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第二十七話ショウ、オラの金返すだぁ!

コラボ企画の二話目です。絡ませる程では有りませんが、ベルゼーとユウもちょっとだけ登場。

―タケルサイド―


カッポ…カッポ…


スタスタスタ…


カッポ…カッポ…


スタスタスタ…


「…何で付いてくるんだ?」


馬に乗るショウとオルソンの後を歩いていくと、ショウが俺に振り返る。


「…ん?駄目かい?」

「俺達は今仕事中なんだが?」

「なんでも屋の仕事だろ?」


盗賊の討伐だっけ?


「分かってるなら良いが、そっちも帰国の準備をしないのか?」


確かにそうなんだけど、この国の事を知らないからなぁ。


「それはそうだけど、俺はこの辺りは不案内だからな。船旅の準備で食料の仕入れとかするにも案内が有った方がやり易いだろ?」


「それを俺達に?」


「そうそう。なんでも屋ローランドに船旅準備か国の案内を頼もうかと。」


同じ地球人だから、色々隠す必要も無いのは楽だし。


「依頼か…しかし、先約が有るんだがな。」

「盗賊討伐だろ?俺も手伝うからさ。戦力は多いに越したこと無いだろ?何なら別に依頼料も払うから。」


俺は大袈裟にひれ伏してみる。


「ね、この通り!」

「おお!ジャパニーズ・ドゲザじゃねえか。初めて見た。」


オルソンが隣で感嘆してる。


「おねげぇしますだぁ。お代官さまぁ!」


気分は圧政に苦しむ農民A。


「誰がお代官だ。誰が。」


俺が幸薄いお百姓さんを演じていると、オルソンが横から俺を援護してくれた。


「良いんじゃねぇか相棒。同郷のよしみだ。…それにあのポーズを見てると、俺は何かこう…いたたまれなくなって来るぜ。」


土下座は外国人であるオルソンにも有効らしい。土下座は日本が誇る文化…なのか?


「…まぁ、案内程度ならそれ程手間も掛からないからな。良いだろう。」


ショウの了解を聞いてさっさと立ち上がり、膝の砂を払う。


「ふう…分かれば良いんだよ。分かれば。」


「いきなり横柄に成りやがった!」


ナイスツッコミだ。オルソン。


「しかし、討伐を手伝う報酬が案内だけだと俺達が貰い過ぎだ。船旅で使う物資…とは言ってもお前さんは創造出来るか。食料の調達の手続きはこっちのツテでやってやるぜ。」


「マジで!?ショウちゃん太っ腹!」


準備は早目に整いそうだ。


「…ショウちゃんはよせ。」

「くくく…ショウちゃんは面白いな。」


笑うオルソンの横で俺は腕組みして頷く。


「いや、実際優しいよショウちゃんは。俺が女なら抱かれてるね。おっと、そっちの趣味の人でも誘わないでくれよ。俺はノーマルなんだから。」


「何で俺がゲ〇前提で話すんだ!?」


「大丈夫。俺は実害が無ければ百合にも薔薇にも偏見は無いから。」


「俺はノーマルだ!」


あれ?このパターン前にも無かったか?








「結局、今日は空振りか?」


日が暮れるまで俺達は街道を張って居たが、件の盗賊は現れなかった。


「行商を襲ってからまだそれほど日が経って無いんだろ?襲うならもっと後だな。今はまだ奪った戦利品を捌いてる頃かも。」


俺の憶測に二人も頷く。


「一度戻って情報を集めよう。ベルゼーにも調べさせているから何か掴んでいるかも知れない。」

「ベルゼー?」


聞き返す俺にオルソンが捕捉を入れる。


「うちの従業員さ。」

「成る程。」


ショウ達は一旦、なんでも屋ローランドが有るという王都アイレスへと引き揚げる事になり、俺も二人に同行した。






「あ、ショウさん!ご苦労様です。」


案内された建物に入ると十代後半辺りの青年が俺達を迎えた。彼がベルゼーだろうか。


「どうでした?」


青年の問いにショウが首を振る。


「空振りだな。そっちは何か掴めたか?」

「ええ。実は少しだけ。どうやらこの所夜に闇市が開かれてるらしいです。」

「闇市?」

「はい。盗賊達がそこへ盗品を流しているかもしれません。ちょうど闇市の賑わい出した時期と依頼人が襲われた時期が重なるので可能性は高いと思いますよ。」


青年が話終えるとオルソンがピューと口笛を吹く。


「お手柄じゃねぇかベルゼー!」

「いえ、でも流石に場所の特定までは出来なくて。」


謙遜するベルゼー。


「だったら今が良い時間だな。コレのついでに情報を集めようじゃないか。」


俺は言いながら酒を煽るジェスチャー。情報収集なら酒場だろ?


