表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/70

第三十九話王様……邪魔。

気が付けば累計アクセスが200万を突破!


更新が滞りこのままフェードアウトするのではと思った方も多いのでは?


私も思ってました(笑)。


未だに感想を下さる読者も居られ感謝しております。


初掲載の頃はまさか200万ものアクセスがあるとは思いもしませんでした。遅筆・ご都合主義・駄文の三重苦ですが、今後とも宜しく!

リリィに誘われ俺は夕食をご馳走になっていた。メニューはコカトリスの唐揚げ定食。見た目は鶏肉なのだが味は何故かクジラっぽい。昔は安かったんだよなクジラ肉。


「タケルさんは何処に住んでいるんですか?」


「街外れにある孤児院を知らないか?」


「あっ、知ってます!少し前に改設した建物ですよね。」


「一応、そこの代表って事になってる。」


実際に運営しているのはセラとユウだけどな。


「そうなんですか?タケルさんって冒険者と院長まで兼ねてるんですね。凄いです!」


「まぁ、俺は名前を貸してるだけさ。リリィの方はどうなんだ?もう直ぐ楽団の公演が近いんだろう?」


「はい。明日からカイゼル広場で五日間の公演なんです。あ、良かったらタケルさんも聴きに来て下さい。これ、チケットです。最前列ですよ。」


リリィがポケットから数枚のチケットを取り出す。


「良いのか?有料席は結構高いって聞いたぞ?」


「良いんです。タケルさんは私の師匠みたいなものですから。それに教えて頂いた曲も演るので、原曲を知っているタケルさんに感想を聞きたいと思ってたんです。」


前に歌詞が分からないって言ってたから、編曲すれば?って言ったものな。地球の曲をこの世界の人がどんな風にアレンジするかは興味がある。


「分かった。いつ行くか分からないが、必ず聴きに行くよ。教えた曲がどうなったかじっくり吟味させて貰うとしよう。」


「あはは、そこはお手柔らかに。」


『タケル、聞こえるか?』


歌の事でリリィとの会話を楽しんでいると、レイアから念波が届く。慣れたもので不意に来ようと驚く事は無い。


『聞こえてるぞ。どうした?』


『突然ですまない。緊急なのだ。エリスが倒れた。』


『…なに?』


『我が城の医術士では診断さえまま成らなかったのだが、幸いリンが居てな。彼女の見立てではモウチョウ…だったか?そんな名の病だそうだ。』


盲腸ね。


『タケルに必要な薬品を作って欲しいので、呼ぶようにリンから指示を受けた。今何所に居る?』


『ちょっと待っててくれ。』


レイアは転移魔法で俺を迎えに来るつもりなのだろう。店の名前を確認しよう。


「リリィ、この店の名前はなんだっけ?」


「ここは山遊亭(さんゆうてい)ですよ。」


「ありがと。」


『山遊亭っていう飯屋だ。分かるか?』


『今地図で確認する……大体分かった。店内で待っていてくれ。直ぐに迎えに行く。』


『了解。それと…』


『うん?』


『心配しなくてもエリスは大丈夫だ。俺の創る薬品とリンの医術が有れば確実に治る。』


この念波は相手の感情も届くからな。落ち着いた言葉とは逆に、レイアが内心どれだけ動揺しているかも分かってしまう。


『……この魔法は心理状態が伝わるのだったな。すまない。そう言って貰えると助かる。』


『待ってるぞ。』


『ああ。』


レイアとの交信が終わると、俺は残った料理をさっさと胃に詰め込んだ。食べるペースの早さにリリィが首を傾げるが、緊急事態なので勘弁してもらおう。


程なくして店内がざわつく。店の入り口に目をやると案の定レイアがいた。有名人は辛いな。俺は辺りを見回すレイアに手を振る。


「タケル。」


「お迎えご苦労さん。行くか。」


「レ、レイア様!?どうして!?タケルさん、お知り合いなんですか!?」


レイアがこちらに来るとは思わなかったらしく、リリィは椅子から立ち上がり動揺していた。


「訳は後で話すよ。悪いがリリィも一緒に来てくれるか?」


「わ、私も!?」


「このまま一人で帰ると、またあのアホ(ライト)が絡んでくるかもしれないからな。こっちの用が済んだら送ってやるよ。」


捨てゼリフからしてまだ懲りてないっぽいしな。俺の都合で夜道を帰らせて襲われたじゃ後味悪過ぎる。


