第二話レイアのタケルレポート
今回、レイアの独白気味です。
―――レイア視点―――
領土見回りの際に見つけた青年、タケル・カミジョウ。
この男は何も無い荒野に一人佇んでいた。
デイモートの間者かとも思ったが、この様な場所を探っても大した意味は無い。
武器の類も持っていないことから、直ぐに警戒を解き事情を訊くと、荷を全て盗まれ立ち往生しているという。だが、妙な事にそれほど困った風でもない。大物なのか、鈍いだけなのか……
ただ言えることは、明らかに我が国の人間とは違う空気を纏っていることだ。そこに少し興味が沸いた。街へ案内して欲しいと言うので了承する。
道中、色々な話をして分かったことがある。この男は国際事情や一般常識が著しく欠けている。
しかし、頭が悪い訳ではない。寧ろかなり良い。教えたことは全て吸収し、返って来る答は的確。恐ろしく柔軟な思考に私は舌を巻く。これほどの者が我が国にも欲しいとさえ思えるほどだ。一体どうすればこの様な男が出来上がるのだろうか…。
国について話し、私が王女で在ることが知れてもタケルが態度を変えることは無かった。そこに、打算や厭味はなく、私を一個人として捉えているゆえだと言動からも伺える。臣下からみれば不敬であろうが、私にはそれが新鮮で不思議と心地良いものだった。
話は弾んだが、唯一気に入らないこともある。タケル自身の身の上について話が及ぶと途端にはぐらかされることだ。自分の事を話したがらない者は多い。普段ならば私も深く追求はしない。けれど何故かこの男は気になる。結局、街に着くまでその全容が明かされることは無かったが…。
街に着くと一文無しのため今夜の宿に困っていた。銀貨10枚を渡そうとすると必死に遠慮する。この辺りも他の人間とは感覚がズレている。普通の平民ならば、一も二もなく受け取るというのに。慎み深い奴だ。その誠実さには好感を持てるが…。
結局、タケルが持っている指輪と交換という事になった。
一瞬盗品かとも思ったが、これでも人を見る目はある。道中の会話でタケルの人となりは分かっていたし、悪人ならば態々交換条件など持ち出さないだろう。
受け取った指輪だが、その材質はまったく分からなかった。輝きは、銀とも白金とも違う。
城に戻り宝石に詳しい母上にも尋ねたが、見たことは無いという。
母上に欲しいと必死にせがまれるも丁重にお断りした。特に装飾品に興味は無かったが、これを手放す気に成れなかった。
そういえばギルド登録に手数料が掛かる事を教えていなかった。都合のいいことに明日は予定が空いている。困っていれば助け舟を出してやろう。
しかしタケルは機転が利くし、その程度の事は自分で解決するかもしれない。それはそれで彼には何かがあるといえる。
とにかく、これで明日の予定は決まった……。
未だ感想が無いので不安です…。
誰か感想プリーズ!!