「良いねぇ。久しぶりに同郷に逢えたんだ。乾杯と行くか。」

「言っとくが、本分は聞き込みだからな。」


乗り気なオルソンに釘を差しながらも苦笑するショウ。


「あの…この人は?」


俺の存在に気付き困惑するベルゼー君。


「こんにちは。新撰組鬼の副長、土方歳三です。」

「シンセン…フク…え?え?」

「通じねぇよ。そのボケは。」

「あいてっ!」


頭にショウからツッコミが入った。ベルゼー君はこの世界の生まれか。どうやらなんでも屋ローランドで地球生まれはショウとオルソンだけらしい。


「彼は俺達の同郷でな。偶々知り合ったんだが船旅をする予定でその準備を俺達に頼んで来た。一応は依頼人だ。」


「あ、依頼の方だったんですね。」


依頼人と分かり佇まいを直すベルゼー。


「因みに俺と同じ系統の魔法の使い手だ。」

「えええっ!!ショウさんと!?」


仰天するベルゼー君が一歩下がる。


「怯えてるぞー。ショウ、普段どういう魔法の使い方してるんだ?」


ジト目で見やると、ショウは何処吹く風で肩を竦める。


「いや、別に普通だろ。」

「絶対違うと思う。」


俺ももっと活用するべきかね?主にユウの修行とか、ユウの修行とか、ユウの修行とか……







―ユウサイド―


「ブルブル…急に悪寒が。」

「風邪なのユウ?」


洗濯中のセラが震えるユウを見掛ける。


「いや、違うと思うけど?」

「しっかりしなさいよ。タケルさんが居ない間はユウがここを引っ張って行くんだからね。」

「分かってるよセラ。」










―タケルサイド―


俺達はなんでも屋ローランドの事務所で一服した後、ショウ行き付けの酒場へと足を運んだ。なんでもここの店主は結構な情報通らしい。


カウンター席に座り、注文を終えるとショウが店主に話し掛ける。


「オヤジさん。最近の景気はどうだい?」

「…特に変わりは無ぇな。」


無愛想に返す店主だが、別にショウが嫌われている訳では無くこういう質なのだろう。


「それでも景気の良い所が有るんじゃないか?特に『夜』なんかは。何かと『仕入れてる』所が…。」


言いながら置いた金を店主が酒のボトルとすり返る。情報料だろう。店主は無言のまま顎でしゃくる。


その先ではテーブルで三人の男が管を巻いていた。俺は立ち上がるとボトルを片手に三人へと歩み寄る。ショウ達が引き止めないのは、お手並み拝見といったとこだろうか。


「兄さんら出来上がってんなぁ。」

「あん?何だお前ぇ?」


他の二人は既に酔い潰れていたが、赤ら顔の男は一人でチビリチビリと手酌をしている。俺を見て訝しむが構わず話を続けた。


「そう邪険にしないでくれよぅ。オラァここに出稼ぎに来てるんだが、皆オラを田舎者だからってのけ者にするんだ。オラだって誰かと酒酌み交わしてよ。」


男の器にボトルの酒を注ぐ。


「おう、すまねぇな。そうか…お前ぇも若いのに苦労してるんだなぁ。」

「そうだぁ。それにあそこで煙繰らしてる黒髪の兄さん居るだろう?」


俺はカウンターで煙草を吹かすショウを指す。


「ああ、あいつかぁ?」

「ありゃ、オラんとこの石工の頭でな?納期が迫ってるだの、作業が遅いだの言っててオラのケツ蹴りあげるんだぁ。オマケに給金が出たら博打に無理やり誘ってオラの金巻き上げるだぁ。」

「ああ…ああいう色男に限ってがめついもんだからなぁ。」


がめついらしいぜショウ?


「やっとこさ、おっかあを医者に見せる金が貯まったちゅうのに、きっとまた朝起きたら金が消えてるんだぁ。オラ知ってるだよ。頭が巻き上げた金使こうて向こう橋の娼婦に入れ込んでるって。これじゃ、おっ母の病気治すどころか死に目にも会えねぇっぺ。」


「そりゃひでぇ奴だな!」


「せめておっ母の治療費だけでも物に換えて隠そうと思ってんだがぁ…そう都合の良い物は見付からねぇよう。…うぅ…うぅ……」


俺は目元を隠し、咽び泣く。


「ああ、泣くな泣くな。可哀想になぁ。だったら俺に名案が有るからよ。」

「…グス…名案?」

「俺達は実は闇市に商品を流しててな?今日も商品を運び終えた所なのさ。」

「闇市!?おでれぇた!流石は王都だ。そんな物まで有るのけぇ?」


ええ。知ってますがね。


「まぁな。そこならお前さんが探しているような物も有るかもしれないぜ?」

「そうかなぁ?」

「おうさ。金を価値が有ってもおいそれと分からない物に変えちまえば良いさ。」

「成る程ぉ。そうすりゃ頭の目も誤魔化せるわな。それでその闇市ってな何処でやってるんだぁ?」


俺が聞くと、男は声のトーンを落として耳元で囁く。酒クサッ。


「店の裏の通りを北に向かって、突き当たりを左に行けば教会が有るだろう?」

「んだんだ。」

「その教会の地下で開いてるのさ。神官もグルでな。しかしそいつがまたがめつい野郎でよぉ。俺達の上前撥ねやがったんだ。足元見やがって!まぁ、それで不貞腐れて酒を煽ってたんだが…。」


悔しげにグチる男。


「話が逸れちまったな。用心の為にしらばっくれちゃ居るが、この札を見せれば案内してくれるぜ。」


懐から出した札を俺に手渡す。俺は大仰に喜ぶ様を見せながら更にボトルを傾ける。


「兄さん!あんたは俺の恩人だぁ!さあさあ!もっとやってくんねぇ!」

「おお、悪いなぁ!」


既に出来上がっていた男を酔い潰した後、俺は札を持ってショウ達の元へと戻った。


「こんなもんでどうだぁ?」


アカン訛った。


「お見事。」


オルソンがグラスを掲げて労う。


「しかし、タケル。こっちを見て何を話してたんだ?」


ショウの疑問に俺は何食わぬ顔で答える。


「ん?ショウが色男って話。」

「……そりゃどうも。」


腑に落ちないまま礼を言うショウだった。







すいませぇーーーん!!予定していたリン登場も戦闘シーンにも行き着かず。

ただただ反省しきりです。次回こそは書きます!!

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