った。そして唇には柔らかくしっとりとした感触。


「んっ…ちゅっ…ふぅ…。成る程。確かに楽に成ったな。今までの倦怠感が嘘のようだ。」


「あの…レイア?」


「どうしたタケル?こうせねば私の魔力風邪とやらは治らなかったのだろう?」


「いや…まあそうですがね。」


不意打ちのキスに半ば混乱し、俺は何とか相槌を返す。


「ふむ…タケル。」


「何でしょう?」


レイアは一旦顎に手を置き考える素振りをした後、驚くような提案をしてきた。


「もう一度…しないか?」


「な、何を?」


「口付けだ。」


「ハァッ?!何で?」


魔力風邪はもう治ったんだよな?何故二回目が要るんだ?


「タケルのことだ。私がタケルに気を使い自分からしたのだと思っているのだろう?」


「そうだけど。」


他に理由があるとは思えない。


「そこだ。私としてはそこが問題なのだ。私が唇を許したのは何も治療だけが理由ではない。確かにきっかけはそうかもしれんが、口付けは純粋に好意からのものだ。」


「好意?好意って…。ちょっと待て!おかしいな。それだとまるでレイアが俺に惚れているように聞こえるぞ?聞き違いか?」


「聞き違いでは無いぞ。はっきり言おう。レイア・アルベルリアはタケル・カミジョウに惚れているのだ。」


マジですか。俺は自分の頬を思いっ切り抓る。うん痛い。


「だから…頼む。私の口付けの理由を治療などで終わらせないでくれ。」


「い、いや…分かったから。一旦落ち着こう。な?」


「いいや!分かっていない。このまま終わればどうしても治療という理由が残る。頼む。私に自分の想いを証明させてくれ。」


「うぐ…」


真っ直ぐな目でこちらを見つめるレイア。それは拒む事もはぐらかす事も許しそうには無かった。

俺は降参とばかりに諸手を上げる。


「分かった。良いんだな?」


「ああ。だが…次はもっとゆっくりと頼む。先程は…私も夢中でな。正直感触を知る暇も無かった。」


「それは俺も同じだ。」


「では、これが初めてという事にするか。」


「だな。」


俺達は互いに歩み寄ると唇を重ねた。二回目ながら初めてのキスだ。


「んっ…」


レイアの唇の感触。更にほのかに香る形容し難いイイ匂い。


り、理性が…。






超合金のような意思で押し倒したい衝動をねじ伏せ、理性とは逆に動きそうな両腕を磔にして、何とか事を終えた。


俺史上前代未聞の耐久レースだった。







唇が離れた後、どう声を掛けようかと悩んでいたが、先に動いたのはレイアだった。


「し、しかし随分と時間を掛けてしまったな!悪いが私はそろそろ帰らねばならん!エリスの経過も心配だからな!」


矢継ぎ早に言葉を並べ立ち上がるレイア。


「で、ではな。また会おうタケル!」


目も合わせずにレイアは去っていった……転移で。


「あれ?何で転移出来るんだ?」


『どうやらレイア嬢ちゃんの中で因子が安定したようじゃな。安心せい。お主の創造魔法も完全に戻っておるぞ。』


『あっ!じじい!レイアに会話を聞かせてやがったな!』


『どうせお主がヘタレると思ってのう。お陰で中々良い思いが出来たじゃろ?』


『死にさらせ!』


『ちょっ!なんじゃその気持ち悪い銅像は!?止めい!きょ、局部がっ!生々しい!うげっ!お、おろろろろろろろ~っ!』



いやぁ、レイア様…告白も男前です(笑)。


今後は滞っていた分、更新を早めていくつもりですのでお許し下さい。


…PCが生きてればですが。





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