「確かにアイツ、粘着質だからあり得ますね。…でも良いんですか?ご迷惑じゃ…」


レイアと俺を見比べ遠慮がちになるリリィ。


「良く分からないが、今は火急でな。リリィだったか。タケルの言う通りにしては貰えないだろうか?」


「レ、レイア様がそこまで仰るならお付き合いします!」


鶴の一声といった感じで話は纏まり、俺達は人気の無い裏路地から城へと転移する。







「ハァ…ハァ…さすがに…三人での転移は堪える…。」


額に汗を滲ませ、息を乱すレイア。


「やはり…タケルのようにはいかんか。」


「三人は定員オーバーだったか。悪いなレイア。」


「構わん…こちらの都合で呼んだのだからな。」


俺は回復薬を取り出し、レイアに手渡す。


「え?ここお城!?なんで!?どうしてぇ!?」


半ば強引に連れて来たリリィは状況が掴めず混乱している。


「リリィ、色々と聞きたい事があるだろうけど、用事を済ましてくるから暫く待っててくれるか?」


「わ、分かりました。」


レイアに頼んでリリィを客室に通してもらうと、俺達はエリスの元へ向かった。




「こりゃどうしたんだリン?」


リンが準備を進めているの仮の手術室では、病人のエリスが横たわっていた。そこには執刀医であるリンも居る。


変なのはエリスを庇うようにリンの前に立ちはだかる……王様。


「タケル…それがね…」


リンの話では、医師として手術の概要を家族である王と王妃に説明したところ、王様がエリスの身体にメスを入れる事を拒否したらしい。


「そうか、この世界には開腹手術は無いもんなぁ。」


レイアの姿を見つけた王様は、援軍が来たとばかりに声を上げた。


「おおっ!レイア!お前も言ってやってくれ!彼女がエリスの腹をかっ捌くと言うのだ!そんな事をすれば可愛いエリスが死んでしまう!」


「だから言ってるでしょう!悪い場所を取り除く治療だって!」


きっと散々問答を繰り返したのだろう。リンがキレ気味だ。声を荒げこめかみはヒク付いている。


「腹を切ったら痛いではないか!」


「麻酔で寝るから痛く無いんだって!」


「切ったら痛みで起きるだろうが!」


「麻酔は痛みを感じないの!」


手術の概念が無い人間には想像が出来ないんだろうな。けどレイアは理解しているみたいだ。リンが教えたのか。


「レイア!お前はどうなのだ!?」


「父上、私はリンに詳しく手術について教わりました。彼女ならば間違い無くエリスを治せる筈です。」


「ぬぅ!最後の砦であるレイアまでも…だがしかぁし!この俺だけはエリスを守り抜いてみせるぞー!我が愛娘の柔肌に傷など付けてたまるかぁ~!」


「ハァ~~」


王様の剣幕にレイアが深く溜め息を付いた。


「…仕方が無い。タケル、やってくれ。」


「良いのか?」


「問題無い。治れば父上も納得するだろう。事後承諾だが今は手段を選んでる場合ではない。」


「分かった。えぇっと…我が魔力において、この親バカを拘束しろ。チェーンバインド!」


キイイィーーン!


現れた鎖が王様を縛り上げる。


「なっ!何だこれは!ええい!離せー!」


「父上はしばらくそこに転がっていて下さい。」


簀巻きにされた王様をレイアが外へと引きずって行った。


「ぬう~!気合いを入れろアルベルリア18世!娘の命が掛かっておるのだ!この程度の戒めなどに俺の愛が負ける訳が無い!やらせはせん!やらせはせんぞー!」


バタン!


喧しい親父をハブにした俺達は、手術の準備を始めた。俺はリンに頼まれ必要な薬品や器具を創る。


「助手はタケル、頼むわよ。」


「了解。」


「レイアには出来れば証人として手術を見届けて欲しいんだけど……肉親だものね。辛いなら外で待っても良いのよ?」


「いや、気遣いは無用だ。リンに頼むと判断したのは私だからな。私には最後まで付き合う義務がある。」


こんな時でも筋を通そうとするレイアに感心しつつ、俺は薬品の創造を続けた。



PV200万アクセスの記念に何か番外編でも書くべきでしょうかね。


ああ…聞こえる。「色気出さずに本編進めんかい!」っていう読者の声が…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